国際学術誌の「セル(Cell)」は16日、浙江大学、中国科学院、南昌大学、深セン華大生命科学研究院、デンマークのコペンハーゲン大学、ドイツのミュンスター大学の研究者からなる合同研究チームによるアリの適応性と社会的進化の遺伝的基盤を解明した研究成果の論文を掲載しました。

体長1センチ足らずのアリは不思議な組織力を持っています。

言葉の交流に頼らずに協力し合って立派な巣を作り、指示をしたりされる意識がないのに、最も厳密な分業システムが存在します。合同研究チームは、世界の163種類のアリの全ゲノムデータを統合してアリ科の進化プロセスを再構築しました。その対象は現存するアリの16亜科のうち12亜科、343属のうち97属に及びました。研究成果は、アリという生物種の複雑な類縁関係を明らかにしただけでなく、アリの共通の祖先を約1億5700万年前のジュラ紀後期にまでさかのぼって、恐龍時代のアリの祖先の「社会構造」を解明しました。

研究チームは、アリの共通の祖先のゲノムにおいて、嗅覚や知覚に関わる遺伝子群に顕著な拡大現象が出現していることを見出しました。このことは、アリの共通の祖先が社会的なコミュニケーションの鍵となる分子メカニズムを備えたことを示しています。また、アリの種類が異なれば、「どの個体が女王アリになり、どの個体が働きアリになるのか」を決定する過程のシグナル通路の役割メカニズムに違いがあり、そのことは自然の選択により環境に適応する進化をしてきたことを示しているとのことです。(提供/CRI)

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