再発見された生きた化石「シーラカンス」がまたしても絶滅の危機に直面。魚網にかかるケースが続出

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 南アフリカのサメ漁師がマダガスカル沖で思いがけずシーラカンスを捕獲したという。あの「生きた化石」と呼ばれる古代魚だ。


 古生代デボン紀に出現し、世界中の水域で生息していたシーラカンスだが、大量絶滅期に全て絶滅したものと考えられていた。ところが1938年、南アフリカのチャルムナ川で現生種の存在が確認され世界を騒然とさせた。

 これまで、アフリカ(南アフリカ、コモロ諸島、タンザニア)とインドネシアの深海で発見されているが、じつは今、シーラカンスが捕獲されるケースが増えており、生物学者は彼らが再び絶滅の危機に直面していると懸念している。
【恐竜がいる時代を共に生きた古代魚、シーラカンス】

 シーラカンスは4億2000万年前にまでさかのぼる古代魚で、約6500万年前に起きた5回目の大量絶滅期(K-Pg境界)で、恐竜とともにすべての種が絶滅したと考えられていた。

 ところが、1938年に南アフリカの北東海岸のチャルムナ川沖で現生種(学名 Latimeria chalumnae)が発見され、世界中に衝撃が走った。

 特に火山があるために傾斜した地形となっているコモロ諸島付近の海は、過去40年にわたりシーラカンス研究の中心地となってきた。
博物館で展示されている標本も、ここで捕獲されたものが多い。

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“生きた化石” シーラカンス | ナショジオ

【最近になって増えたシーラカンス捕獲、その理由は?】

 最近、なぜかそんなシーラカンスが捕獲されるケースが増えているのだという。『SA Journal of Science』(3月29日付)に掲載された研究によると、どうやらサメの需要と関係があるようだ。

 1980年代以降、世界ではサメのヒレや油の需要が増加している。そのためにサメ漁師たちはより深い海に適した「刺し網」(縦に張る魚網)を利用するようになった。そこにシーラカンスがかかってしまうのだ。


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【再び絶滅の危機に】

 こうした刺し網は、シーラカンスの発見には役立ってきたが、その一方で最大の脅威でもあるとResolve sarlのアンドリュー・クック氏は懸念している。

状況を調査したところ、(捕獲数に)仰天しました。マダガスカルに生息するシーラカンスをモニタリングしたり、保全したりしようなどという積極的な試みがなかったにもかかわらずです(アンドリュー・クック氏)

 元々シーラカンスはワシントン条約で絶滅危惧種に指定されている。それなのに、マダガスカル周辺ではここ数十年で100匹以上が捕獲された可能性があり、2010年にいたっては1週間で1ダースのシーラカンスが報告されたこともあるという。

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【シーラカンスって食べられるの?】

 珍しい生き物を紹介すると食べられるかどうかの質問が必ずくるので答えておこう。干からびた化石のイメージとは違い、生きたシーラカンスはぬるぬるしている。


 その肉は不味く、ついでに人間が消化できない物質も含まれているので、食べると下痢をするそうだ。つまり食べられないということだ。

References:Ghost fish: after 420 million years in the deeps, modern gillnets from shark fin trade drag coelacanths into the light/ written by hiroching / edited by parumo

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