2025年4月28日、中国新聞週刊は、ホテル向けの「配達ロボット」メーカーの先駆け的存在で、株式上場を目指している企業が過去3年で多額の赤字を出していると報じた。
記事は、中国のホテルで急速に普及している「配達ロボット」の先駆け企業である北京雲迹科技が香港証券取引所に提出した株式上場申請書類から、同社が過去3年間で合計8億1500万元(約163億円)の赤字を出していたことが明らかになったと伝えた。
そして、同社がマリオットやヒルトン、華住など国内外の大手ホテル3万軒以上にロボットを導入し、23年には中国のホテルロボット市場で12.2%のシェアを獲得して業界トップに立った一方、24年に入ってからは売り上げが伸び悩んでおり、営業拡大と価格競争の激化もあって収益が悪化したと指摘。24年時点で現金は約1億元(約20億円)しかなく、直近の3年間では資金調達も行われていないことから、株式上場による資金調達が事業継続に向けて不可欠な状況になっており、仮に上場が不調に終われば、過去の投資契約により巨額の債務返済が発生する可能性もあることを紹介した。
記事は、ホテル用ロボットが新型コロナを背景として「無接触」「非対面」の需要拡大で脚光を浴びたものの、市場は想定ほど広がらなかったと解説。一方で参入業者は後を絶たず価格競争が激化し、主力モデルの平均販売価格は2年で半分近くに下落した。雲迹科技は配達ロボットに清掃や案内など新機能を加え、病院や商業施設にも展開を広げているが、依然として売り上げの8割以上がホテル関連に偏っていると伝えた。

さらに、業界全体でも資金調達が急減し、大手ロボット企業が相次いでリストラに踏み切っており、今では「黒字化できない業界」として厳しい目が向けられていると紹介した。
この件について、中国のネットユーザーは「ロボットの活用シーンが間違っていると思う。ロボットは人間ができないことをやる、人手を補うという目的で利用すべきで、人間と仕事を奪い合うべきではない」「上の階にデリバリーを届けてくれるのは便利だが、それだけって感じ」「コロナ期の産物にすぎない」「ホテル業だけでは限界がある。ただ、今のロボットでは飲食業のニーズを満たすのは難しい」「単に目新しさがあったってだけ」「温かみを感じないものは好きになれない」といった感想を残している。(編集・翻訳/川尻)