仕事の期限が近づいているときに限ってトラブルが発生するものだ。ビジネス書のベストセラー作家、ケヴィン・ダンカン氏は「追い込まれたほうが仕事がはかどるという人がいるが思いちがいだ。
頭のいい人は、タスクが振られた24時間以内に動き始める」という――。(第1回/全2回)
※本稿は、ケヴィン・ダンカン『頭のいい人はこう考える The Smart Thinking Book』(サンマーク出版)の一部を再編集したものです。
■計画はほどほどに、実行はどんどん
思い込み:計画は完璧にしなければ
頭のいい人はこう考える:計画はすべて狂う

計画は、あくまで計画にすぎない。紙に書いたからといってそれが起こるわけではない。
「いかなる戦闘計画も敵を前にすれば崩壊する」とコリン・パウエル元米国務長官は言った。
言い換えれば、計画とは理論上のものにすぎないということだ。
そして理論と実践には大きな隔たりがある。
プロボクサーのマイク・タイソンの言葉はもっと遠慮がない。
「どんなやつにも作戦はあんのさ。顔面に一発喰(く)らうまではな」
物事はつねに変化している。ゆえに、計画段階で想定したことの大半は間違っている。
むしろそのほうが普通だ。

「完璧な作戦を来週まで待つくらいなら、次善策をいま強行すべきである」と、かの米陸軍大将ジョージ・S・パットンは言った。
要するに一番いいのは、ほどほどの計画をさっさと立てて、どんどん実行に移すことだ。
■準備段階で慌てておけば後で慌てなくて済む
思い込み:いつでもどこでも冷静に
頭のいい人はこう考える:パニックはお早めに

パニックになるのは、誰しも避けたい。だが、避けられないのであれば、早い段階でパニックになっておこう。
学生時代のような、一夜漬けでレポートを書くといった昔ながらの追い込み方は、ビジネスでは通用しない。
あれほど時間があったのにほぼ何もやらず、いきなり手当たり次第に、あるいはやみくもに動き出したところで効果はない。
大量の情報とタスクが受信トレイに放置され、気づいたときには返答や解決が極めて困難になっている。
だから次に複雑なタスクを任されたときには、早めにパニックに陥っておこう。
最初の24時間以内に主要メンバーを全員集め、どう取り組むかを決めて動き出そう。
調整など、後からいくらでもできるのだから。
追い込まれたほうが仕事がはかどるという諸君――それは思いちがいだ。
■決めるだけでなく粘り強く取り組め
思い込み:早い決断が最も大切!
頭のいい人はこう考える:決めたら行動そして継続

5匹のカエルが丸太に座っている。
1匹が飛びおりようと決めた。さて、いま丸太に座っているカエルは何匹?
たいていの人が4匹と答える。だが、正解は5匹だ。誰かが何かをしようと決めたからといって、実際にそれをしたとは限らない。
輝かしい功績を残したアメリカの女性飛行士アメリア・イアハートは言った。
「最も難しいことは、『行動を起こす』と決めることです。あとはただ根気強く続けるだけ」
だからまずは、決めることだ。それから、ぐずぐずせずやること。しかし、速やかに行動したからといって報われるとは限らない。俳優で振付師でもあるアンドレ・ド・シールズ曰く、「ゆっくり進むことが、目指す場所にたどり着く最速の方法です」
急がば回れ、根気強くタスクに取り組むことが、前進と進歩のためには一番大事なことだ。
■完璧主義より前進主義
思い込み:完璧でないと次には進めない
頭のいい人はこう考える:とりあえず前へ前へ進め

完璧なものなどない。だが、どの会議あるいは会社にも、ほぼ必ずと言っていいほど完璧主義者が何人かいるものだ。

なかには、「自分と同じくらい厳しい基準で仕事をしている者が他にいないからこうしているのだ」と言い訳をする自己防衛的な者もいる。
だが、大半の完璧主義者は、たいていこう言う。「本当はこんな性格はいやなのだがどうしようもないのだ」と。
部下は、完璧主義の上司を嫌う。なぜなら、何をやったところで、上司を満足させることは(明らかに)できないからだ。
どんな仕事をしても、必ず手直しされるため、頑張るのをあきらめてしまうことが往々にしてある。
完璧主義者はひとつの仕事を完了するのに時間をかけすぎるため、仕事の速い他の社員がいつもその遅れを取り戻さねばならず、同僚に余計な負担がかかっている。
では、どうすればいいのか?
物事を進めることに重きを置くのだ。完璧さではなく。
そして全力で取り組み、結果を出そう。
■行動すると新しい発想が生まれる
思い込み:アイデアを出してから実践しろ
頭のいい人はこう考える:やりながら考えよ

ビジネスパーソンたちは、戦略についてだらだら語り合うのが大好きだ。
勤務時間にコーヒーを飲んだり、お菓子を食べたりするのにうってつけの言い訳になる。

だが実のところ、「戦略」という仰々しい言葉で、やろうと決めたことを話しているにすぎない。
実際に着手して行動しなければ、ただしゃべっているだけだ。
昔のアカデミックジョークにこんなものがある。
「はい、実践ではうまくいっています。でも理論上ではうまくいきますか?」
あなたのチームあるいは会社が議論にばかり時間を費やし、行動が足りていないなら、ビジネス書作家リチャード・パスカルのこの言葉に耳を傾けておいて損はない。
「人は、新しい発想を得てから行動を変えるよりも、行動を変えることで新しい発想を得ることのほうが圧倒的に多い」
要は、いったん考え終えたなら、議論はそこまでにして取りかかれということだ。
そうすれば、それが本当に実践でうまくいくかがわかる。

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ケヴィン・ダンカン
ビジネスアドバイザー兼マーケティングエキスパート

イギリスのベストセラービジネス書作家。広告・マーケティング業界で20年働いた後に独立。14年にわたってさまざまな企業にアドバイスを提供。クライアントの数は400を超え、手がけたプロジェクトの数は1000を超える。クライアントは、ディスカバリーチャンネル、ロンドン証券取引所、ノキア、シェルなど多数。
ロンドン大学キングス・カレッジで講義を行う他、テレビやラジオなどにコメンテーターとして出演している。著書は25万部以上を売り上げ、20の言語に翻訳されている。著書に『クリエイティブコンサルタントの思考の技術』(かんき出版)、『頭のいい人はこう考える The Smart Thinking Book』(サンマーク出版)。

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(ビジネスアドバイザー兼マーケティングエキスパート ケヴィン・ダンカン)
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