
「今の12番というポジションは合っていると思います」

昨年度までスタンドオフを務めていた丸山だが、今年はコーチ陣の提案もあり12番を背負う。春シーズンの試合では、視野の広さに加えキックが武器の丸山がインサイドセンターに入ることで攻撃のバリエーションが増え、相手のディフェンスは的が絞りにくいように見えた。
「今までスタンドをやっていて、センターのコールがとても大事だと感じていました。なので、今年はスタンドの武藤ゆらぎがフォワードをコントロールして、自分がゆらぎとコミュニケーションを取りながらバックスを動かす。全員で連動して、同じ画を見ることが出来ているので良いアタックになってきていると思います。」
今年8月から試験的にルールも変わり、よりキックの重要度が増す中で丸山が優勝へのキーマンであることは間違いないだろう。そんな丸山は大学に入ってからラグビーへの考え方に変化があったらしい。
ラグビーでご飯を食べていくと決めた高校時代
丸山が初めて楕円球に触れたのは小学2年時。それまではサッカーをしていたが、試合ですぐにファールを取られ「面白くねぇー」と思ってサッカーはやめたという。中学まで地元のスクールでラグビーを続けると、高校は藤田監督の誘いを受けて強豪・東福岡へ進学する。すると、そこから一気に才能が開花。1年時から花園を経験し、2年時には全国制覇。3年時は全国ベスト4だったが、この3年間がラグビーへの思いをさらに熱くさせた。
「花園を経験して、2年生からは世代別の日本代表にも呼ばれるようになりました。自分のラグビーにおける立ち位置も分かってきて、将来はラグビーで食べていきたいと強く思うようになりましたね」
成長度合いは「ラグビーを知ってるか知っていないか」で変わる

そして東海大へ進むと1年目から試合に出場。しかし、大学ラグビーのレベルは高く、必死に食らいつくので精一杯だったという。そこで4年ぶりに「ラグビーが上手くなるために必要だと思うことは?」という質問をぶつけると高校時代とは違う答えが返ってきた。
「大半はセンスや能力かもしれません。でも、能力がある選手はたくさんいるけど、それを上手く使えないと上にはいけないと思うようになりました。
感覚派なプレースタイルは高校時代から変わらない。しかし、大学・トップリーグ・海外リーグの試合を見てトッププレーヤーと自分を客観的に比較した時、もっとパススピードを速くできる。ボールを取ってから投げるまでのスピードも追及できる。キックの精度も突き詰められる。課題がたくさん見えてきた。どの場面でも自分の持てるスキルを最大限発揮できるように今は貪欲に自主練習に励んでいる。
「大切にしている言葉や考えは特にないですね。でも、常に現状に満足しないことは大事だと思っています。大学を終えた時に次のステージでも通用するスキルレベルでいたいと思っています。」
現状に満足しない。最後の言葉には力がこもっていた。
文:進藤佑基
写真提供:東海大学ラグビー部