不安や悩みを解消するにはどうすればいいか。習慣化コンサルタントの古川武士さんは「脳はまったく未知なるもの、予測不能なものに『危険』を察知し、不安と恐怖という感情を湧き上がらせる。
心のエネルギーが奪われている状態を解消するには『ネガティブリスト』として紙の上に書き出すといい」という――。
※本稿は、古川武士『頭と心がすっきりする書く習慣』(三笠書房)の一部を再編集したものです。
■不安と恐怖からあれこれ仕事をして疲弊する
突然ですが、お化け屋敷はお好きですか? あるアンケート調査によると、約8割の人たちが「怖いから好きじゃない」と答えています。
では、なぜお化け屋敷は怖いのでしょうか? 
理由は人それぞれかもしれませんが、私は中がまったく見えないということ、そして何が出てくるかわからない予測不能性に怖さがあると思います。その証拠に、一度入ったことのあるお化け屋敷に二度目に入ったとき、怖さはかなり軽減されているはずです。
仕事においても、私たちが不安・恐怖を感じるのは、全体像がわからないうえにプロセスが未経験のため曖昧であるとき、またリスクや起こり得るトラブルを把握できていないときなどが多いでしょう。
誰でも「人事異動で新しい部署・職種」に転属になったら不安が先に立ちます。
それは先ほどのお化け屋敷の話と同じで、脳はまったく未知なるもの、予測不能なものに「危険」を察知し、不安と恐怖という感情を湧き上がらせるからです。
「納期に間に合わなかったらどうしよう?」

「もしかしたら抜けているところがあるのではないか?」
このような心の声が湧き上がってきたために、「安心できるところまで今日やろう!」となり、あれこれ手をつけて疲弊してしまった経験はありませんか? しかも、結局は徒労に終わったという場合も少なくないはずです。
■推察を繰り返すと不安・恐怖・焦りは膨らむ
不安と恐怖、焦りという感情のほとんどは、次のような理由から生まれます。
・対象を曖昧にしか捉えていない(曖昧さ)

・悲観的な予想ばかりで事実を押さえていない(事実・根拠不足)

・予測できること、できないことを区別していない(不透明感・予測不能性)

・自分にできること、できないことを区別していない(自己効力範囲)
特に強調したいのは「曖昧さ」です。
根拠がない推察を繰り返したり、いつ何をどうするかという時間軸で考えることができなかったりすると、不安・恐怖・焦りは膨らみます。

これらの不安や焦りという感情は厄介なものに思えるかもしれませんが、私たちが生きていくうえでは必要な感情でもあります。
不安・恐怖・焦りという感情は、現状に対して「本当に大丈夫か?」と考えることを促すサインだからです。不安・恐怖があるから備えるし、焦るから早く行動しようとするのです。
よって、不安・恐怖・焦りのために空回りしている悪循環をなくし、炭鉱のカナリアのようにリスクを察知する能力として、これらの感情を活かしたいところです。
■あれこれ悩む前に「書く」
では、どのように活かせばよいのでしょうか?
ポイントは、「具体化」です。
曖昧なことを細かく分けて考え、具体化して明確にしていけば、不安・恐怖・焦りは消えていきます。
これを頭の中だけで行なうのは非常に難しいのですが、「書く」ことで具体化は一気に進みます。不安を感じてあれこれ悩む前に、「書く」ことですぐに頭を整理しましょう。
やるべきことの見通しがついて「大丈夫!」という算段がつけば、不安・恐怖・焦りは落ち着いていきます。
これから、そのためのワークシートを紹介しています。
■不安と焦りがスッキリ消えるネガティブリスト
「来週のプレゼンで失敗するかも」

「LINEの返信が送れていない」

「飲み会で言った言葉が相手を傷つけていないか心配」

「A社に提出する資料の納期が間に合わなかったらどうしよう」
このような気がかり・心配事・不安が累積し頭を占領すると、心のエネルギーは奪われていきます。
そこで次のように、頭の中でモヤモヤしていることをすべて紙の上に書き出してしまいましょう。

これが「ネガティブリスト」です。
書き出してしまえば、頭の中でモヤモヤとしていたことについてあれこれ考え続ける必要がなくなり、それまで曖昧だった問題を具体化して考えられるため、気持ちはスッキリします。
そして、「問題がこれだけある。では、どうしたらよいだろう?」という解決向けたレベルに進めます。
悩みや問題を解決するには、3つのレベルがあります。
〈レベル1〉何が問題かわからない、ごちゃごちゃ状態(エネルギーは低い)

〈レベル2〉状況や問題がスッキリ整理されている状態(エネルギーは普通)

〈レベル3〉何をしていくか、解決策と行動が明確な状態(エネルギーは高い)
悩みを堂々巡りさせてストレスを感じる人は、レベル1の状態にとどまる時間が長い人です。複数の悩みが頭の中で混在していると、1つひとつに焦点を当てて取り組むことができないため、ただ不安と焦りに心が乱されるレベル1の混乱状態で止まってしまうのです。
書くことで悩みや問題を「見える化」すると、混乱は落ち着き、思考はレベル2の整理された状態になります。整理された状態がつくられて初めて、レベル3の解決策や行動を考えられる状態になるのです。
混乱しているレベル1の状態のとき、エネルギーは内側に向かい低くなりますが、レベル3の解決行動にフォーカスしているときには、エネルギーが高く外向きになっていきます。
いつまでもレベル1の状態で止まらないためにも、「ネガティブリスト」を書き、心を片づけ、まずはレベル2の状態までステップアップしましょう。
■一定数書き出すと芋づる式に湧いてくる
本書では、「書く習慣」として多様なシートを紹介していますが、最初のステップとしてこの「ネガティブリスト」を書くことをおすすめします。

なぜなら、「ネガティブリスト」を書くことによって、問題が明確になり、解決行動にすぐに結びつくシートを選びやすくなるからです。
書き方ガイド
① 「気がかり・不安」の欄にマイナスの声、心のつぶやきを書き出す
気がかり・不安、やれていないことなどのネガティブな心の声を書きます。些細なことも100%出しきるつもりで書いていきましょう。はじめは何を書いたらよいか迷うかもしれませんが、一定数書き出すと芋づる式に湧いてきます。心がスッキリするまで、30~50個程度書き出します。
先延ばし事項だけではなく、不安・後悔・自己嫌悪など、負の気持ちを生んでいると思われることを自由に書いてみてください。
② それらをどうするか考える
「気がかり・不安」の欄を見て、それぞれの内容に対する対処法を「どうする?」の欄に書きます。いつ何をやるかを決めてみてください。
ただし、すべてを扱わないといけないわけではなく、「今は無視する」「今年はやらない」「断る」などとするのも1つの選択肢です。

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古川 武士(ふるかわ・たけし)

習慣化コンサルタント

習慣化コンサルティング株式会社代表取締役。1977年、大阪府に生まれる。関西大学卒業後、日立製作所などを経て2006年に独立。
約5万人のビジネスパーソンの育成と1万人以上の個人コンサルティングの経験から「続ける習慣」がもっとも重要なテーマと考え、日本で唯一の習慣化をテーマにしたコンサルティング会社を設立。オリジナルの習慣化理論・技術を基に、個人向けコンサルティング、習慣化講座、企業への行動定着支援の事業を開始。2016年には中国で6000名規模の習慣化講演を行い、本格的に海外進出をはじめる。著書は現在21冊、累計95万部を超え、中国・韓国・台湾・ベトナム・タイなど海外でも広く翻訳され読まれている。

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(習慣化コンサルタント 古川 武士)
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