
27日にフランス1部、レンヌに加入することが決定した日本代表FW古橋亨梧。
ほかの欧州主要リーグに資金力で劣る傾向にあるリーグ・アンで、古橋のような30代の選手に対して1200万ユーロ(約20億円)という巨額の移籍金を支払うケースは珍しく、日本でも大きく話題となっている。
ただ、移籍先であるレンヌの懐事情は日本ではあまり知られていない。
フランス屈指の大富豪
カンヌ国際映画祭に出席するフランソワ氏と妻でメキシコの国民的大女優であるサルマ・ハエック氏(写真/Getty)クラブのオーナーを務めるのはフランス人実業家フランソワ・アンリ・ピノー氏。フランス国内でも指折りの大富豪として知られている人物だ。アメリカメディア『ブルームバーグ』によると、フランソワ氏は世界で39番目に裕福な人物であり、その資産額は6兆円にものぼると予想されている。
これはマンチェスター・シティを所有するアブダビの王族シェイク・マンスール氏をはじめとしたサッカー界の有名オーナーたちを上回るものだ。
フランソワ氏の本業はフランスの多国籍企業ケリンググループの会長。ケリングが所有する企業の中にはグッチやイヴサンローラン、バレンシアガといった世界的高級ファッションブランドが名を連ねている。スポーツ関連では、レンヌのユニフォームサプライヤーを務めるドイツのスポーツ用品メーカー・プーマを2018年まで傘下に置いていた。
また、フランス国内では環境保護などの慈善活動に積極的なことでも知られており、2019年のノートルダム大聖堂の火災が発生した際には、1億ユーロ(約160億円)を寄付したことでも話題となった。
レンヌとフランソワ氏の関わり

そんなフランソワ氏がレンヌと関わりはじめたのは1998年のこと。ケリンググループの創業者でもある父フランソワ・ピノーがレンヌを買収した際、息子であるフランソワ氏も経営に参画。2017年からは事業を父に代わりオーナーを務めている。
父子がクラブを買収して以降、1部と2部を行き来する所謂エレベータークラブであったレンヌは、降格もなく国内屈指の名門チームとして変貌することになる。
今季は現在16位と低迷しているものの、この冬の移籍市場では古橋のほかにも、アルナスル(サウジアラビア)からコートジボワール代表MFセコ・フォファナ、RCランス(フランス)からフランス代表GKブライス・サンバを補強し、計70億円以上の移籍金を支払い、現況を打破するため、豊富な資金力を活かし積極補強に動いている。
レンヌは過去にフランス代表FWウスマン・デンベレなどを輩出していることから、若手育成に積極的なクラブという印象も強い。ただ、ベテランに差し掛かりつつある今冬の積極補強は「勝つための補強」だと言える。
“グラスゴーの英雄”古橋は、名物オーナーの期待に応え名門レンヌの救世主となれるだろうか。古橋のフランスでの活躍に注目だ。