銀剣で竜を狩り報酬をもらう職業“狩竜人(かりゅうど)”の少年・ラグナと、謎多き相棒・クリムゾンが運命に抗うべく戦いに身を投じるダークファンタジー作品『ラグナクリムゾン』。この秋よりTVアニメの放送がスタートした注目作において、EDテーマ「鱗角」を歌うのが、シンガーソングライターの小林私だ。
パッション溢れるアコギと咆哮のようにがなる歌声、苦悩や決意が投影された歌詞、音楽家・横山 克の編曲によるドラマチックなサウンドスケープが、『ラグナクリムゾン』の過酷な世界観をより強く際立たせる本楽曲がどのようにして生まれたのか。そしてアコギの弾き語り配信や雑談配信で人気を集め、アニメやゲーム好きでもある彼のパーソナルな一面にも迫る。

INTERVIEW & TEXT BY 北野 創

ネットカルチャーにどっぷりと浸かった小林少年が音楽活動を始めるまで

――今日はリモートでの取材になりますが、小林さん、今さっきまでYouTubeでライブ配信をしていましたよね?

小林 私 あはは(笑)。ギターの弦を張り替えるのに1人でやるのは寂しいなと思って。

――小林さんは生配信を頻繁に行っていますが、やはりご自身の活動にとって大切な要素なのでしょうか。

小林 音楽活動よりもやっていきたいくらいの気持ちですね(笑)。まあ活動というよりも完全に暇つぶしですけどね。あとは、文字情報では伝わらないニュアンス感ってあるじゃないですか。僕サイドとしても視聴者サイドとしても、配信でしか伝わらない感じがあると思うんですよね。同じ内容のことでも、文章で伝えるより、口頭で伝えたほうが柔らかく伝わると思うので、そういう部分は結果としてあると思います。

――音楽活動自体も、2018年に弾き語り動画をYouTubeにアップし始めたことを起点に広がりが生まれていったと思うのですが、そういったネットカルチャーと音楽のどちらの興味が先にあったんですか?

小林 ネットのほうが早かったですね。小学6年生の頃から自発的にネットを触るようになって、中学の3年間はなりきりチャットにすべてを捧げていたので(笑)。


――何になりきっていたんですか(笑)。

小林 オリジナルキャラを100体くらい作って、色んな掲示板でなりきりチャットをしていましたね。人とのコミュニケーションも学校ではなくそこで学んだくらいなので。ネットの友達とかもできたりして。なのでネットで何かをすることは音楽よりも早かったです。

――ボカロ曲の弾き語りカバーもされていますが、音楽との出会いもネットが主だったのでしょうか?

小林 確かにボーカロイドはめちゃめちゃ聴いていました。自分で音楽をディグるようになったきっかけはニコニコ動画だったので、ネットでボーカロイドや「歌ってみた」の楽曲を聴くのが、自分で自発的に音楽を聴く原体験でした。

――自分で音楽を作ったり、弾き語りを始めたきっかけは?

小林 高校の頃に組んでいたコピーバンドで、アコギの音が欲しいねという話になったので、自分がエレアコを買って家で練習していたら、弾き語りのほうが面白くなって。自分で曲を作り始めたのは高校3年生の頃で、きっかけは色々あるんですけど、「ゴッドタン」という番組の「マジ歌選手権」を観たときに、楽曲って誰でも作っていいということにカルチャーショックを受けたのが大きいですね。その頃に作った楽曲は全部ボツにしたので1つも残ってないですけど(笑)。

――自分で楽曲を作っていいという気づきを得たときに、自分の中に作りたいもの・表現したいことがあったわけですか?

小林 いや、全然なかったですね(笑)。ただ、色んな人の楽曲をカバーしていくなかで、楽曲の作り方は何となくわかったんですよね。
リズムがあって、コードがあって、そこにメロディと歌詞が乗っている構造は理解できたので、理論上はどうにでも作れるなと思って。なので最初の頃は自分でも何を書いているのかよくわからない感じでしたけど、でも、「続けていたらいずれ形になるだろう」くらいの気持ちで始めたので。今、形になっていて良かったです(笑)。

――自分の中で形になってきたと感じた瞬間はありましたか?

小林 やっぱり楽曲を作った瞬間はめちゃめちゃテンションが高くなるんですけど、翌日、それを聴き直してみたら、「何だ、この変な曲は?」ってなるんですよね。その「なんか違うな」って感じるまでのスパンが徐々に伸びていった感じですね。翌日に聴いても「いいじゃん」と思えて、だんだん「まだいいじゃん」と思える期間が長くなっていったっていう。

――お話を聞いていると、割と行き当たりばったり感があるんですね。

小林 めちゃめちゃ行き当たりばったりですね(笑)。でも、楽曲を作ること自体には面白さを感じているし、その感触がずっとあるから続けているっていうのはありますね。

『ドラゴンクライシス!』から『あっちこっち』まで!小林私のアニメ語り
――そんななか、2023年6月にキングレコード内の新レーベル・HEROIC LINEの第1弾アーティストとしてメジャーデビューされて、今回、初のアニメタイアップ曲を担当することになりました。生配信でよくアニメの話題もされていますが、お話をいただいたときはどんなお気持ちでしたか?

小林 アニメ自体はずっと好きなので、いざ依頼をいただいたときは、ラッキーと思いましたね。

――ラッキーですか(笑)。


小林 まあ、自分から頑張って掴み取ったわけではなくて、色んな方が指名してくれたことで回ってきたお仕事なので、その意味ではラッキーと表現するしかなくて。でも本当にありがたい話でしたね。

――リスアニ!の読者に向けて、小林さんはどんなアニメが好きなのかをアピールしていただきたいのですが、いかがでしょうか?

小林 うわ~、「こいつ、こういう趣味なんだ」って思われるっていうことですよね(笑)。オタクの信頼は失いたくないので重大だな。でも、アニメにハマったきっかけは、中学の頃に家族の目を盗んでリビングで観た深夜アニメの『ドラゴンクライシス!』で。そのちょっとエッチなアニメで「ああ、俺は二次元の美少女が好きな人間だったんだ」ということに気づいて、そこからめちゃめちゃアニメを観るようになりました。当時は、誰もが観るような王道のアニメはあまり観ていなくて……めっちゃ好きだったのは『俺の脳内選択肢が、学園ラブコメを全力で邪魔している』で、他にも『はたらく魔王さま!』とか『犬とハサミは使いよう』『カーニヴァル』『のうりん』とか。最近観直した作品で言うと『未確認で進行形』。あと『あっちこっち』もめっちゃ好きでしたね。あれは神アニメです。ストーリーはまったく覚えていないですけど(笑)。OPテーマ(「あっちでこっちで」)がかっこ良くて。
あと『K』とか『Free!』もめちゃ好きでしたね。

――王道のアニメをあまり観ていなかったのは、自分の性格や好みの問題ですか?

小林 そうですね。小学校・中学校の時期は人生で一番尖っていたので。

――個人的にはすごく共感できます(笑)。アニメ音楽で影響を受けたもの、あるいは好きな楽曲の傾向はありますか?

小林 『パンティ&ストッキングwithガーターベルト』のEDテーマだった「Fallen Angel」はめっちゃ好きで今でも聴いてます。僕はビリー・アイリッシュも好きなんですけど、ああいう声を張らない歌い方がかっこいいなとずっと思っていて。

――それって小林さんご自身の歌い方とは正反対じゃないですか(笑)。

小林 そう、真逆なんですけど、本当は声を張らない系の曲を書きたいなと思っていて。でも、なんか声を張っちゃうんですよね。それは不思議だなあと思っています。あと、『リトルウィッチアカデミア』のEDテーマだった「星を辿れば」(大原ゆい子)もめっちゃ好きですね。『ファイ・ブレイン 神のパズル』のOPテーマだった「Brain Diver」(May’n)も好きで、あの言葉を畳みかけるような感じは、今の自分の作る曲に繋がる部分はある気はします。
(テンポが)速い曲も好きで、そこはボーカロイドからの影響が強いと思いますね。

――確かにボーカロイドの楽曲はBPMの速いものが多いですしね。

小林 「脳漿炸裂ガール」(れるりり)を初めて聴いたときは、この世にこんなに速い曲があるんだと思ってびっくりしました(笑)。それまではいきものがかりとかをよく聴いていたので。それで言うと僕は山下穂尊さんが作る曲のフォークな感じすごく好きで、アコギが好きなのはその影響がある気がします。

――ちなみに、小林さんがアニメにハマるきっかけとなった作品『ドラゴンクライシス!』は、堀江由衣さんの「インモラリスト」がOPテーマでしたが、その楽曲を提供した清 竜人さんと以前にコラボしていますよね。小林さんの2ndアルバム『光を投げていた』のリード曲「どうなったっていいぜ」は清さんが作詞・作曲・編曲されていて。

小林 そうなんです。そもそも「インモラリスト」の作詞・作曲・編曲が竜人さんだったので、なんとなく頭にずっと竜人さんの名前があったんですけど、アルバムで「誰かと楽曲を作るのがいいんじゃないか」という話になったときに、それまで親交はまったくなかったんですけど、「どうなんすかね?」って提案したんです。それこそ竜人さんは男性にはほぼ楽曲提供していないので、ダメ元でオファーしてみたら、受けてくださって実現しました。

――しかも、『ドラゴンクライシス!』の音楽プロデューサーを担当したキングレコードの宮本純乃介さんは、小林さんが今所属しているHEROIC LINEのレーベルヘッドでもあるんですよね。

小林 そうらしいですね。
実は一番最初にお話したキングレコードの人が宮本さんだったので、最初はそこまで偉い人だとは思っていなかったんですよね。しかも僕は『ヒプノシスマイク-Division Rap Battle-』も『カリスマ』もめっちゃハマっていたので、「えっ!こいつが作ったの!? すげえ!」と思って(笑)。だから中学生の僕が聞いたらびっくりすると思います。なんといっても『ドラゴンクライシス!』の宮本さんですから(笑)。

“輪郭”と『ラグナクリムゾン』の作品性から導き出された「鱗角」

“輪郭”と『ラグナクリムゾン』の作品性から導き出された「鱗角」
――今回はTVアニメ『ラグナクリムゾン』のEDテーマとして「鱗角」という楽曲を書き下ろされたわけですが、お話をいただいたタイミングで作品のことはご存じでしたか?

小林 いや、自分は結構マンガを読んでいるほうだと思うんですけど、知らなかったんですよね。それで原作を借りて読んだら、「おもろ」と思って。読み終わったあとに「ああ、俺がこのアニメのエンディングを書かせてもらえるんだ」と思って、よりラッキーって感じでしたね。

――どんなところに面白さを感じましたか?

小林 色々ありますけど……こういう作品の見どころの1つとして、主人公がどう強くなって敵を倒していくのか、というのがあると思うんですよ。めっちゃ極端な例でいくと、『ワンパンマン』みたいに主人公が基本負けることのない流れもあれば、逆に敵に合わせて主人公もステップアップしていく形もあって。で、この作品は、主人公のステータスがいきなりカンストするところからスタートするわけじゃないですか。主人公のラグナが、未来の自分から最強の力を託されて強くなるっていう。しかも銀の剣が自分の体に溶け込んでしまった“銀気闘法”の使い手っていう、上の上の上みたいなところから始まるなかで、敵も「こんなやつが序盤に出てきたらダメだろ」みたいな能力を持ったドラゴンたちがバンバン登場して。あまり話すとネタバレになりますけど、ディザス・トロワ戦は序盤にやるような内容じゃないと思いましたね。「えっ!いきなりその戦い方しちゃうんだ!?」と思って(笑)。相棒のクリムゾンとの出会い方も新鮮ですし、そういう目新しさも含めて面白かったですね。

――未来の自分から力を与えられる設定も珍しいですよね。

小林 そう。原作者の小林(大樹)さんからは、僕と同じタイプの逆張り意識みたいなものを感じて、勝手に嬉しくなりましたね。でも、逆張りしているけどそれが嫌な感じではないんですよね。普通なら溜めそうな展開のところも、ラグナの狂気的な心情に沿って動いていくので、爽快感があっていいなと思って。あとはアクションが多いし、絵的にも夜の闇やそこに煌めく銀色の剣と銃だったりするので、アニメになったときにより見応えのある作品になるんじゃないかと思いました。

――そういった作品の印象を踏まえたうえで、楽曲はどのようなイメージで制作を進めましたか?

小林 アニメの監督さんサイドから楽曲の歌詞や情景のイメージをいただいていたので、それを受けつつ原作を読んで、この作品のエンディングとして流れたときにどういう聴こえ方がするといいかな、ということを考えて書きました。各話のエピソードがどんな終わり方であっても対応できるように、激しすぎず、でも大人しすぎない塩梅にしたかったので、頭はサビでガンと始まりつつ、そこから静かめに戻るような楽曲構成にして。歌詞もメロディも同時に頭から順に流れで書いていきましたね。あとはケルトっぽい印象にしたかったので、3/4拍子というイメージは最初に出てきました。

――タイトルの「鱗角」は、“りんかく”と読むんですよね。

小林 タイトルを決めるタイミングは楽曲によってバラバラなんですけど、この曲はタイトルから決めたんですよ。というのもこの曲を書いていた時期、僕が“輪郭”という概念にハマっていて……あっ、『輪るピングドラム』の“輪”に『「鬼滅の刃」遊郭編』の“郭”と書くほうの“輪郭”なんですけど。

――わかりやすい例え方をありがとうございます(笑)。

小林 リスアニ!仕様の例えです。そのアウトライン的な意味の“輪郭”という概念がマイブームとしてあって、すべては“輪郭”だよなあと思っていた時期に、このお話をいただいたので、“鱗”に“角”と書いて「鱗角(りんかく)」というタイトルにすることを最初に決めました。

――その「“輪郭”という概念」というのが気になるところですが。

小林 自分は概念にハマることがよくあるんですね。それこそ2ndアルバム(『光を投げていた』)に「光を投げれば」という楽曲があるんですけど、その時期は“光”にハマっていて。これは全部僕の捉え方の問題なんですけど、目に見えるすべてのものは何かの反射光を目で捉えて見ているものなので、「この世のすべては光なんだ」というところでずっと考えていたんですね。で、この曲を作っていた時期は、『象形に裁つ』というアルバムを制作していたのですが、そのときは何かから切り取られたもののアウトラインのことをずっと考えていて。要は「何かと何かの間や隙間の形が世界だ」という意味合いで“輪郭”を捉えていたので、ぶっちゃけると何にでも当てはめられることを、言葉を変えながらずっと考えているんですけど(笑)。でも“鱗(うろこ)”と“角(つの)”という『ラグナクリムゾン』の雰囲気に合う言葉のセットが、楽曲を作る前に頭の中でバシッとハマったので、そこから曲を作ることができて良かったです。

――タイアップの発表があった際に、小林さんは「この楽曲はアニメ尺とフル尺で構成・歌詞が少し違う」とコメントされていましたが、それはどのような意図で変えたのでしょうか?

小林 フル尺版のラスサビは“この涙さえも無意味に消えた 泣いていただけ、あの忌み嫌った弱さを二度と許さない”という形になっていて、それは最後の最後で起こる意識の変革みたいなものを意識して書いたんですけど、アニメ尺版ではそのラスサビのところをメインのサビに持ってくることにしたときに、そのままの歌詞だと時間軸や文脈的に変だなと思って。でも1番のサビをそのままアニメ尺にハメるのも違うなと思った結果、アニメ尺では1番のサビの歌詞を改めて考えて、“涙さえも凍てついた 眩い記憶を数える日々が来ないように”に変えました。要はアニメの尺感の中で一番伝わる言葉に直した感じですね。

――となると、“眩い記憶を数える日々が来ないように”というフレーズがアニメ尺用に足された部分だと思うのですが、ここはアニメに寄り添うフレーズとして考案したということでしょうか。

小林 そうですね。“いい方向に進もう”ということをどう表現するかは人によりけりだと思うんですけど、僕の考えとしては、「あのとき楽しかったな」と思うその瞬間は、多分、楽しくない状態だから楽しかった頃のことを思い返しているんだと思うんですね。現在進行形で幸福だと感じているときに「あのときは良かったなあ」とは考えないじゃないですか。なので「過去の良かったこと(=眩い記憶)」を思い出すことがない、ということはいいことだと自分は思うので、こういう言い回しにしました。未来のラグナが過去を思い出して「あのときは大事な人がいたのに」と悔やむような心情が訪れないように、っていう見方もできますけど、ラグナの目線に寄り添った楽曲というほどでもないので、僕はどういう解釈をしていただいてもいいと思っていて。ただ、あまりストレートに物事を伝えるタイプではなくて、こういうちょっと回りくどい言い方をしてしまうのは、僕もラグナも含めて共通するところなのかなと思います。

――確かに作品自体も一筋縄ではいかないところがありますしね。その一方で、歌詞の最後は“僕が必ず、僕が必ず壊さなきゃ”で締め括られるところに、ラグナの覚悟や意志のようなものが感じられるように思います。

小林 なるほど。僕はラグナだけじゃなくて、敵の竜サイドとしての歌詞でもいいなと思っていて。僕は普段、自分が歌う楽曲のなかで「〇〇するぞ」みたいな意思の表明をほぼしていなくて、断定や断言は基本避けて作詞作曲しているんですけど、この曲では僕の中で“壊さなきゃ”という言葉がすごくハマって、普段の自分であればそういうフレーズは消すんですけど、なんか消さないほうがいいなと思ったんですよね。それは自分でもびっくりしたことで、きっと『ラグナクリムゾン』という1つの大きな作品に寄りかかれるからこそ出てきたフレーズなんだと思います。

初アニメタイアップを経た次の野望
――また、今回の楽曲は、数々のアニメ作品の劇伴も手掛ける音楽家の横山 克さんが編曲を担当しています。こちらはどのような経緯で実現したのでしょうか。

小林 今回はケルトっぽいファンタジーな世界観を加味しつつ、アニメの監督さんからの要望で、僕がアコースティックギターで弾き語りしたデモの質感、孤独な情景が見える雰囲気もアレンジメントで残してほしいというお話をいただいたので、そういうお願いのできそうなアレンジャーさんがいないかスタッフの方と相談して。それで宮本さんが提案してくださったのが、横山さんだったんです。他にも何人かアレンジャーさんをリストアップしてくれたので、1人ずつ確認していくなかで、僕も横山さんがいいなと思ってお願いしました。

――おっしゃる通りアコギの音も強調されつつ、ストリングスやパーカッションといった壮大なオーケストレーションが過酷な運命をイメージさせる、ドラマチックなアレンジに仕上がっていますね。

小林 僕も聴かせてもらって「これこれ!」と思って。今回はアコースティックギターの音色も含めて、オケの部分は全部横山さんにお願いしたんですけど、孤独さもありつつ、ちょっと情熱的な面もあって、僕の弾き語りから強化してくれた感じがしましたね。横山さん自体が普段は劇伴をやられてる方というのもあって、エンディングに流れるのにぴったりな感じになったと思います。実際にアニメの放送で流れるのが楽しみですね。まさか自分がアニメの曲を歌う側になるとは考えていなかったので、自分の歌声が流れてくるとすごく不思議な感じがしそうですけど。

――実際にアニメのタイアップ曲を制作したことで、改めて感じたこと、新しい気づきはありましたか?

小林 アニメって大人がたくさん関わっているんだなあって思いました(笑)。あとはこんなにも長期スパンで制作するんだなと思って。アニメーターの友だちもいるので大変だろうことは重々承知していたんですけど、気持ちがまだ素人なんで、それこそ生配信で「俺、アニメのエンディングやるんだよ!」ってめちゃめちゃ言いたいところを、長い間グッと我慢していたんですよ(笑)。最近ようやく言えるようになって、アニメが放送される状態まできたことが嬉しいです。

――じゃあ今後もアニメタイアップのお話があればガンガンやっていきたい気持ちはありますか?

小林 そうですね。お仕事をいただける以上は、やれることがあればやっていきたいです。萌えキャラばかり出てくる作品も全然やりたいですし。いやあ、ド深夜の萌えアニメの曲、書きたいですね。そしてその曲を中学生のときに聴いて育った人といつか一緒に仕事をしたい。僕にとっての清 竜人さんみたいなもので。それができればこれ以上のことはないなと思います。

――それこそ清さんも、「インモラリスト」を皮切りに色んな声優さんに楽曲提供されるようになりましたが、小林さんも声優さんへの楽曲提供に興味は?

小林 いやあ、声優さんは関わるのがちょっと怖いですね。あまり内側を見たくないので。とはいえ、楽曲を作ること自体が好きなので、そういう仕事は何でもやりたいなと思いますね。ミュージシャンの友だちや知り合い同士で楽曲を作るのもガンガンやっていきたくて。ラッパーのGOMESSさんとよく共演させていただいたりもしましたし、あと、予備校の同級生のいとこというよくわからない繋がりの子と楽曲を作ったこともあって。それはIs-saっていうラッパーの子と作った「Two man cell.」っていう曲なんですけど、MVは僕が軽いアニメーションを作ったんですよ。そういう人と楽曲を作る作業も面白いので、機会があればやっていきたいですね。

――今回の取材で小林さんはディープなアニメ好きということもわかったので、アニメ音楽シーンでのさらなる活躍も期待しております。X(旧Twitter)の個人アカウントでは、「アイドルマスター シャイニーカラーズ」の樋口円香のヘッダー名刺を設定しているくらいですし(笑)。

小林 あはは(笑)。それこそ(樋口円香のキャストを務める)土屋李央さんは『ラグナクリムゾン』にも出演されているんですよね(ヘゼラ/グレア役で出演)。もしリスアニ!の記事にプロフィール欄があれば、シンガーソングライターとかは一切書かずに、「283プロ所属、樋口円香担当プロデューサー」とだけ書いておいてもらっていいですか。

●リリース情報
DIGITAL SINGLE
「鱗角」

アーティスト:小林私
作詞・作曲:小林私 編曲:横山克
配信日:2023年10月15日(日)

●ライブ情報
小林私 主催「長い一日」
会場:渋谷WWW
日程:2023年12月15日(金)
来訪予定者(ゲスト):黒子首、レトロリロン etc.
演出:もののけ
観覧料:4,800円+1Drink

●作品情報
TVアニメ「ラグナクリムゾン」
TOKYO MX , BS11:毎週土曜25:30~
MBS:毎週土曜 27:38~

【STAFF】
原作 小林大樹(掲載 月刊「ガンガンJOKER」スクウェア・エニックス刊)
監督 高橋賢
キャラクターデザイン 青木慎平
シリーズ構成・脚本 赤尾でこ
美術監督 込山明日香(コスモプロジェクト)
色彩設計 水野多恵子(スタジオ・ロード)
撮影監督 佐藤敦(スタジオシャムロック)
3D監督 遠藤誠(トライスラッシュ)
編集 坪根健太郎(REAL-T)
音響監督 郷文裕貴
音楽 藤本コウジ(Sus4 Inc)/ ササキオサム
アニメーション制作 SILVER LINK.

【CAST】
ラグナ:小林千晃
クリムゾン:村瀬 歩
レオニカ:水瀬いのり
スライム:ファイルーズあい
キメラ:能登麻美子
ゴーレム:東地宏樹
アルテマティア:上田麗奈
ウォルテカムイ:諏訪部順一
グリュムウェルテ:子安武人
ディザストロワ:武内駿輔
メルグブデ:塩屋浩三
未来ラグナ:神奈延年
スターリア・レーゼ:日高里菜
へゼラ/グレア:土屋李央

<STORY>
銀剣を振るい、竜を狩り、報酬をもらう職業──『狩竜人(かりゅうど)』。
ヘボ狩竜人の少年・ラグナは、ぶっちぎりの竜討伐数を誇る天才少女・レオニカとコンビを組み、日々、竜討伐に挑んでいた。
ラグナの願いはひとつ──「強くなれなくてもいい。レオのそばにずっといたい。」
しかしその想いは、これまでの相手と比べ物にならない強さを持った”上位竜”の襲撃により儚くも散りさる。
強大な敵を前にしたラグナの脳裏をよぎるのは、ここ数日ラグナを悩ませてきた悪夢──最強の力を手に入れながらも、何一つ守るべきものを持たない、絶望と孤独の未来を歩む自らの姿だった。
未来の自分が伝えるものとは……? 今の自分が選ぶべき道とは……?
そしてラグナは、謎多き新たなる相棒・クリムゾンと共に、絶望の未来を回避するための一歩を踏み出す。
挑むは、絶対強者。抗うは、強制運命。限界のその先へ──。
超ストイック異世界極限バトル!!

関連リンク
小林私 オフィシャルサイト
https://kobayashiwatashi.com/

小林私 オフィシャルX(旧Twitter)
https://twitter.com/watashi_staff

小林私 オフィシャルYouTube
https://www.youtube.com/@watashi_kobayashi_official
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