7月3日(水)に新曲“ubugoe”を配信リリースしたravenknee(レイベンニー)。デビューEP『PHASES』から約7ヶ月ぶりとなる今作は、ミックスエンジニアに前作同様サカナクション「さよならはエモーション」等々を手掛ける土岐彩香を迎え、平成から令和へと時代を繋ぐようなドラマチックな展開となっている。

ポストロックやエレクトロ、シューゲイザーなど、彼らの音楽的ルーツが色濃く散りばめられつつも、ポップへ昇華した“ubugoe”は、新たなravenkneeの幕開けにも感じる楽曲だ。今回は、この“ubugoe”について、制作背景や楽曲への思いや、8月11日(日)に開催される自主企画についてなどじっくり語ってもらった。

ravenknee - ubugoe(Official Music Video)

INTERVIEW:ravenknee

――7月3 日にリリースした新曲“ubugoe”の評判がとてもいいですね。松本祥(Vo/Gt以下、祥) 「ポップだけど、革新的なところを突いていて、聴いたことのない感じだった」と言われたのは嬉しかったですね。松本一輝(Gt以下、一輝) 今までのテイストを加えながらも、聴きやすいように、ポップに仕上げているので、これまでとは違った印象の楽曲になりました。――“ubugoe”はみなさんのルーツが散りばめられていて、それが「革新的」と言われる部分に繋がっていると思うのですが、作る上で、どんなことをイメージしましたか? 僕が高校2年生ぐらいの時に、なんとなく一人でいっぱい曲を作ってた時期があって、特に披露をするとかもなく溜め込んでたストックがあるんです。構成も決まってなくて、歌詞もなくて、メロディーとコードだけある曲で、いつかバンドをやる時に、できたらなっていうような。今までそのストックを弾き語り、僕が90%くらいトラックを作り込んだものをみんなに渡してたんですけど、今回は、ギターと声だけで録ったやつをみんなに送って、そこから組み立てていくっていう新しい形で、初めて作ったやつですね。一輝 自分は“daydreaming”(2017年12月に自主制作にて発表した楽曲)の感じがすごく好きなので、そういう北欧のテイストのギターリフと、それにのっかるようなシンセサイザーのリフを重ねられたらいいなと思いました。祥くんからもらった音源に、その2本だけを1コーラスつけて送り返して、それを元にだいたい90%くらい完成させてもらって、それからメンバー全員で構成を削って、足したりしてという感じですね。 本当は転調してCメロとかあったんですよ。結局、最後はサビが転調するんですけど、元々はCメロっていうまったく別の転調があって、そこで転調してたんですよね。でも、ごっそり思い切って削ってみたり、ひたすら5時間ぐらいバンドでスタジオに篭って、構成を考えながら作りましたね。

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――制作にはどれくらいの期間かかったんですか? 弾き語りのボーカルをみんなに送ったのは2月末くらいでした。そこからレコーディング撮り終わったのが4月の半ばです。一輝 期間的にはそんな経ってないかもしれないですけど、何回もトラックを作り直したり、そういうので結構労力がかかりましたね。――東さんと安田さんは初めて楽曲を聴いた時、どんな印象でしたか? 安田照嘉(Ba以下、安田) 弾き語りできたっていうのはすごく新鮮でしたね。祥くんの弾き語りがいいと思って、バンドに入ったというのもあったので。東克幸(Dr以下、東) トラックが作り込まれてきた時に、それを再現するのがドラムの重要な課題だと思ってたんですけど、フィルの自由さも“ubugoe”の前ぐらいからあがってきてて、色々考えていれられるようになって。鳥が羽ばたいていくイメージを想像しながらプレイしました。

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――みなさんの“ubugoe“のイメージは? まぁ、緑は浮かびました。あくまでポップで壮大で、エレクトロで、空間の広がりがあるようなシューゲイザーまでいかないけど、北欧や民謡系のサンプルを取り入れたり、エレクトロなんですけど、オーガニックなイメージというか。安田 北欧のお祭りはイメージしてましたね。一輝 電子音楽に使われている音色は民族楽器だったりとか、自然っぽさを意識してます。安田 音楽的な面でもジャンル的な面でも、「新しい時代への移り変わり」というのを考えてました。

一輝 ある意味、前から一貫してるよね。“新しいことをやっていきたい”っていうのは。

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――確かに5月から年号が令和に変わり、時代の移り変わりは感じますよね。以前、インタビューさせてもらった時は、サーキットフェスの出演を控えていたり、ライブの本数も去年に比べて増えていると思うのですが、そういったことを踏まえて、バンドに何か変化はありますか? すごくありますね。ライブが楽しくて、自信になってきたというか。一輝 「やってやったぜ」みたいな感覚がたまにでてきましたね(笑)。安田 ハプニングを楽しめるようになってきた感じはありますね。 あと、ライブ中にテレパシーが通じるような感覚。メンバー間で目だけで話せるような感じがでてきたような気がします。エレクトロバンドといえど、グルーヴとか、フィジカルを大事にしているところもあるので、そういうのが結構難しい課題ではあったんですけど、エレクトロをメインに、例えばエレクトロユニットだったらほとんど2ミックスで出してる感じでよかったりだとか、他にもユニットの難しさもあると思うんですけど、バンドサウンドはバンドサウンドで生音だけでやってるバンドがあったりする中で、結構エレクトロの2ミックスと生音とのバランスみたいな、中音と外音がこうでみたいなのは、すごく難しい課題なんですけど、毎回、ライブごとに小さい課題を考えている中で、クリアしているような気がしていて、それがこの半年間で、自信と楽しさに繋がってる気がします。一輝 僕はできるところは全部ちゃんとリアルタイムでやって、ちゃんとドラムとかにもエレクトロの同期とかを返しているんで、たぶんリアルタイム感っていうのは伝わっていて、電子音楽なんだけど、ライブの生感に繋がっていると信じているんですよね。そういうことを追求していって、やっと形になってきたかたな、と思います。

 毎回、ライブは少しずつ違いますね。曲の繋ぎとか、セクションのアレンジとか。エレクトロの部分も毎回同じシーケンスが鳴ってる日はないし、エフェクトをかけるタイミングもその日によって違うし。セットリストは決めているんですけど、アレンジは本番でいきなり変わったりとか結構ありますね。

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――それに対して、周りのお客さんの反応はどうですか? こっちが楽しくなるにつれて、反応もいい方向に変わってきている気がしますね。一輝 ちゃんとやれば伝わると実感しましたね。――8月11日には、リリースを記念した自主企画がありますが、どんなライブになりそうでしょうか? 新曲盛りだくさんでいきたいと思っています。まだ音源も公開してないし、ライブもしてないし、本当に誰も聞いたことない曲がたくさんあるんです。ライブでしかやってない曲は結構あるんですけど、それを抜いてもまだ新しい曲がたくさんあるので、そこでお披露目できたらなと思います。――楽しみです。今回、企画に出演予定のLucky Kilimanjaro とthe engyとは、どんな繋がりがありますか? 2バンドとも繋がりが深いバンドです。Lucky Kilimanjaroは、revenkneeが結成してから2回目のライブで一緒に共演をしました。

初めてあったのはもう少し前ですね。ライブハウスで会ったんですけど、僕、結構コミュ障というか、初対面の人と話が続かない人なんです。そしたらキーボードのまおたき(大瀧真央) ちゃんとかきて、「バンドやってるの?」とか、ただの客だったのに、こっちがすごく質問を受けて。そこからちょいちょいライブハウスで会うようになって、挨拶するようにはなりましたね。the engyは前にやっていたバンドで、2回くらい対バンしましたね。安田 僕はthe engyは普通にファンだったんですよ。ravenkneeを組んだくらいの時に、このバンドでイベントするなら、the engyを呼びたいっていう話をしていたのは覚えてますね。 その時、YouTubeにEPのトレイラーくらいしかなくて、メンバー不明みたいな感じだったんですけど、それをてるくんがディグって聴かせてくれて、「日本人!?」みたいな印象でした。安田 そのあと、the McFaddinっていうバンドと仲が良いみたいで、なんやかんや繋がっていたって感じですね。そしたら、同じレーベルに所属することになって、すごく縁の深いバンドになりましたね。 いつのまにかレーベルメイトになってましたね。

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─――縁のあるバンドが出演されるんですね。

今回の自主企画が一つの区切りとして、ravenkneeの次のステップは? やっぱり、より大きい会場でライブがしたいですね。一輝 取り急ぎ、アルバムですね。もう曲は録り終わっているので。――どんなアルバムになりそうですか? 今まで通り、エレクトロやクラブミュージック的な方面から攻めるということを意識しながら、ポップの中で新しいことを探そうとしているような局面も持ちつつ、“OCEAN”や“ubugoe”みたいな日本語の壮大なシューゲイザーや僕らのルーツを詰め込んだ作品になると思います。一輝 今回は今までと違って、メンバー全員が関わっている曲が増えていて、その多様性も生まれていると思います。 一緒に切磋琢磨してゼロペースから作った曲が結構あります。これまでのEPのようにジャンルが違う曲が目まぐるしく変わるんですけど、1つの物語として構成的に流れをつくれたらなと思います。一輝 より多様性になったから、その間がでてきたって感じですね。いろんな幅がある曲ができたので、その間を繋げる曲ができてきたっていう感じですね。ライブの幅もそれで広がっています。――アルバムに収録される曲が、今回の自主企画で聴けるかもしれないですね。楽しみにしてます。

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Text by maomaoPhoto by Hayato Oishi

INFORMATION

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ubugoe

2019.07.03(水)ravenknee収録曲1. ubugoe詳細はこちら

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The era of turmoil

2019年8月11日(日)OPEN 17:30/START 18:00東京 clubasiaADV/DOOR ¥3,300(1ドリンク別)LINE UP:Lucky Kilimanjaro、the engy

詳細はこちら

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