英BBCの中国語版サイトは18日、「中国のネット民が特権に激怒している」とする記事を掲載した。

記事はまず、中国で人気上昇中だった女優のナーナシ(那尔那茜)さん(35)が、特権を巡って厳しい監視を受ける人々のリストに加わったと伝えた。

今年2本のヒット映画と期待されたテレビドラマで重要な役柄を演じてブレークするはずだったナーナシさんは6月に大学受験を巡るスキャンダルが浮上してネット民の反発を招き、出演ドラマのクレジットから名前を削除され、ブランド各社との取引も絶たれた。

中国ではここ数カ月の間にこうした怒りが2人の女優、ハーバード大卒業生、そして北京の一流病院の医師という若い女性に向けられた。4人はいずれも家族のコネを利用して不当な利益を得ていたとして非難された。

失業率の上昇と景気減速に不満を抱く中国の若者は努力よりも人脈が報われると考えていることが調査で明らかになった。ナーナシさんは女優である母親のコネを利用して名門の演劇学校に入学したと告発された。

インターネットスキャンダルは中国に限った話ではないが、厳しく検閲された社会においては、怒りや疑問、あるいは単なる失望を吐き出すために必要とされる手段となっている。中国には独立系メディアがほとんど存在しないため、広大なSNS上には憶測やうわさが急速に拡散する余地が残されている。そして、場合によっては、オンラインユーザーが独自に調査を行い、疑惑を検証し、不正行為を暴くこともある。

中国共産党の努力にもかかわらず、国民の不満は消えず高まり続けている。党は若者に対し、「民族の復興」に向けて苦難に耐えるべきだとするメッセージを伝えている。しかし、中国人が率直に発言できる数少ない場の一つであるネット上では、しばしば単に「彼ら」と呼ばれるエリート層が享受する優位性について人々が議論する中で、このメッセージは空虚に響いているようだ。

記事は、SNSの微博(ウェイボー)や小紅書(レッドノート)では、「私たちが3世代も懸命に働いてきたのに、いまだに貧困にあえいでいるのは、彼らのせいだ」「私たちは1分(中国の通貨単位、1分は1元の100分の1)ずつしか稼げないのに、彼らは何億も私服を肥やしている」とするコメントに多くの共感が寄せられたことを紹介した。

(翻訳・編集/柳川)

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