南沙諸島永暑(ファイアリー・クロス)礁の島駐在環境保護機関と中国科学院島礁総合研究センターの20日の発表によると、今年7月以降、島に駐在する科学研究者が中国南沙諸島永暑礁の沿岸海域で国家一級重点保護野生動物であるジュゴンの活動を持続的にモニタリングしているという。新華社が伝えた。
ジュゴンはカイギュウ目ジュゴン科の唯一の現存する海洋種であり、メスが赤ちゃんを抱きかかえて授乳する姿から民間では「人魚」と呼ばれている。世界で最も古い海洋哺乳類の1つであり、主にインド洋と西太平洋の浅い海域に分布しており、国際自然保護連合(IUCN)のレッドリストでは「危急種(VU)」に指定されている。体長3メートルに達するこの草食性の海洋哺乳類は、海草藻場生態系の健全性を維持する上で重要な役割を果たす。その採餌行動によって海草の再生を促し、生息地の生物多様性を守る。ジュゴンは国家一級重点保護野生動物であり、2008年に海南省東方市で死骸が発見されたのを最後に中国では姿を消し、22年には沿海で「機能的に絶滅した」と宣言された。
中国科学院南海海洋研究所の宋星宇(ソン・シンユー)所長は、「これまで永暑礁近くで国家一級重点保護動物のアオウミガメとタイマイの活動の跡が確認された。アオウミガメは砂浜で産卵・繁殖し、タイマイの生存はサンゴ礁の健全性と密接にかかわっている。ジュゴンの出現は海草藻場の生態系が健全に保たれていることを示している。この3種の動物が永暑礁の海域で相次いで発見されたことは、永暑礁の島礁生態系の独自の価値を際立たせており、中国の南沙諸島の岩礁における生態建設と保護の大きな成果を裏付けるものだ」と述べた。

科学研究者は、「ジュゴンは通常2~3頭の家族群で行動することが多いため、今回なぜ1頭だけでここまでやって来たのか、さらにモニタリングと研究が必要だ」と指摘した。(提供/人民網日本語版・編集/KS)