番組部門で最優秀賞に輝いたのは、2024年4月から6月に放送された杉咲花主演のドラマ『アンメット ある脳外科医の日記』。
審査講評では「俳優陣の抑えた誠実な演技は圧倒的なリアリティがある。それを際立たせる制作陣の真摯(しんし)なものづくりによって、人が生きていくために何が必要かを、静かに、そして力強く訴えていたことが高く評価された」という。
カンテレの同部門最優秀賞受賞は、23年の『エルピスー希望、あるいは災いー』、24年の『春になったら』に続き3年連続。
特別表彰部門では『冤罪を生む刑事司法の壁に挑む検証報道』が優秀賞を受賞。テレビ報道は、警察情報に依拠した逮捕報道に時間と労力を注ぐ一方、その後の裁判を大きく取り上げることは少ない。冤罪の可能性が判明すれば、逮捕後の検証取材を行うべきではないかという信念をもとに、報道の現状に疑問を抱いた関西テレビの記者たちが、冤罪を生む構造や刑事裁判の実態に迫る取材に取り組んだ。
審査講評では、「法律の専門家である記者が志を同じくする2人の記者と協同し、警察や司法の壁を突き崩し、課題を明らかにした意義は大きい。テレビ報道の新しい価値を強く感じさせるとともに、日本におけるジャーナリズムの在り方への挑戦ともいえる取り組みが評価された」という。
【コメント】
■米田孝プロデューサー(制作局 制作部)
このたびは素晴らしい賞をいただき、ありがとうございます。エンタテインメントが多様化する時代に、どんな“テレビドラマ”が求められるのか。
■報道情報局報道センター 上田大輔/赤穂雄大/菊谷雅美
テレビ報道は刑事司法に厳しい目を向けられているか。まだまだ道半ばです。今回の受賞は「まだ諦めず頑張れ」と背中を押していただいたような気持ちです。