ジャイアントパンダというと、黒白のツートンカラーが特徴だが、全身白い個体が1頭だけ確認されている。
中国・四川省の山奥で暮らす野生のアルビノパンダのオスで、現在9歳と推測されている。
2019年に初めてその存在が確認され、その後も定期的に観察されていたが、2026年5月に公開された映像では、雪に覆われた原生林や竹林の中を軽やかな足取りで歩き回っていた。
2019年、野生で初めて確認された白いアルビノパンダ
2019年4月、中国・四川省のジャイアントパンダ国家公園臥龍(がりゅう)エリアで、全身白いジャイアントパンダをトレイルカメラがとらえた。
トレードマークの黒白模様の黒い部分がない。毛も爪も白く、目は赤かった。
研究者たちはこのパンダがアルビノであると判断した。
アルビノとは、生まれつきメラニン色素をつくる遺伝子が変異しているために、皮膚や毛や目に色がつかない状態で、動物でも人間でも起こりうる。
野生のジャイアントパンダでアルビノが確認されたのは、記録上これが世界で初めてだった。
その直後に撮影された時の推定年齢は1~2歳で、体格はしっかりしており、足取りも安定していた。
映像には、木のうろで休む大人のパンダに、アルビノパンダの子と、もう1匹の子パンダにゆっくりと近づいていく様子が映っていた。
中国ジャイアントパンダ保護研究センターは、この大人がアルビノパンダの母親で、一緒にいる子パンダがきょうだいである可能性が高いとした。
野生のアルビノが自然界で生き残るのは難しい
国家公園臥龍エリアは中国政府が開発や密猟から守るために指定した広大な自然エリアで、総面積は約20万ヘクタールに及ぶ。
保護区内には研究施設もあるが、アルビノパンダは施設で飼育されているわけではない。
標高2,000m以上の山中を自力で生きる完全な野生の個体だ。
餌の補給も医療も一切なく、研究者がここに生息するパンダのサンプルを採取するだけでも10時間以上の登山が必要な場所に生息している。
アルビノの動物は自然界では不利な立場に置かれることが多い。
体の色が周囲に溶け込まないため外敵に見つかりやすく、直射日光にも弱い。
目が赤く見えるのはメラニン色素がないために血管が透けるためで、強い光に対して目が傷みやすい傾向もある。
ジャイアントパンダの黒白模様は、雪山の白さと竹林の影に紛れるカモフラージュの役割があると考えられている。
白いアルビノパンダにはそのカモフラージュ効果がない。
発見当初から研究者たちは、アルビノパンダが無事に生きていけるのかどうかを心配していた。
糞のDNA分析でオスと判明したアルビノパンダ
2023年2月、臥龍エリアの赤外線カメラが4年ぶりにアルビノパンダをとらえた。
同年9月、研究者たちは標高2,000~3,200mにあるアルビノパンダの生息地まで10時間以上かけて登り、アルビノパンダのフンと毛のサンプルを採取した。
DNA分析の結果、オスであることが確認された。
研究チームはアルビノパンダの発見地点を中心に15平方kmのエリアに赤外線カメラを多数設置し、4年間で約1,000件ものモニタリングデータを蓄積した。
採食・縄張りマーキング・他個体との交流など、アルビノパンダが野生パンダとして正常な行動をとり続けていることが確認されていた。
9歳になったアルビノパンダの最新映像
2026年3月、赤外線カメラが標高2,450~2,670mの原生林でアルビノパンダの姿をとらえた。
5月に公開されたその映像には、雪に覆われた森や竹林を軽やかな足取りで歩き回り、立ち止まっては採食し、縄張りにマーキングをする姿が映っていた。
子パンダだった2019年当時と比べ、大きく育っている。
成体になった今、四肢の毛が淡い黄金褐色を帯びるようになり、純白だった幼少期とは少し異なる外見になった。
映像に映るすべての場面で単独行動をしており、臥龍エリアの研究者は推定年齢を9歳とし、完全に自立して生きていると結論づけた。
野生のジャイアントパンダの平均寿命が15~20年ほどであることを考えると、9歳は働き盛りの充実期にあたる。
ちなみに飼育下のジャイアントパンダの場合、寿命は25~30年で野生が厳しい環境であることがわかる。
アルビノという条件を抱えながら、自力で生き抜いてきた姿は、研究者たちに感動を与えている。
アルビノをもたらす変異遺伝子は次世代に受け継がれる
アルビノパンダの存在は、臥龍エリアの個体群の中にアルビノをもたらす劣性遺伝子が受け継がれていることを意味する。
劣性遺伝子とは、両親からそれぞれ受け継いだときにのみ形質として現れる遺伝子で、外見が普通の白黒パンダでもこの遺伝子を持つ個体が複数いる可能性がある。
アルビノパンダが将来繁殖した場合、生まれてくる子パンダの外見は普通の白黒になるが、アルビノをもたらす変異遺伝子は次の世代へと引き継がれていく。
研究者たちは引き続き糞や毛のサンプルからDNA解析を進め、同じ遺伝子を持つ個体がエリア内にどれだけいるのかを調べている。
野生のジャイアントパンダは現在、中国の四川省・陝西省・甘粛省の山岳地帯を中心に約1,900頭が生息している。
かつては絶滅危惧種に指定されていたが、中国政府による長年の保護活動が実を結び、2016年に国際自然保護連合のレッドリストで絶滅危惧種から危急種へと引き下げられた。
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References: Rare wild white panda appears on camera in China's Sichuan[https://news.cgtn.com/news/2026-05-23/Rare-wild-white-panda-appears-on-camera-in-China-s-Sichuan-1NnfTfuLZpS/p.html]











