■「目先の欲望を抑制する力は家庭環境でうまく育ちます」
感情コントロールの話題に関連して、脳科学の分野でよく出てくるのが「遅延報酬」という考え方です。
衝動のままに行動せず、「今は待ったほうが得かもしれない」と一度立ち止まって考えられる力。これには、脳のブレーキ機能が関わっています。「ゲームをしたいけれど、今は我慢して勉強しよう」、そう思える能力のことです。
この力を担っているのが脳の前頭前野で、とくに「背外側前頭前皮質」と呼ばれる領域です。理性的に判断したり、先を見通したり、衝動を抑えたりする司令塔のような場所で、大人になるにつれ、ゆっくりと育っていきます。つまり、子どものうちは未発達なのですが、トレーニングで鍛えることはできます。
そして、重要なことは、遅延報酬を選べる脳に育つかどうかは、家庭環境や経済的な事情など、子どもを取り巻く環境が大きく影響しているということです。
まず、子どもは親の振る舞いをよく観察しています。子どもには「我慢しなさい」と言いながら、自分は衝動買いをしたり、ダイエット期間中におやつを食べたりしていては、遅延報酬脳はうまく育ちません。
また、強いストレスや継続的な恐怖、人格を否定されているような環境下では、このブレーキ系の働きにダメージを与える可能性があります。親の顔色が気になり、「待つゆとり」を持てない状態なのでしょう。さらに、たとえば極貧や戦時中といった特殊な状況下では、今を生きるために精いっぱいとなり、目先の得を取らざるをえませんから、長期的な判断は難しくなります。
親がコントロールできない事情はともかくとして、ぜひ「待つと得をする経験」を日常の中で意識してつくってください。
※本稿は、『プレジデントFamily2026春号』の一部を再編集したものです。
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中野 信子(なかの・のぶこ)
脳科学者、医学博士、認知科学者
東京都生まれ。脳科学者、医学博士。東日本国際大学特任教授、京都芸術大学客員教授、森美術館理事。2008年東京大学大学院医学系研究科脳神経医学専攻博士課程修了。脳や心理学をテーマに研究や執筆の活動を精力的に行う。
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(脳科学者、医学博士、認知科学者 中野 信子 大島七々三=構成 深川 優=イラストレーション)

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