一日の食事回数は何回がいいのか。三食必要なほど働いている日本人はあまりいないという。
医師の帯津良一さん、管理栄養士の幕内秀夫さんが書いた『なぜ粗食が体にいいのか』より紹介しよう――。
※本稿は、帯津良一、幕内秀夫『なぜ粗食が体にいいのか』(三笠書房)の一部を再編集したものです。
■パンの正体は「夜は食べられないもの」
パンの正体は簡単です。
朝は食べられても夜は食べられないもの、それがパンの正体です。なぜ夜には食べられないものを、朝には食べられるかというと、寝ぼけているからです。冗談でなく本当にそうなんです。おなかがすいていないから食べられるんです。
また、こうも言えるでしょう。朝食にパンが増えた原因は、夕食がなくなったことです。
夕食というのは、5時か6時にとる食事のことであって、9時、10時に食べるのは、夕食ではなく夜食です。夜遅くに食事をするから、朝起きたときおなかがすいていません。ご飯では重くて食べられないから、ふわふわのパンを食べるようになるんです。

ただし、パンというときには、大きさの9割が小麦粉でできている固いパンと、小麦粉が少ししか含まれていないふわふわの食パンとに、分けて考えなければいけません。食パンをぎゅっと握れば、ピンポン玉ほどの大きさにしかなりません。
だから、体を使って仕事をしている人、たとえば農業をやっている人などは、朝にはパンなんか食べていません。
でも、サラリーマンなどで、夜にお酒と一緒に遅い食事を食べている人などは、朝はご飯では重いでしょうね。そういう人は、パンにしないでお粥にすべきなのです。または抜いてしまうことです。そのほうが、まだいいくらいです。
ふわふわのパンというのは砂糖と油の入ったお菓子のようなものです。ケーキほどは甘くないでしょうが、それでも相当に甘いですから、3回続けて食べられません。
しかもパンはぱさついていますから、その上にジャム、マーガリン、バターなどの油や砂糖をまた塗るんです。それを総称して、「恥の上塗り」と言います。味噌を塗る人はいませんからね。
要するにさらに砂糖を食べるわけです。
■サラダは「野菜」でなく「ドレッシング」を食べている
また、パン食の人は、寒くなってもサラダを食べます。それで、レタス、キュウリ、トマトが高いと文句を言うことになります。夏の野菜を秋や冬に食べるんですから、高いのは当たり前ですね。
そんな高いものを買ってまで、なぜパン食の人はサラダを食べたがるのかというと、ドレッシングやマヨネーズをかけたいからなんです。
つまり、油でおなかをいっぱいにしているんです。しかも、パン食でさらにもう一品つくる人は、全員フライパンを使います。目玉焼きやオムレツをつくるためにね。
飲み物にもパン食の特徴が出ます。
ご飯を食べる人の飲み物は味噌汁かお茶です。
ところがパン食の場合、おなかがいっぱいになっていないから、牛乳やジュース、またはコーヒーに砂糖をたっぷり入れて飲むんです。
それもこれも、ふわふわのパンは、小麦粉が少ししか使われていないので、おなかがいっぱいにならないせいです。

■「朝食抜き」より危ない中途半端な朝食
ここで、朝食と一日の食事回数について考えてみます。
本屋さんに行くと、一日一食健康法という本もあれば、5回食がいいという本や、なるべくまんべんなく食べたほうがいいという本など、いろいろあります。
どの本にも述べられている一般的な傾向には、朝食を抜いた若い女性に、貧血、冷え症、生理不順、便秘などが多いということがあります。
私は、帯津三敬病院とは別に、松柏堂という食事と漢方と鍼の診療所に勤めていたんですが、ここの場合は、冷え症、便秘、貧血などの若い女性患者さんが結構来るんです。
そうした患者さんを見ていると、たしかに朝食を食べないと言っている人に、そういう症状が多いんですね。でも、よく聞いてみると、家で朝食を抜いているのはたしかですが、会社に行ってからお茶を飲みながらクッキーを食べたり、果物やせんべいを食べているんです。
つまり、みんな“中途半端な朝食”をしている人ばかりなんですよ。そういう人は中途半端におなかがいっぱいになっていますから、またお昼にご飯が入りません。
貧血、便秘、冷え性などに悩んでいる若い女性に多いのは、朝食を抜いている人なのではなく、中途半端な朝食をとっている人なんですね。
それでは、一日何回の食事がいいのかというと、それは子供の生活を見ればわかりやすいんです。
私には6歳と4歳の子供がいるんですが、遅くても寝るのは8時で、夕飯は5時、6時に食べます。朝起きるまで12時間寝ていますが、起きているときは一日じゅう走り回っています。
子供は、朝起きたと思ったら水を飲みながらもうおにぎりを食べています。
ところが、私のほうは、夜につき合いで酒を飲んだりしますから、朝、おなかがすいていないわけです。だから、私自身の反省で言えば、朝、食べないことが悪いのではなくて、朝、食べられないような夜型生活が問題だということになります。
■一日二食が日本人にはちょうどいい
一般的に日本人は、朝抜きの昼夜二食ぐらいがちょうどいいんだろうと思います。三食必要なほど働いている人はあまりいないと思います。
朝5時から畑仕事でもやって、洗濯機を使わないでおしめを洗っているとか、そういう人は別ですが、大体の日本人の労働量なら、二食で十分ではないかと思います。
ただし、先ほど言ったような中途半端にお菓子などを食べて二食にするよりは、三食しっかり食べたほうがいいですね。食事の回数については、私はそういうふうに思っています。
5、6回食べるという意見には反対します。やはり、胃腸を休ませて、おなかがすいたら食べるようにしたほうがいいでしょう。
本当は、自分で勝手に食べるのが一番いいんです。おなかがすいたら食べるわけです。
ところが、会社もあれば学校もあるからそうはいきません。その点、中学生あたりは正直ですよね。
先生が何と言おうが、おなかがすいたら弁当を食べてしまいます。ところが、大人の場合、いい年をして会社で隠れて弁当を食べるわけにもいきません。
それは生理的な意味ではなくて、社会的な意味で、できないんですね。仕事にならないわけです。だから、食事の時間が決まっているのは、体がそう求めているのではなく、学校や会社などを含めた社会がそうしているだけなんです。
できるならば、おなかがすいたら食べるのが本当だと思います。

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帯津 良一(おびつ・りょういち)

医師

1936年埼玉県生まれ。1961年東京大学医学部卒業。東京大学医学部第三外科医局長、都立駒込病院外科医長を経て、1982年に埼玉・川越に帯津三敬病院を開業。2004年に東京・池袋に統合医学の拠点、帯津三敬塾クリニックを開設。
主にがん治療を専門とし、西洋医学と中国医学などの代替療法を用いて、患者一人ひとりに合った診療を実践している。体だけでなく、こころといのちも含めた人間まるごとをみるホリスティック医学を提唱。89歳になる現在もホリスティック医学の実践、講演や執筆など精力的に活動。著書に『89歳、現役医師が実践! ときめいて大往生』(幻冬舎)など多数。

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幕内 秀夫(まくうち・ひでお)

管理栄養士

1953年茨城県生まれ。東京農業大学栄養学科卒業。フーズ&ヘルス研究所主宰。「学校給食と子どもの健康を考える会」代表。長寿村の研究をきっかけに民間食養法の研究を始める。病気や健康に役立つ実践的な食養法の第一人者として、全国各地の社員食堂や学校給食の改善に奔走するかたわら、新聞・雑誌などでも活躍中。

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(医師 帯津 良一、管理栄養士 幕内 秀夫)
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