中国メディアの環球時報は10日、「ピールアパートフィルムのビンテージ感が中国の若者を魅了している」とするシンガポールメディアのCNAの記事を取り上げた。
記事によると、長い間製造が中止され、現在では写真愛好家の独占物とみなされているこの引き剥がし式のインスタントフィルムが、著名人の推奨や若者の懐古趣味に後押しされ、中国で現代的な復活を遂げている。
深セン在住の大学2年生のフーさんも、1月にそうした写真を撮影してもらい、レトロなフォーマットに魅了される若者らの仲間入りを果たした。撮影してもらった3枚のうち、1枚は自分用、1枚は友人用、もう1枚は2人一緒に写ったもので、料金は約900元(約1万8000円)と安くはない。しかし、フーさんによると「大切な瞬間を捉えたり、大切な人と撮ったりするのに、値段の高さを気にしたり、画質にこだわりすぎたりすると、記念や記録の意味が薄れてしまう」という。
中国語で「剥がせるフィルム」を意味する「撕拉片」という言葉が、小紅書(レッドノート)や微博(ウェイボー)などの中国人向けSNSでトレンドとなり、何百万回も閲覧されている。
中国におけるピールアパートフィルムの復活は、ファッションや音楽、テクノロジーなどの分野に浸透しているノスタルジア体験を取り入れたより広範な世界的トレンドと結び付いている。ある研究者によると、このフィルムのユニークな画像効果が若者の間で注目され、SNSを通じて急速に広まり、レトロトレンド現象を生み出し、それが市場の需要をさらに刺激している。
このトレンドがいつまで続くのかについて、独立系写真家のアンクル・ワン氏は「セレブやインフルエンサーが一通り試したら、おそらく衰退するだろう。それでも、ポラロイドや従来のフィルムへの需要は、安定したファン層がいるため今後も続くと思う」と語る。写真スタジオのオーナーのシュー・ホワン氏も同意見で、レトロな美的トレンドは「永遠に続く」とし、「フィルムが入手できる限り、愛好家らはそれを存続させるだろう」と語る。(翻訳・編集/柳川)