中国で近年、健康志向ブームを背景に「スーパーフード」が広く知られるようになってきている。ヘルシー料理に使う定番の食材としてだけでなく、ティードリンク業界でも人気商品の「立役者」になっている。
ケールフィットネスビューティードリンクやビーツ美肌ドリンク、無糖アサイー美肌ドリンクといった具合に、ドリンクの食材を前面に押し出しているティードリンクブランドが今、野菜中心のドリンクメニューを打ち出している。そしてもともと健康志向だった人たちは今、野菜を「食べる」だけでなく、「飲む」ようにもなっており、それがトレンドとなっている。
やや苦みのあるケールを味見した後、「まるで緑地帯の草を食べてるみたい」とやゆする人もいるものの、健康志向の人々の気勢は全く削がれていないようだ。
資料によると、20世紀初めに生まれた「スーパーフード」という言葉は、米国のチキータ・ブランドが、栄養たっぷりであることを際立たせてバナナを宣伝するために考案した。21世紀に入ると、さらに幅広い意味で使われるようになり、抗酸化物質やビタミン、ミネラルといった栄養素を豊富に含む食品なら何でも「スーパー○○」と呼ばれるようになった。
中国ではソーシャルメディアを通じて「スーパーフード」が拡散され、流行している。
例えば、ハーバードヘルス出版の公式サイトが発表した「健康を促進するスーパーフード10種類」がネット上で拡散された。その10種類とは、ベリー類、魚、葉物野菜、ナッツ、オリーブオイル、全粒穀物、ヨーグルト、アブラナ科の野菜、豆類、トマトとなっている。
また、国内外の健康やグルメをテーマにしたブロガー、フィットネスの達人がケールやビーツ、アサイーなどをたびたび紹介していることもあり、その影響でそれを食べたり、ジュースにして飲んだりする人が急増している。
しかしこれらのもともとあまり知られていなかった食品は高価であるケースが多い。
野菜や果物をそのまま食べるのはちょっと苦手という若者には、さまざまな「スーパーフード」のパウダーがお勧めだ。ケールパウダー、アサイーパウダー、ビーツの根パウダー、ウコンパウダー、カムカムパウダーなど、あらゆるスーパーフードがパウダーになって売られている。
しかし、これらの「スーパーフード」の効能は本当にそれほど優れているのだろうか?単なる「スーパー」マーケティングではないのだろうか?
栄養士の資格を持つ金星(ジン・シン)さんは、「科学の世界において、『スーパーフード』の明確な定義は無い。これはむしろマーケティング用語といった方がいいだろう。栄養価の高い『スーパーフード』もあるが、普通の食品でもきちんと組み合わせて食べれば必要を満たすことができるので、やたらとその栄養価を崇めたてる必要はない」との見方を示す。
しかも加工品の場合、逆効果になる可能性があることは注目に値する。金さんは「ケールパウダーやアサイーパウダーといった加工品の場合、栄養が流出してしまっている可能性がある。ミキサーにかけたり、乾燥させたりすることで、ビタミンCや食物繊維を壊してしまう可能性があるからだ。さらに、口当たりをよくするために加えられた糖分や乳製品のせいで、却ってカロリーオーバーとなってしまうこともあり得る」と指摘する。
つまり、「スーパーフード」といっても、必ずしも「スーパーヘルシーフード」であるわけではないということだ。
ハーバード・T・H・チャン公衆衛生大学院の公式サイトの記事によると、「スーパーフード」という宣伝文句にすることで、売り上げが大幅にアップし、数十億ドルの産業に拡大する。また、リサーチ会社・ニールセンの調査によると、消費者は「ヘルシー」と思う食品のために喜んでお金を使うとしている。(提供/人民網日本語版・編集/KN)