本展のためのオリジナル楽曲「肺魚」について、キタニはファン・ゴッホの作品や人生からイメージをふくらませたといい、今回約20年ぶりに来日した不朽の名作『夜のカフェテラス』と、『ロールハーンの星空』という作品に影響を受けたと明かした。「アルルに移り住んできたときのゴッホ、もちろんどういう精神状態だったのかは自分は会っていないのでわからないんですけれど、絵を見ている限り、言い方が軽くなってしまうんですけど、この夜の星空を描くことにめちゃくちゃハマっていたんだろうな」と感じたことを振り返った。
「自分が精神的にいっぱいいっぱいになったときに、何か美しいもので脳みそを満たして飽和させたいみたいな感覚が、自分はそうなる瞬間がすごくあって、もしかしたらゴッホもこの作品を描いていたとき、そうなっていたんじゃないかと勝手に思いながら曲を制作した」と自身の経験を重ね合わせた。
「夜のカフェテラスでゴッホと向かい合って一晩だけ話をすることができるといたら、どんなことを聞いてみたい、伝えてみたいか」という質問を投げかけられると、「なんでアルルへ来たのかといったら、パリへの疲れもあったんじゃないか」と当時のファン・ゴッホの心境を想像。アーティストの競争が激しく、空気もよくない都会から、いわゆる過ごしやすい南仏アルルへ移住したのではと思いをめぐらせながら、「『パリを離れていま、実際どう?』みたいな」と笑いをこぼした。
続けて「健やかな朝を手に入れたのか、健やかさってやっぱり自分が仕事をするうえで大事だよねって話とか。ぶっちゃけパリに戻りたいと思う?みたいな」と友だちのような会話の妄想を展開していったキタニ。「僕が東京を離れたら…とか考えたりとかもするので、『実際地方の暮らしってどうすか?』って聞きたい」「沖縄に移住する感覚なんじゃないかなって思っていて、そういうところを聞いてみたい」と楽しそうに語っていた。
世界中で愛される画家、フィンセント・ファン・ゴッホ(1853-1890)。2回にわたり開催される『大ゴッホ展』は、生前ほとんど評価されなかったファン・ゴッホにいち早く注目し、作品の収集に取り組んだ、ヘレーネ・クレラー=ミュラー(1869-1939)が創設したオランダのクレラー=ミュラー美術館の所蔵作品で構成される。
このたびの第1期では、バルビゾン派やハーグ派の影響を受けた草創期のオランダ時代に始まり、印象派を中心とする画家たちと交流したパリ時代を経て、南仏アルルで傑作《夜のカフェテラス(フォルム広場)》を描くに至るまでの、ファン・ゴッホの前半生に焦点を当てる。
MCは、南後杏子TBSアナウンサーが務めた。

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