2015年に活動を開始したポピパ(愛美/Gt.&Vo.、大塚紗英/Gt.、西本りみ/Ba.、大橋彩香/Dr.、伊藤彩沙/Key.)も今年で8年目、武道館ライブや“ROCK IN JAPAN FESTIVAL”出場などを果たしてきた5人が、1年ぶりとなるソロライブを、4年以上にわたる声出し禁止期間を経て、ファンとどのような時間を作り上げたのか振り返りたい。
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TEXT BY 清水耕司(セブンデイズウォー)
PHOTOGRAPHY BY ハタサトシ、福岡諒祠(GEKKO)、山崎ユミ
笑顔と、楽しさと、シアワセを作り出すガールズロックバンド
開演前BGMとして流れていた「キズナミュージック♪」の音量が上がり、観客はライブの始まりを知って歓声を上げ、静寂と暗闇が会場を覆うなか、フロアにサイリウムの海を広げる。するとステージ上には星が飛び回り、光を振りまきながら「Poppin’ Party」の文字を、そして楽器を描いていく。
会場が明るくなると、ステージ後方の高台にポピパメンバーが1人ずつ現れ、それぞれ思い思いにポーズを決めてから中央の階段を下り、ステージ前方に並んでいく。伊藤の前のキーボードは1台、ドラムの大橋の前にはスネアとタムが1つずつ、とトロッコに乗るときなどに時々見せるシンプルスタイルだ。何から始めるのかと期待していると、愛美が「Welcome to Poppin’ Land!今日は1日素敵な日にしましょう!」と宣言し、ギターの音が響く。「Happy Happy Party!」だ。バスドラがリズムを刻むなか、愛美のギターに合いの手を入れるように大塚がつま弾き、西本が低音を加えていく。伊藤が声掛け役を担い、会場は声を上げて盛り上がる。演奏しながらもステージ上で手を、身体を左右に振るメンバーに合わせて、ペンライトも大きく左右に揺れては飛び跳ねる。間奏で伊藤が、続いて大塚がソロを奏でたあと、ラスサビに突入する頃は会場全体がすでにシアワセな気分にさせられていた。
だが、ハッピーに浸る間もなく、ハイハットのカウントが入る。
曲が終わると「皆さん、こんにちはー!」と愛美が挨拶し、そしてメンバーが演じるキャラクターでの一言から今日の気持ちや意気込みを語っていく。大塚は「皆さん、お元気ですかー!」と声をかけると、レスポンスの声が小さかったために「お疲れが溜まっているようですね」と煽り、会場から大声援を引き出してみせる。
愛美は、この日のライブコンセプトが「遊園地」であることを伝え、他メンバーも、キラキラドキドキした豪華なステージセットも、後ろの腰にベルのアクセサリーのついた「見てほしくて仕方がない」(伊藤)くらいにかわいい衣装について紹介していく。ただ、遊園地といってもどのようにライブが進むのか、愛美が首をかしげて疑問を呟くと、アニメで愛美のスクールバッグにもついていたポチにゃんによく似たキャラクターが登場!「マスク・ド・ポーチニャン」を名乗る彼によると、この日のライブ会場である「Poppin’Land」(ポッピンランド)は、「ぽっぴんエリア」「すりりんエリア」「どりーみんエリア」の3つに分かれているが、各エリアで会場にいるファンが心からの楽しさを感じたらハンドベル(ライブグッズとしても販売)を鳴らすことで、ランドの中央にあるお城のパーティーベルに明かりを1つ灯すことができる。ベルの明かりを3つ灯すことができれば来場者全員に幸せが訪れる、ということらしい。
最初は、一緒に踊れる楽しいエリアという「ぽっぴんエリア」。そこで最初に演奏するのは「ぽっぴん’どりーむ!」で、しかも曲前には伊藤による振付指導の時間を設け、ダンス強化バージョンとなった。レクチャー後には大橋がドラムでリズムをとってのリハーサルも行い、いざ本番、とそのまま曲に入る。伊藤はイントロの間もファンのためにステージ上でダンス、急いで定位置のキーボード前に移動してAメロからはキーボードとダンスの二刀流で観客をリードした。
続いては「青春 To Be Continued」。5月にリリースされライブ初披露となるパーティソングで、跳ねたリズムで血沸き肉躍るバンド曲だ。歌詞にメリーゴーラウンドやティーカップ、観覧車が登場し、盛り上がりながらも今回のライブコンセプトの源流になっていると推測させた。愛美のリードで腕を回しに回し、発散したあとは「CiRCLING」へ。愛美から大塚へ、西本へ、伊藤へ、大橋へ、メロディラインのボーカルが受け渡され、愛美や他メンバーがコーラスに回るローテーションの箇所はつい浸ってしまうが、そのなかでステージ上の5人と気持ちが繋がり、すべての心が「輪」になって、「和」をなしていくのを感じていた。それは決して誇張でも妄想でもなかったと確信させるのは、ここまでもこのあとも、ポピパメンバーの顔には常に笑顔が浮かんでいたからだ。ポピパライブに参加すると、楽曲にもパフォーマンスにも構成にも楽しさが満ちていると実感するが、この日のライブは5人が放つ眩い笑顔が際立っていた。
心から楽しんだ時間のあと、ハンドベルをみんなで鳴らし、お城のライトを灯す。再びポーチニャンが現れ、今度は「すりりんエリア」の案内をスタート。
曲のフィニッシュと同時に暗転し、スクリーンには満月と洋館が映し出され、「すりりんエリア」に移動したことがわかる。遊園地といえばこれも定番、とばかりに会場はホラーテイストに。ホラー好きの牛込りみ……に声がそっくりなナレーションが終わると、スポットライトのなかで小悪魔衣装の西本が満面の笑顔で登場。コケティッシュな衣装に反してスラップでベースを打ち付けると四つ打ちリズムが始まった。
その後のMCで演奏曲を振り返る際、メンバーからも楽しいが溢れていたが、ついに最後の「どりーみんエリア」へ。「最強の音楽で盛り上がりたいワン」というポーチニャンの願いを前振りに突入したのは「最強☆ソング」。“限界なんて見えない”と背中を押す応援ソングで、これも初披露だったはずだが、Cメロのジャンプやコールでフロアの対応は完璧。ポピパメンバーも「最強だったー!」とお墨付きを与える。ここで響き渡る、この日2度目となる驚きの声。和テイストのタオルソング、「夏のドーン!」。コミカルさに隠れた、四つ打ちと低音のベース音がポピパソングの奥深さを感じさせる名曲。会場が一体となったタオル回しは、夏を引き戻すかのごとく熱い空間を練り上げていたが、あとのMCでポピパメンバーも「いつだってやっちゃうもんね」「楽しいからね」とコメントしており、夏以外にも聴きたいと思わせる曲だ。
ポピパでしか味わえない最高のロックライブ
「どりーみんエリア」も大いに盛り上がったということでベルを鳴らし、これでお城のベルがすべて明かりを灯した。すると☆が飛び回り、ライトで描かれた城が浮かび上がる。愛美が「全部のベルが灯ったということは、ここにいるみんなに幸せが訪れた」と話すと、西本が「幸せですかー」、大塚は「私も幸せー」と感情を想いのまま口にしていく。伊藤も負けじと「まだまだみんな盛り上がれるよね?」と煽り、ステージ下からは大歓声が沸き上がるが、「あ。でも、次そんなに盛り上がれる曲じゃなかった」と話して、笑いも誘う。会場のどこを切り取っても笑顔しかない時間だった。そんななか、愛美が「最後の曲、歌っていいですかー?」と聞くが、ファンは落ち着いて一斉に両手に持ったペンライトをクロスさせる。ペンライトが作った「×」の海が美しく続く様子にポピパメンバーはまた笑顔になる。
もちろん、火照りの止まない観客からはアンコールの声が巻き起こるが、その前に登場したのはポチにゃん。「みんなも楽しかったかな」「私も歌いたくなってきちゃった」の言葉のあと、マスク・ド・ポーチニャンが光に包まれて消えると女の子が登場、実はPOPYだったことがわかる。POPYは「BanG Dream!」の新プロジェクトである「夢ノ結唱 BanG Dream! AI Singing Synthesizer」から誕生したキャラクターで、AI技術によってポピパのGt.&Vo.である戸山香澄(声:愛美)の歌声を学習している。ステージ上に現れたPOPYは、ポピパにはないクラブミュージック的音楽性を展開し、華麗に踊りながら歌ってみせる。高速で歌詞を紡いでいく新曲「世界中に響く耳鳴りの導火線に火をつけて」、鋭角的なメロディのエレクトロニカ「alternative」、そして「STAR BEAT!~ホシノコドウ~」。歌い終えたあと、POPYは「もっともっとキラキラドキドキしたい」「私にポピパの歌を聴かせて……。アンコール、アンコール……」と観客に再度のアンコールを求めるとフロアも応え、その声援のなか、ライブTシャツをアレンジしたトップスに着替えたポピパが再登場した。
アンコール1曲目は「1000回潤んだ空」。演奏後、武道館ライブなどの「節目で演奏してきた曲」ということで、感極まったことを告白した伊藤のキーボードからスタート。愛美の歌、西本のコーラスが流れ、大塚のギターが加わり、大橋のハイハットまですべてがセンチメンタルで、ファンの胸中にもそれぞれが抱くポピパとの思い出が浮かぶ。
しっとりとしたラストを迎えたあと、来年1月24日の19th Single「新しい季節に」リリース、続く4月29日には横浜アリーナでMyGO!!!!!との合同ライブ開催を発表。そしてメンバーたちからラストの言葉が。
まず伊藤は、久しぶりのソロライブに不安を感じていたが「始まると楽しすぎてみんなの優しさと温かさと盛り上げ力を感じて、それが元気となって、パワーとなり、演奏をお届けできて盛り上がってくれて。良い循環だった」「この時間が永遠になれ、っていうハッピーな時間だったんです。ポピパって楽しいを求めるバンドなんじゃないかな。遊園地みたいなバンドでいたいな。“帰りたくないな”“また行きたいな”というバンドを目指していきたい」と話した。
続いて大橋は「いつもよりも(ステージの)前(方)に出ることが多かった気がして、とっても楽しい時間を過ごさせていただきました。皆さんに負けないくらい楽しんだつもりなんですけど、私よりも楽しみましたか?」と観客と会話してみせる。大きな肯定に満足すると「リハとかもすごく長い時間をかけて、メンバーと過ごす時間も長かったので、じっくり準備をしたので『ポッピンランド』はすごく楽しかったです。ポピパのみんなが、より大好きだと思った」という言葉を紡いだ。
西本はいつものようにマイペースな口調で、でも「みんなの顔をよく見たいな。大好きだよ。大好きだなぁって気持ちをずっとずっと噛みしめてる時間でした」という嬉しい言葉をファンに投げかけてくれる。さらには「ゲネをしたときにプロデューサーが『Poppin’Partyって良いバンドだね』って言ってくれたんですよ、でしょうっ!って思って(笑)」というエピソードも。そして「絶対に今回のライブも楽しくなるだろうなって自信満々だったし、笑顔の時間を過ごして行けるんだろうなって確信しました」繋げた。
大塚は「8年前、20歳の誕生日に、メンバー5人揃っての最終リハがあって、“そこから8年かぁ”ってすごく感慨深い想いがあります」「こんなに愛してもらえて、愛せる時間があるって本当にありがたいなって思いました」と話したところで、目には涙が。「アラサーなのでいい加減泣かないでしゃべれるようになりたいなって思ってるんですけど」と笑って見せながら、「感謝の想いでいっぱいです」「ホントに今日楽しかったです、もっとPoppin’Partyでライブがしたいです」という素敵な宣言を、そして「どうして、ポッピンランドの公式キャラクターが(花園たえがかわいがっているウサギの)おっちゃんじゃないんですか」と「クレーム」を付け加えていた。最後に愛美は「(大塚が)アラサーって言ってましたけど、私もPoppin’Partyをやっているうちに30(歳を)超えまして。あと1ヵ月もしたら32になります。いえーい♪」という前振りから、「でも30を超えても、今日のライブでも、『私、成長した!』って感じるし、戸山香澄としてもっともっと表現できるなって思えて、すごく嬉しかったんですね。まだまだ、Poppin’Partyは新しい領域が見せられると思うので、これからもポピパのライブがあったらもれなく来てくれますか?」と会場に問いかけていた。もちろん、大歓声でのレスが上がったが、さらに愛美は「10周年ともなるとオリジナル曲とかね、自分たちで作っちゃってもいいんじゃないですかね」と。メンバーも「MVもまた作りたい」「グアム行こう」と夢を語り始める。この日のライブでも随所で見せてきた、ここまで一緒に歩んできた5人だからこそ見せられる自然体のキズナをここでも強く感じた。西本が喜んだようにポピパはガールズロックバンドとして、その音楽性もキャラクターも成熟を見せつつある。この日だけではなくこれまでも見せてきた、ライブ中に盛り込まれた企画だけではなく、ポピパでしか味わえないロックライブは本当に楽しく、参加した者から笑顔を引き出してくれる。
本当のラストソングは「最高に熱いこの曲で終わりましょう」という愛美の言葉からの「Moonlight Walk」。夢の世界を散々味わわせておきながら、ガールズロックバンドとしての矜持さえ感じさせる1曲をオーラスに持ってくるポピパの凄み、鳥肌さえ立つほどだった。4分ほどの熱く楽しい時間を愛美が「みんなでジャンプするよ!」と締めたあと、5人は「ありがとうございました!」と客席に向けて頭を下げ、手を振る。配信で見ていたファンは、カメラに向かってはしゃぐ姿も目にしただろう。最後の最後まで心からの笑顔をこぼしていた5人。Poppin’Partyとはシアワセを作り出すバンドだと体感させる時間だった。
■BanG Dream! 12th☆LIVE DAY1 : Poppin’Party「Welcome to Poppin’Land」
<セットリスト>
M1 Happy Happy Party!
M2 What’s the POPIPA!?
M3 ぽっぴん’どりーむ!
M4 青春 To Be Continued
M5 CiRCLING
M6 B.O.F
M7 ぽっぴん’しゃっふる
M8 Hello! Wink!
M9 最強☆ソング
M10 夏のドーン!
M11 Time Lapse
M12 RiNG A BELL
EN1 1000回潤んだ空
EN2 Moonlight Walk
●ライブ情報
BanG Dream! 12th☆LIVE
DAY1 : Poppin’Party「Welcome to Poppin’Land」
◆日程:2023年11月3日(金・祝) 開場17:00/開演18:00
◆出演者:Poppin’Party(愛美、大塚紗英、西本りみ、大橋彩香、伊藤彩沙)
DAY2 : MyGO!!!!!「ちいさな一瞬」
◆日程:2023年11月4日(土) 開場17:00/開演18:00
◆出演者:MyGO!!!!! (羊宮妃那、立石 凛、青木陽菜、小日向美香、林 鼓子)
DAY3 : RAISE A SUILEN「REVEAL」
◆日程:2023年11月5日(日) 開場17:00/開演18:00
◆出演者:RAISE A SUILEN(Raychell、小原莉子、夏芽、倉知玲鳳、紡木吏佐)
◆会場:東京ガーデンシアター(東京都江東区有明2-1-6)
◆公演詳細:https://bang-dream.com/12th-live
©BanG Dream! ©Craft Egg Inc. ©bushiroad All Rights Reserved.
●リリース情報
Poppin’Party 19th Single
「新しい季節に」
2024年1月24日(水)
<収録内容>
1.新しい季節に
2.ほな!
3.タイトル未定
4.新しい季節に -instrumental-
5.ほな! -instrumental-
6.タイトル未定 -instrumental-
[Blu-ray] ※Blu-ray付生産限定盤のみ
「ぽぴばん!のおでかけin SUMMER」
1部公演
2部公演
<初回生産分限定封入特典>
・Poppin’Party×MyGO!!!!!合同ライブ 最速先行抽選申込券
・2024年以降開催予定 Poppin’Party単独ライブイベント 最速先行抽選申込券
・オリジナルキャラクターカード1枚(全5種)
詳細:https://bang-dream.com/discographies/3574
●ライブ情報
Poppin’Party×MyGO!!!!!合同ライブ
日程:2024年4月29日(月・祝) 開場17:00/開演18:00 (予定)
会場:横浜アリーナ
詳細:https://bang-dream.com/events/pp_mygo
◆チケット最速先行抽選申込
・申込期間①:2023年11月4日(土) 10:00 ~ 2024年2月19日(月) 23:59
MyGO!!!!! 1st Album「迷跡波」初回生産分に申込券が封入
・申込期間②:2024年1月24日(水) 10:00 ~ 2024年2月19日(月) 23:59
Poppin’Party 19th Single「新しい季節に」初回生産分に申込券が封入
関連リンク
「BanG Dream!」公式サイト
https://bang-dream.com/