74歳の女性が銃を突きつけ銀行強盗。すぐに逮捕されるもオンライン詐欺被害者だった
 アメリカで、74歳のアン・メイヤーズという女性が金融機関の窓口で職員に銃を突きつけ、お金を奪い取ろうとする事件が起こった。

 彼女はすぐに逮捕されたが、捜査を進めるうちに、彼女はネット詐欺の被害者だったことが発覚した。
どんな事情があるにせよ、彼女が銃を持ち銀行を襲ったのは事実だ。

 女性は保釈金を払える状況にはなく、最初の裁判を迎えるまで拘置所に収容されている。

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74-Year-Old Reportedly Says She Robbed Bank After Being Scammed74歳の女性による銀行強盗が発生 事件は2024年4月19日、オハイオ州フェアフィールドにある金融機関、オウルグループ信用金庫で起こった。

 来店した女性がカウンターに近づくと、所持していた銃を窓口にいた職員に突き付けて脅し、500ドル(約7万8,000円)を奪って逃走したのだ。

 地元のフェアフィールド・タウンシップ警察署では、防犯カメラの映像を公開し、犯人の情報を求めた。

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 警察は同時に、映像に写っていた2014年型ヒュンダイ・エラントラを追跡。
その所有者とみられるメイヤーズ被告を突き止め話を聞いたところ、彼女が罪を認めたため、その場で身柄を拘束した。

 悪びれた様子もなく、警官の指示に従うメイヤーズ被告。

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 逮捕時の様子をとらえた警官のボディカムの映像がこちら。15分と長めなので、興味のある人がいたら見てみてほしい。老人に気を使っているのかもしれないが、かなり穏やかな逮捕劇だ。

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74-Year-Old Robs Bank at Gunpoint After Scammers Steal Life Savings: Cops

 彼女は銃器による強盗(結果的加重犯)と、車のナンバープレートを外したことによる証拠改ざんの罪で起訴され、現在刑務所に収監中である。
彼女も詐欺事件の被害者だった だが調べが進むにつれて、その動機が明らかになってきた。どうやら彼女は、詐欺の被害に遭って数千ドルを失っていたらしい。

 彼女の親類によると、メイヤーズ被告は最近ネット詐欺に遭い、身元不明の人物に送金していたらしい。

 その損失を埋め合わせるために、家族や友人からも借金を重ね、これ以上どうしようもなくなって自暴自棄に陥ったあげくの犯行だったようだ。

 犯行前、彼女は妹に「銀行強盗でもしようか」といった話をしていたそうだが、妹はまさか姉が本気で実行するつもりだとは思わず、笑って聞き流していたという。

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 メイヤーズ被告の罪が消えるわけではないが、老人を狙った詐欺事件は後を絶たない。


 捜査を担当しているブランドン・マクロスキー巡査部長は、「事実だとしたら非常に悲しく残念なこと」ではあるが、と前置きした上でこう語っている。
そういう面からいうと、彼女を「被害者」と見る人もいるかもしれません。ですが彼女は自分の状況を打開するために、銃器を持って銀行を襲い、銀行にいた他の何人かを犠牲にすることを選んだことは事実で、これは立派な「加害者」の行為です
 彼女の保釈金は10万ドル(約1558万円)と伝えられているが、支払う余裕はなく、最初の裁判を迎えるまで拘置所内に収容されることとなる。詐欺被害者によって繰り返される負の連鎖 今回の事件を伝えるニュース映像がこちらなんだが、1:35あたりからの映像は、同じオハイオ州で3月に起きた事件の際に撮影されたものである。

 こちらの事件も、やはり詐欺の被害に遭った高齢の男性が起こしたもの。

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74-Year-Old Reportedly Says She Robbed Bank After Being Scammed

 犯人の81歳の男は、配達に来たウーバーのドライバーが自分を騙した詐欺師の一味だと思い込み、その場で射殺してしまったのだ。


 日本と同様、アメリカでも高齢者を狙った詐欺事件は増加の一途をたどっている。

 社会とのつながりが希薄だったり、インターネットに慣れていなかったりといった老人のウィークポイントに付け込んで大金をだまし取ったあげく、被害者を別の犯罪の加害者にしてしまう詐欺師たちはあまりにも罪深い。

 超高齢化社会の日本でも、これからこんな事件はどんどん増えていきそうだ。悲劇が繰り返されないように何かしなければいけないけれど、私たちはいったい何をしたらいいんだろう。

References:74-year-old Ohio woman charged with bank robbery was victim of a scam, family says / written by ruichan/ edited by parumo

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