「Here Comes The Sun」(’69) /The Beatles
春に聴きたい曲として真っ先に頭に浮かぶのはビートルズのこの曲です。15年のNME誌による『The 50 Greatest Ever Beatles Songs』では4位にランクイン、12年のロンドンオリンピック閉会式のパフォーマンスで使用されるなど、ビートルズを語る上で外せない曲でもあります。なんでもジョージ・ハリスンがその年の春を初めて感じた日にエリック・クラプトン宅の庭で書いたそうで、ジョージが率いた世界的スター軍団トラヴェリング・ウィルベリーズのメンバーでもあったトム・ペティは“この曲以上に気分良くさせてくれる音楽は他にない”と語ったとか。暗い過去を捨て、暖かい日差しを浴びる。新しい夢を持って生きるチャンスは常にあるということを私たちに教えてくれる作品です。
「A Beautiful Morning」(’68) /The Rascals
68年春にリリースされたこのシングルはそれまでのヤング・ラスカルズではなく、ラスカルズ名義でリリースされたグループ初の作品。広告や映画、テレビ番組など多岐にわたって支持され、Billboard Hot 100チャートで3位、Hot R&Bシングルチャートでは36位にランクインするなど、アメリカで大ヒットとなりました。開放感に溢れ、聴く者をリラックスさせるそのサウンドはフェリックス・キャヴァリエとエディ・ブリガッティによるもので、バンドが公演のために訪れていたハワイのホノルルで迎えたある朝に作られたそう。ハワイの美しい自然や温暖な気候が彼らふたりにインスピレーションを与え生まれたこの作品は、うららかな春の日に聴くのもお薦めです。
「Daydream」(’66) /The Lovin' Spoonful
60年代にフォークポップソングをチャートのトップへと押し上げた立役者、ラヴィン・スプーンフル。6シングル連続でチャート10入りするという快挙を成し遂げましたが、その中の作品のひとつがこの「デイドリーム」です。
「April Come She Will」(’66) /Simon & Garfunkel
“季節”と“女心”の移り変わり、そして恋愛の切なさを美しい旋律で表現したこの曲はポール・サイモンのソロ作品『ポール・サイモン・ソングブック』に収録される形で発表された後に、サイモン&ガーファンクルのセカンドアルバム『サウンド・オブ・サイレンス』へと収録されたもので、邦題は「四月になれば彼女は」です。この曲に描かれているのは4月から9月までのガールフレンドの心の移り変わりと、それを9月になって過去のものとして綴られた男性目線の恋愛体験で、ダスティン・ホフマン主演映画『卒業』の挿入歌として使用されました。
「Mr. Blue Sky」(’77) /Electric Light Orchestra
エレクトリック・ライト・オーケストラ(ELO)がリリースした大ヒットアルバム『アウト・オブ・ザ・ブルー』からシングルカットされ、バンドの代表曲として広く知られています。アルバムジャケットと音楽性そのものを合わせて“スペースロック”と呼ばれており、この曲の冒頭でもスペーシィな効果音が奏でられています。近年ではロンドンオリンピックの閉会式、日本のビールや車のCMに起用されていたので耳にした人も多いことでしょう。カラっと明るくポップなサウンドで春にもぴったりなこの曲は、雨が多い国として知られるイギリスで書かれたもの。雨が止み、晴れ渡る青空に歓喜する男性を春の訪れや自分に置き換えて聴いてみてください。
TEXT:早乙女‘dorami’ゆうこ
早乙女‘dorami’ゆうこ プロフィール:栃木県佐野市出身。音楽を軸に、コンサート制作アシスタント通訳、音楽プロモーション、海外情報リサーチ、アニメや人形劇の英語監修及び翻訳、音楽情報ウェブサイト等で執筆するなどの業務を担うパラレルワーカー。