中国南西部にある四川省雅安市天全県はチベットへの玄関口として知られています。天全県は雪山からの雪解け水という自然の恵みと先端技術を生かして、現在までに世界のキャビア市場でのシェアが14%を占めるにまで成長しました。

この夏に国道318号線沿いの天全サービスエリアに新設されたキャビア体験センターでは、キャビアをトッピングしたアイスクリームやヨーグルトが提供されているほか、AR技術を使いキャビアの生産プロセスを追体験できます。

キャビアはチョウザメの卵の加工品です。チョウザメは冷水を好む魚で、水質に対して極めて敏感です。天全県は、雪解け水の最高水温が年間を通じてセ氏23度以下で、酸素含有量は1リットル当たり8ミリグラムに達するなど、冷水魚の養殖に極めて適しています。地元政府は「シェア養殖池」、つまり村民が土地を提供し、企業が技術管理を担当する「共同建設・共同養殖・共有利益」という新たなモデルを確立しました。

また、メスのチョウザメは性成熟まで7~15年の飼育期間を要していたのですが、分子生物学の手法による雌雄判別技術の導入により、従来は3年間が必要だった性別判定期間を半年に短縮することに成功しました。さらに遺伝子育種技術の応用により、性成熟に至るまでの期間を5年程度にまで短縮できる見込みです。また、四川農業大学などが保有する31件の特許技術の活用により、天全県におけるキャビアの単位面積当たりの生産量は従来の養殖方法に比べて30倍以上とのことです。

キャビアの鮮度と品質を保つためには、チョウザメの捕獲から卵の摘出、洗浄、塩漬けまでの16の工程を15分以内に終えねばなりません。加工工場では国際標準化された生産プロセスが確立され、EUの認証も取得しました。

天全県産のキャビアは成都から中国全国、そして世界へと広がり、シンガポールやドイツの高級ホテルのメニューにも「四川天全産キャビア」と明示されるなど、世界でその名が知られつつあります。(提供/CRI)

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