宮城県塩竈市で猫をモチーフにしたお菓子の製造販売を行うNEKO竈株式会社。代表の佐藤久幸氏は塩竈市職員から転身し、2023年に母と二人で起業しました。
公務員から菓子製造業へ転身 猫モチーフお菓子で地域活性化
─現在の事業概要を教えてください。
塩竈で母と2人で菓子製造業を営んでおり、主に小売店への卸販売を行っています。社名からもご想像いただける通り、猫をモチーフとしたお菓子を製造しており、猫好きの方をターゲットにした商品の製造販売を行っています。以前は母が同じ場所でクレープ店を営んでいたのですが、2023年から業態を卸販売に転換して現在の「NEKO竈」となりました。
─代表に就任される前までは何をされていたんですか?
塩竈市の公務員を10年近く務めていました。私は隣の多賀城市で育ちましたが、ずっとこの地域で暮らしており、塩竈やその周辺地域に育ててもらったという感覚があります。地域に貢献したいという思いから役所で働いていたのですが、塩竈やこの地域全体をもっと盛り上げたいという気持ちが強くなり、地域の誰かのためになることを自分でやりたいと考えるようになりました。そこで辿り着いたのが、猫をモチーフとしたお菓子作りだったんです。猫の肉球をモチーフに「こねこのしおちゃん」誕生秘話
─猫モチーフのお菓子を作ることになったきっかけを教えてください。
看板商品の「こねこのしおちゃん」というお菓子は、クレープ屋時代の母が開発したのですが、完全に「猫推し」にしたのは私が代表になってからですね。私は生まれた時から猫と一緒の生活で、猫のいない生活の方が少ないほどです。社名の「NEKO竈」は猫と塩竈の「竈」を組み合わせた造語です。
─「こねこのしおちゃん」の開発について詳しく教えてください。
母も猫が好きなので、猫の形をした何かを作れないかと考えていて、全身か顔かいろいろ検討した結果、肉球の形に辿り着きました。もちもちとした柔らかい食感が本物の猫の肉球の感覚と似ているんです。実は、当初は今より3、4倍ほど大きいサイズだったんです。近くに小中学校があり子供たちがよく来てくれるのですが、「大きすぎて夕飯が食べられなくなる」という声をいただき、おやつ程度で済む小さなサイズに変更し、商品名に「こねこ」を入れました。結果的に、ちょっとした時に食べやすく、お土産として分けやすい点も好評で、見た目の可愛らしさも相まって多くの方に愛されています。
猫関連イベントで完売続出 「猫好き市場」の手応えを実感
─猫モチーフの商品の需要についてはどう感じていますか?
実際の需要は未知数でしたが、この「猫推し」形態のおかげで猫関連イベントにお声がけいただく機会が増えました。仙台の「ねこまつり」というイベントは猫好きの方が大勢集まるんです。それはもう「猫好き以外受け付けません」みたいな雰囲気で(笑)。商品はかなり多めに持って行ったんですが、午前中で完売するほどの売れ行きでした。また、県南の丸森町では「猫神祭」というイベントがあります。養蚕が盛んだった地域で、ネズミから蚕を守る猫を神様として祀っていて、猫の石碑や石像などが町中にあります。当社の商品は猫好きの方に確実に響いていますし、表立って言わないだけで潜在的な猫好きの方は相当多いのではと感じています。
仙台駅デビューから販路拡大 こだわりの商品展開
─現在の主な販売先について教えてください。
仙台駅の新幹線改札内の土産店に置いていただいています。こちらは、立ち上げすぐに参加した仙台の商工会議所さんが主催する商談会でJR東日本関連の企業とお話しさせていただいたことがきっかけで、一番最初に取引をさせていただいた企業です。まだ実績のない小さな企業である当社と取引いただけるなんて思ってもみなかったのでありがたかったです。他にも道の駅や地場産業の商品を扱っているお店に置いていただいています。ネット販売ではECサイトや当社のホームページで販売しており、月に1、2回のペースでイベント出展も行っています。現在のところ、売上はネットよりも実店舗の方が多いですね。
─商品のバリエーションについて教えてください。
複数あった方が選ぶ楽しさがあるので、フレーバーは必ず複数展開しています。無難なものばかりでは面白くないので、なるべく聞いたことない味を入れるようにはしています。「こねこのしおちゃん」はイチゴミルク味とかクリームチーズ味など5種類あります。
お酒に合わせるおつまみクッキー「ねことさかな」
ECサイト掲載で全国展開 ギフト市場も開拓
─販路拡大に向けてどのような取り組みをされていますか?
当社の商品は仙台駅や道の駅でお土産品として置いていただくことが多いのですが、ギフト商品として小売りやECサイト、カタログギフトの企業ともつながっていきたいと考えています。実際に「猫好きの友人へのプレゼント」を探している方は多く、パッケージも含めて可愛らしさを追求している当社の商品は、そうしたギフトニーズにぴったり合います。
お酒のおつまみを探している企業とも協業したいですね。おつまみクッキーは甘くないお菓子でありながら可愛らしい見た目を両立させた商品で、「猫×酒」という独自の切り口で新たな需要を開拓できると感じています。
ECサイトでセレクトショップを展開されている企業さんからお問い合わせをいただき、当社の商品を掲載していただきました。魅力的な商品写真を撮影してくださったことがありがたかったです。
仙台駅では新幹線改札内での販売なので旅行客の方の目には留まるのですが、そこから先の広がりには限界があります。今回ECサイトに掲載されたことで、全国の猫好きの方にアプローチできるようになり、認知拡大につながっています。
「評価・紹介・支援」事業を支えてくれた3つの出会い
─これまでで印象的な出会いはありますか?
この仕事を始めてから、事業の方向性や自信につながった3つの大きな出会いがあります。1つ目はJR東日本関連の企業の方です。当社の商品を最初に評価してくださり、猫モチーフという方向性に確信を持たせてくれました。
2つ目は仙台で猫グッズを扱う雑貨店の方です。塩竈のイベントでお声がけいただいたことから、仙台や丸森の猫関連イベントへの出展が実現し、丸森では継続的に商品を扱っていただく店舗との出会いにもつながりました。
3つ目は中小企業基盤整備機構が行っているよろず支援拠点のフードコーディネーターの方です。月に一度お話しさせていただき、商品開発面でのアドバイスをいただくなど、精神的な支えにもなっていただいています。
この3つの出会いが、今の事業の基盤を作ってくれた重要なつながりだと感じています。
猫のお菓子を架け橋に塩竈の魅力を全国に発信
─今後の事業展望について教えてください。
最終的な目的は塩竈やこの周辺地域の発展に寄与することです。まずはこの事業を成長させて認知を高め、これをきっかけに塩竈に来てもらい、観光や経済面で地域に貢献してもらえればと思います。また、将来的には地域の雇用創出にも貢献できればと考えています。─最後にメッセージをお願いします。
当社の商品をアピールする場だと思うのですが、塩竈の魅力を伝えさせてください。塩竈は港町で、人口当たりのお寿司屋さんの数が日本で最も多いと言われています。
これだけ魅力のある地域なので、当社の猫のお菓子をきっかけに塩竈を知っていただき、実際に足を運んでもらえたら嬉しいです。この地域全体が盛り上がることが一番の目標ですから。
ねこかまど ネットショップ:https://nekokamado.stores.jp/
販売場所の情報やイベント出展情報などを発信中!
インスタグラム:https://www.instagram.com/nekokamadocompany/
X:https://x.com/sakura_nyanko39
関連記事:https://connect.bigadvance.jp/success/1040/