折り鶴型の“折り紙ロボット”が、まるで生き物みたいに羽ばたく。そんな動きを、アメリカ・プリンストン大学の研究チームが、モーターもギアも使わずに実現した。
動力源は、熱で形を変える液晶エラストマーと、折り目に仕込まれた薄い電子回路。
その組み合わせにより、折り紙の折れ方を、素材そのものの変形として再現し、どの部分をどの順番で動かすかを温度で細かく操る仕組みだ。
この仕組みは、柔らかく安全で、小型化に向くソフトロボットにもうってつけ。新たな動きもたらす技術として注目が集まっている。
この研究成果は、『Advanced Functional Materials[https://advanced.onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1002/adfm.202525150]』誌(2026年3月20日付)に掲載された。
熱で折れ曲がる素材をそのまま動力に
アメリカ・プリンストン大学のエミリー・デビッドソン教授とグラウシオ・パウリーノ教授率いる研究チームが、3Dプリンターを用いて、目立った劣化なく繰り返し動作できる再構成可能なソフトロボットを作成した。
この”折り紙ロボット”には液晶エラストマー(LCE)という素材が使われている。
その素材は、熱を加えると決まった方向に収縮する特性を持つ。チームはこの性質を折り紙の「折り目」部分に応用した。
温めるだけで折れ、冷めると戻るという動きを素材そのものに担わせた。
この工夫により、なんと機械部品なしでの変形を実現。この構造は、シンプルで軽く柔らかいソフトロボットに役立つと期待されている。
折り目に仕込んだ電子回路で動きを操作
折り目にはフレキシブルなプリント基板が組み込まれ、ヒーターと温度センサーが一体化している。
この仕組みにより、どの折り目を、どのタイミングで、どれくらい温めるかといった制御ができ、折り紙構造がプログラム通りに動く。
さらに温度センサーの情報を使ったフィードバック制御により、繰り返しの動作でも精度が保たれる。
折り鶴が羽ばたき、形を保ったまま戻る
実験では、折り鶴の形をした構造が羽ばたく動きを実現。何度も折りと展開を繰り返しても、形の崩れはほとんど見られなかった。
この結果は、外部モーターや空気圧装置を使わず、材料と温度制御だけで動くロボットの実証として大きな意味を持つ。
新技術で広がるソフトロボットの未来
柔らかく、安全で、小型化しやすいソフトロボットは、医療や探索など多くの分野で期待されている。
従来の機械式アクチュエータ[https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A2%E3%82%AF%E3%83%81%E3%83%A5%E3%82%A8%E3%83%BC%E3%82%BF]に頼らない新しい動作原理だ。
アクチュエーター)とは、電気、空気圧、油圧などのエネルギーを、回転や直線運動といった「機械的な動き」に変換する駆動装置のことである。
今回の技術は、より自由度の高いロボット設計の可能性を広げるものとして注目されている。
研究チームの一員、デイビッド・バーシャドスキー氏はこう語る。
今回の大きな成果は、局所的な加熱制御を組み込んだ複雑なシステムを統合できた点にあります。どこを温めるかによって、動作を自在に切り替えられるのです
今はまだ実験段階にあるものの、市販の素材と量産しやすい製造法を前提にした設計だけに、実用化までの道のりもスムーズに踏み出すことになりそうだ。
References: Princeton.edu[https://materials.princeton.edu/news/2026/soft-robot-has-no-problem-moving-no-motor-and-no-gears] / Onlinelibrary.wiley.com[https://advanced.onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1002/adfm.202525150]











