2025年7月20日、独国際放送局ドイチェ・ヴェレの中国語版サイトは、韓国で反中感情が日増しに高まっている背景について報じた。

記事は、保守派の尹錫悦(ユン・ソンニョル)前大統領が戒厳令を発布した昨年12月以降、韓国では尹氏支持者による抗議活動が起こり、「中国共産党は出ていけ」と叫ぶ抗議者も出現したと紹介。

6月に革新派の李在明(イ・ジェミン)大統領が就任しても活動が続いており、今月9日には駐韓中国大使が韓国政府に抗議し、在韓中国人に安全を呼び掛ける事態になったと伝えた。

そして、抗議の背景は尹氏の対中強硬政策に対する強い支持があるとし、6月のデモに参加した市民から「韓国のタンカーの90%は台湾海峡を通る。もし中国が武力で台湾を統一すれば、韓国経済は中国に深刻に依存することになる。中国は台湾侵攻の際、日韓が介入しないよう、日韓に親中政権を樹立しようとしている」「韓国は自由民主主義を守るため、米国、日本、欧州、北大西洋条約機構(NATO)と強固な同盟を築く必要がある。それなのに今の政権は中国やロシア、北朝鮮との同盟を志向している」との声が聞かれたと紹介した。

また、「中国が不動産購入、文化浸透、技術スパイなどの手段を通じて、韓国を含む世界各地で国際的な影響力を拡大している。反対しているのは中国ではなく、中国共産党とその『チャイナ・ドリーム』だ」という大学生の声も併せて伝えた。

記事は、韓国での反中感情が高まっている要因について、17年の高高度防衛ミサイル(THAAD)配備問題、高句麗の帰属などを含む中国の歴史認識問題、北京冬季五輪における朝鮮族衣装を中国文化として紹介したことや、中国語の「キムチ」呼称変更といった文化的な問題、中国人観光客のマナー違反問題といった点を挙げた。

さらに、韓国は歴史的に広範な世界観を欠いてきた背景があり、外国(特に中国)に対する人種差別意識が根強く残っていると指摘し、在韓中国人や東南アジア系労働者への不当な扱いにも表れているとの見解を示した。(編集・翻訳/川尻)

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