2025年8月24日、仏国際放送局RFI(ラジオ・フランス・アンテルナショナル)は、中国で数年前より流行している日焼け防止のために顔全体を覆うマスク「フェイスキニ」が勢力を拡大し、中国当局が神経をとがらせていると報じた。
記事によると、仏誌「ル・ポワン」はこのほど、中国で猛暑により日焼け防止用フェイスマスク(フェイスキニ)が全国的に「爆売れ」しており、「中国で最も人気の新スタイル」として海外メディアでも話題となっていると報じた。
そして、フェイスキニは皮膚を日光から保護する目的で顔の輪郭にフィットし、首や胸部まで覆うものもあると解説。デザインは覆面のように目と口だけを露出するもの、さらには口だけしか開いていないものなどがあり、ハイテク素材による軽量・洗濯可能・紫外線防止機能を持つ生地で作られていると説明した。
また、山東省青島市発祥と言われるフェイスキニについて、特に日焼けを恐れる女性が海辺で着用していたものが、今や日常のあらゆる場面で使われるようになり、自転車に乗る際や地下鉄、オフィス、銀行でもその姿を見かけるほか、使用者層も中高年層から若い女性へと拡大し、SNSでも当たり前のように見られるようになったことを伝えている。
記事によると、中国では日焼け止め製品市場が急成長しており、昨年の製品売上は約800億元(約1兆6000億円)に達した。これに伴いフェイスキニも前年比50%増の売上を記録し、男性向けアームカバーも倍増するなど、もはや特殊な流行ではなく社会に定着したトレンドとなっているという。中国のコンサルティング会社のアナリストによると、フェイスキニブームは健康志向と「白い肌色が優雅さや社会的地位を象徴する」という根強い美的価値観、そして個性を重んじる消費者の意識によって支えられているとのことだ。
記事は一方で、中国当局が人々の日焼けに対する「過度な不安」を非難し、日焼け止め製品が消費主義の泥沼に陥っているとの批判を展開していると紹介。特に中国当局が懸念しているのがフェイスキニの流行であり、中国において身分を表す重要な要素である顔が覆い隠されることで「匿名化」することに対して強い不安を示していると伝えた。(編集・翻訳/川尻)