小学校中学年で塾に入ったものの、勉強する気は一切なく、ノートは落書きばかり。成績も無残な結果だったという河野ゆかりさんはその後、東大理科IIIに合格する。
なぜ急成長できたのか。小中学生編に続き、高校生・受験編をお届けしよう――。(後編/全2回)
※河野ゆかり『東大医学部卒河野ゆかりの 「仕組み化」勉強法 意志力に頼らない学習自走化メソッド』(KADOKAWA)の一部を再編集したものです。
■合格を確信させた、高2の圧倒的な「貯金」
高校3年、いよいよ受験本番です。当面の目標は東大受験の大きな指標である「冠模試」でA判定を取ること。結果として、夏の二つの模試で理三志望者内13位と5位に入り、定員が約100人の理三において「このまま行けば合格できる」という確かな手応えを得ました。
3年の後半、張り詰めた糸が緩み、少しだけ気が抜けてしまった時もあります。
それでも焦らずにいられたのは、自分のそういった弱点を見越して、高2の時に「多少のことでは抜かれないレベルまで実力を引き上げる」と決めて必死に積み上げた貯金があったから。最終的には実力を維持し続け、自分なりのラインを守り切ることができました。
■「いつも通り」を徹底してセンター試験へ
私の受験は、センター試験(現在の共通テスト)から始まりました。
東大受験においては、配点が小さく圧縮されるため「それほど神経質になる必要はない」と言われることもありますが、後期日程で出願予定だった東京医科歯科大学はセンター試験の配分がかなり大きいため、真剣に対策を立てて臨みました。
試験当日は、心を落ち着かせるために「いつも通り」であることを何よりも大切にしました。
起床時刻はいつもと同じ。服装も着慣れた高校の制服を選びましたが、寒さ対策は念入りに行いました。カイロを準備し、数種類の上着を重ね着して、どのような室温の変化にも対応できるように備え、持ち物も全て模試で何度も使ってきたものと同じ道具をそろえました。
血糖値の変動で集中力が途切れないよう、昼食もコンビニでいつも通りのものを選んだ記憶があります。そして、模試のたびに持参していたハイチュウのグレープ味も会場へ持ち込みました。なんとなく「いつもの味」を口にすると心が落ち着くような気がしたからです。
■「間違い直しノート」で最終チェック
試験本番の解き方やマークの進め方も、模試を通じて作り上げた「自分なりの最適解」を貫きました。マークシートは、1問ごとに塗るのではなく、丸一ページを全て解き終えたタイミングでまとめて塗る。問題と解答用紙を往復する回数を減らすことで、集中力を切らさず、時間ロスやマークミスを最小限にすることができます。
試験直前の休み時間に支えとなったのは、書き溜めてきた「間違い直しノート」でした。「これさえ見返せば、気をつけるべきポイントが全てわかる」と信じられる一冊は、私にとって最強のお守りでした。
センター試験の結果は、物理、化学、数学IIB、英語リスニングは満点を獲得。
数学IAは痛恨のマークミスで95点に留まりましたが、英語196点、地理87点、国語187点で、総合得点は950点満点中915点。得点率96.3%という、納得のいく成績でした。東京医科歯科大学も合格圏内という確信を得て、落ち着いたメンタルで二次試験へ進むことになります。
■慶應医学部での特待生チャレンジ
二次試験は、慶應義塾大学医学部から始まりました。過去問は2~3年分解き、面接は想定質問への回答を練って本番に臨みました。
実際の面接では「東大と慶應に両方受かったらどちらに行くか」という、答えづらい質問も投げかけられましたが、「研究環境はすこぶる魅力的ですが、3きょうだいの長女なので学費を考えると特待生でないと……」と、家庭の事情を正直に答えました。
慶應の合格発表は、東大入試の合間でしたが、どうしても結果が気になり、近くのコンビニへ走ってWi-Fiに接続すると、無事に「合格」の文字が。安心して、良い心理状態で残りの試験に臨むことができました(後日、しっかり特待も頂けました)。
■試験中にトイレに3回行くハプニング
東大入試本番は、ハプニングだらけでした。まずは数学の時、カフェインの摂りすぎで、試験中に3回もトイレへ行きました! 女子トイレは遠く、試験官に併走されながら廊下を猛ダッシュする姿は奇異だったはず。それでも、我慢して集中を欠くよりは行くべきと信じて、トイレへ。往復している最中も頭の中で解き終えていない問題を反芻し、思考を止めないようにしていました。

さらに、英語のリスニングで、スピーカーから最も遠い窓際の席のうえ、救急車のサイレンが重なって音が聞こえませんでした! 音量調整を頼むか迷いましたが、やり取りで放送をさらに聞き逃すのを恐れ、じっと耐えるしかなく……。結果は30点満点中、8点。高得点を取ることを前提にしていたため、動揺しましたが、最後の科目だったのでほかの科目には響かずに済みました。
ほかにも受験票をトイレに置き忘れる(!)など失態が続きましたが、届けてくれた子とは後に同じ実習班となり、後に一緒に海外旅行へ行く仲になります。
ちなみに、合格発表のタイミングが、道に迷ってめちゃくちゃ母と口論している最中だったので、
「あ~合格してるわ(怒)」

「あっそ、よかったやん(怒)」
という会話を交わしていました。合格掲示板も見に行ったのは確かですが、とにかく怒っていたことしか記憶になく、ひどすぎる思い出です。いまだに母にはこの時のことで文句を言います(笑)。

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河野 ゆかり(こうの・ゆかり)

医師、ジュネーブ大学大学院在籍中

2000年、兵庫県生まれ。2025年東京大学医学部医学科卒業。医師国家試験合格。ジュネーブ大学大学院に在籍中。2021年~2024年放送のTBS系「東大王」に出演。
「東大王」出演や医師国家試験の傍ら、J.S.A.ワインエキスパートも取得する徹底的な自己管理力がYouTube等で話題となっている。

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(医師、ジュネーブ大学大学院在籍中 河野 ゆかり)
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