ヤングスキニーがドラマー・しおんの脱退と、新メンバーオーディションの開催を発表した(詳細はこちら)。そんないま改めて読み返したいのが、Rolling Stone Japan誌面連載「かやゆー放談」のこの一篇。
フロントマン・かやゆーがホストを務め、様々なゲストとのクロストークをお届けしてきた本連載において、今回は異例の単独インタビューをお届けする。取材は脱退発表前のもので、初の日本武道館ワンマン『いつか僕は誰もが羨むバンドになってやる日本武道館』(2026年2月17日)を振り返るかやゆーは、しおんとのわだかまりが解けるまでを率直に語っている。その手応えは、結果として、しおんの新たな決断を前向きに支えたものでもあったのかもしれない。

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「ヤングスキニーにいるかやゆー」が一番カッコいい

ー武道館ワンマン、めちゃくちゃ良かったです。ご自身で点数を付けるとしたら何点のライブでしたか?

かやゆー 100点でしたね。浮腫まないための美容の献立をチャッピー(ChatGPT)に作ってもらって、その通りに生活してたのでフェイスラインも良い感じでしたし(笑)。多分、今までで一番ちゃんとリハをやったんですよ。いつもリハってお客さんがいないからつまんなかったんですけど、今回は毎回楽しかった。ツアーと違って一公演しかないから身が入ったのかもしれないですね。その一日に色んな人が来るから、僕の中でもやりたいことがたくさん浮かんだし。そしてその通りにライブできたから100点です。

ーピュアにリハを楽しめるようになったのはすごく良い変化ですね。


かやゆー しおん(Dr)とのわだかまりみたいなものがなくなったのも大きかったかな。俺、ああいうヤツにあんまり言い返せないタイプなんですよね。昔サッカーやってたんですけど、チームに一人はすごい上手くてミスに厳しいヤツがいるんですよ。で、そのせいで徐々にサッカーが嫌いになったりして。しおんも知識がある上に口調が強いから、言いたいことがどんどん言えなくなってたんです。「セトリ、本当はこうしたいんだけど」みたいな。

ーサッカーと同じようにバンドにも苦手意識が芽生えかねなかったと。雪解けしたきっかけは?

かやゆー 半年前ぐらいかな。仲の良いカメラマンとゴンちゃん(ゴンザレス、Gt)の3人で飲みに行こうとしてたんですけど、ゴンちゃんが体調不良になっちゃって、その時にふとしおんを誘ってみようと思ったんですよね。あいつ、普段は打ち上げでもあんま飲まないから。まあ、恥ずかしいんでそのカメラマンから連絡してもらったんですけど。それでお互いに結構飲んで、今まで言えなかったこととか逆に褒めたいこととかも全部話せたから、モヤが晴れたっていうか。
それ以来リハでも意見を言えるようになったし、だからこそ武道館は満足できるライブになったんだと思います。

ーそれまで一方的に言う・言われるの関係だった二人が、ようやく腹を割って話し合えたんですね。

かやゆー 今は周りの人からも「最近のかやゆーとしおんは全然ギクシャクしてない」って言われますね。そもそも元から、ライブに関する意見が一番合うのはしおんなんですよ。「あそこ良かったよね」みたいな感想が一致するし、俺がメンバーに対して思う「こうしてほしいな」に気付いてくれるのもしおんなんで。似てるが故に言い出しづらいことがあったんだと思う。

ーMCで「俺、バンド好きっすわ」と語っていたのも、そういったやりとりがあったからなんですかね。

かやゆー もしかしたらそうなのかもしれないですね。最近は「バンドマンって良いな」ってより強く思うようになったかな。やっぱり一人でしっかりやってるシンガーソングライターじゃなくてバンドのボーカルに憧れるんですよ。ちょっとダメなところがありそうなフロントマンが好きだし、俳優でもダメ男役が似合う人に惹かれちゃう。

ー極端な話ですけど、もしヤングスキニーの3人がかやゆーさんに愛想を尽かしてある日突然脱退したとしたらどうしますか?

かやゆー そしたらもう一回バンドを組みますね。
こないだ、古舘(佑太郎)さんに「タイムテーブルで『古舘佑太郎』って個人名見たくないんで早くバンドやってください」って話をしたんですけど(笑)。やっぱり、ソロじゃなくてこのバンドに属してるかやゆーが一番カッコいいと思う。ヤングスキニーの中にいるからこそ、よりカッコよくいられる気がするんですよね。

ー話を戻しますが、武道館当日を振り返った時に真っ先に思い浮かぶ光景は?

かやゆー アコースティックセットでやった「三茶物語」。今までのライブの中でも一番良い景色だったと思います。「あれがクライマックスでも良かったよね」ってメンバーと話すくらい。センターステージで360度から歌声が聴こえるのに感動したし、3人に順番に歌わせたりもして、演出された良さではなく普段通りのヤングスキニーの良さがより一層表れたなって。感慨深かったです。

ーかやゆーさんはお客さんを思い切り煽るようなタイプではないから、合唱で自然に一体感を生み出せる「三茶物語」が果たす役割は大きいですよね。

かやゆー ライブで「やりたくなさそうなのにやってる人」の顔が見えるのが嫌なんですよ。顔と体の動きが合ってない、みたいな。武道館は、みんなが自然に楽しんでくれたのもあるし、僕の目が悪いから規模感的にあまり顔が見えなくて気が楽でした(笑)。
大きい規模感のライブだから、ライトな層っていうか……キャピキャピしたお客さんがたくさん来て変な雰囲気にならないか心配してたんですけど、むしろ今までで一番良いムードだったような気がしますね。エゴサしてみても、ファン同士で揉めてるような感じはなかったし。

ー武道館なのに、むしろライブハウスよりも親密な空気感が生まれていました。

かやゆー そうですね。そういえば、アコースティックをやりたいって最初に言ったのはしおんだったけど、僕一人での「雪月花」の弾き語りは当初の予定になくて。それもしおんとちゃんとコミュニケーションを取れるようになったから実現したことでした。僕だけに注目される時間で、大きな楽しみの一つだった。そうやって楽しみを何個も作れたライブでした。

ーリリースされたばかりの最新アルバム『理屈で話す君と、感情論の僕』が武道館のサイズに馴染んでるのも印象的でした。特にギター・ベース・ドラム以外の音色が立体的な「本音」「カレーライス」はあのスケールだからこそ綺麗に響いてて。

かやゆー 確かに。アルバムの曲は全部、武道館映えしてたと思いますね。
逆に「カレーライス」はライブハウスでどうやるかが難しかったりする。

ーそれは楽曲制作の段階で意識していたことだったんですか?

かやゆー いや、全然。っていうかそもそも、僕はバンドが売れて鍵盤とか入れるようになるのがあんまり好きじゃなくて……。

ーヤングスキニーもめちゃくちゃ入れてるじゃん(笑)。

かやゆー ははは(笑)。やる側になるとそうした方が良くなる曲もあるってわかるんですけどね。ただ、武道館では鍵盤を入れなくてもいい曲は出捌けの都合とかを気にせずに4人でやりたかった。ホールツアーの時は「ゴミ人間、俺」とかにも鍵盤が入ってたけど、今回はそれをやめたいと。それを今回はちゃんと(セトリを考えている)しおんに伝えることができました。

武道館だからこそ届いた人間らしさ

ーそもそも、セトリや演出を考える上ではどんなことを意識していたんですか?

かやゆー アンコールの最後に「誰かを救ってやる暇などないけど」をやりたいっていうのは僕が言いました。最初はいつものライブみたいに「死ぬまでに俺がやりたいこと」とかをやろうとしたけど、別にあの荒々しさは必要ないなと思って。

ーラストにかやゆーさんが一番好きな曲だという「誰かを救ってやる暇などないけど」を選んだことについては、ご自身のnoteでも綴っていましたね。


かやゆー アルバムの最後に入ってる曲だし、MVとかもないから、案外知ってる人が少ないんですよね。ライブでもあんまりやらないし。だからスタッフから「武道館の前に何か映像でも出しとく?」みたいな話もされたんですけど、僕は「こんな曲あったんだ」くらいの素直な気持ちで聴かせたかった。昔書いた曲だけど、ずっとあの歌詞の気持ちは変わらないと思うし、それを同級生や友達も来ているライブで歌えたのはグッと来ました。

ーアルバムの最後の曲までしっかり聴いてほしいという思いは、アコースティックコーナーで「ちゃんと帰ってくるから、許して」を披露する前のMCにも表れていました。

かやゆー 僕自身シャッフルで音楽を聴いたり、アルバムの前半しか聴けてないこともありますけど、ふとした時に今まで気付いてなかった良い曲がアルバムの後半に入ってたことに気付いたりするんですよ。ヤングスキニーでも僕の好きなゆったりめの曲は最後に収録されちゃうことが多いから、できればそこまで聴いてほしいです。

ーライブの終盤は、「精神ロック」や「憂鬱とバイト」といった音楽やバンドに対する思いを綴った曲が詰め込まれていました。かやゆーさん自身も少しエモーショナルになっているように見えましたけれど。

かやゆー 終盤は自分の率直な気持ちに近い曲が多くて。恋愛の曲だと、MCで話すことがないんですよ。昔はそれでも頑張って喋ってたけど、言いたいことだけ言った方がいいなと思うようになってからは、自分の生き方についての曲の方が気持ちが乗りやすくなって。自然と言葉が出てきたから、気が付いたらそうなってたのかも。

ーそういう楽曲をまとめて届けられたのもあの規模感のワンマンならではですね。かやゆーさんの語る言葉と楽曲が綺麗につながっていました。

かやゆー 恋愛の曲はMCがなくてもお客さんが自分のことと重ねて感じてくれると思うんです。でも、僕自身の生き方や人生観を歌った曲をお客さんにも自分ごととして受け取ってもらうには、MCがあった方がいいのかなって思っていて。曲だけでは伝えきれないことを、あのMCで補えた気がします。僕自身、歌っている人の人間性が垣間見えると勝手に感情移入しちゃう方なので。お客さんにも僕の人間らしさを感じてもらいたいと思ってます。

ーそういえば、当日ご両親は会場にいらっしゃってました?

かやゆー はい。ゲストで呼べるっていうことを伝えてたのに、普通にチケットを買って来てくれました。しかも、早く買って前の方になっちゃったら気まずいからって言って、ソールドアウトギリギリに。

ー素敵なご両親ですね。何かお話はしましたか?

かやゆー お父さんからは数日前にLINEが来てて……(スマホを確認しつつ)「『ちゃんと帰ってくるから、許して』を聴くと、勉強しろって言っても勉強するフリをしてた勇斗を思い出すよ。『理屈で話す父親と、感情論の僕』って感じで、勇斗も色々考えてたんだなと思います」って。

ーしっかり曲を受け取ってくれてますね。

かやゆー お母さんからはライブ後に「お疲れ様、すごいカッコよかった。こんな経験をさせてくれてありがとう」って。もうちょい色々言ってくれてもいいのにと思ったんですけど(笑)。

ーいやいや、温かいメッセージだと思いますよ。

かやゆー 親も来るからあえて「憂鬱とバイト」のことをMCで話したので(バンド活動開始後に大学を辞め、両親からの仕送りを打ち切られたエピソード)、感動してくれるかなと思ったんですけど。まあ、色々言われたら言われたで恥ずかしいんでしょうけどね。親だけじゃなくて、「こいつがいるからこの話をしよう」っていうMCは多かったです。何本もあるツアーだと話すことがないし、メンバーに「こいつまた同じこと言ってるよ」って思われるのが恥ずかしいからMCが苦痛なんですよ。武道館ではちゃんと人に矢印を向けて話ができた気がします。

ーその言葉は矢印が向いてない方向にも思わぬ形で刺さったりするだろうし、それが良いライブになった要因でもあるんでしょうね。

かやゆー あっ、あと打ち上げの話もしたいんですけど、いつもの汚い居酒屋じゃなくてちょっと小洒落たバーみたいなお店だったんですよ。貸切で。ただ、俺はガブガブ飲みたかったのにメンバーはみんなしっぽり話し込んでて全然楽しくないっていう。「しおんとりょうとくんはもう嫌!」って思いました(笑)。結局、ゴンちゃんを連れてまさみ(セカンドバッカー)とかいつもの友達と合流して、いっぱい飲めるって本当に幸せだなって実感しましたね。

ー大舞台の後なのに、みんな冷静だったんですね(笑)。

かやゆー まあ、みんな変わっちゃいましたね。しおんは打ち上げするって行ってるのに車で来てたし。俺は武道館までバイクで来たけど、わざわざ家に置いてから打ち上げ会場に行ったっていうのに。しかもバッテリーが上がっちゃってて、武道館から出るために3万5千円払って(笑)。

ヤングスキニー・かやゆーが語る、バンドであることの確かさ

Photo by Rika Tomomatsu

かやゆー、アメリカへ

ーさて、武道館を終えて今後の活動に対するマインドは変わりましたか?僕は、かやゆーさんのソングライティングとカリスマ性が一番光るのは大きな会場のワンマンだなってあの日確信したんですけど。

かやゆー 確かにステージに現れた時、会場の「かやゆーが来た!」感は自分でも感じました。元々は興味なかったけど、武道館を経て大きい会場でやることの楽しさが分かったし、アリーナとかにも立てるようになりたいとちょっとは思えるようになったかもしれないです。歌ってて気持ち良かったし、演出にも凝れて楽しかった。大きければ大きいほど良いって話じゃないけど、大きいところで歌う自分が一番カッコよかった気がします。

ー元々、生粋のライブハウス育ちというわけでもないですもんね。

かやゆー ちょうどこの間bokula.の47都道府県ツアーにでたんですけど、俺らはそういうバンドじゃないなって思いました。近い距離でぶつかり合うよりも大勢の前でカッコいいところを見せる方がヤングスキニーらしいし、楽曲も映える。もちろんそこに立つための底力がないといけないから難しいけど、大きい会場でもっと良いライブをできたらよりカッコいいバンドになれそうだなって思ってます。

ーヤングスキニーが新たなチャプターに突入していく気配がありますね。かやゆーさん個人としては、武道館以降どんな日々を過ごしてますか?

かやゆー 今、やりたいことが何もない。別に武道館で燃え尽きたっていうわけじゃないんですけど、これから何をすればいいんだろうっていう状況です。だから一旦、来月頭にアメリカにでも行こうかなって。アメリカで旅してたら、なんか悩んでそうじゃないですか。さらなる進化を求めてるフリをしようかなって。まあ、行くのはユニバとかディズニーなんですけど……。

ーそんな(笑)。

かやゆー 中学の時に短期留学みたいな感じで2週間くらいだけアメリカに行ったことがあって、その時の感覚が忘れられないんですよね。何においてもいつもと何かが違うっていうか。それを大人になった今もう一度味わいたいです。

ーところで、武道館アーティストとなってからモテ度に変化はありますか?

かやゆー いや、変わらないかな……あれからガールズバー行ったっけ。最近、酔っ払うと一切記憶がなくなるんですよね。まあこれからも変わらず、キャバクラやラウンジじゃなくて、ガールズバーの帝王になりたいです。

ー最後に、この対談連載企画『かやゆー放談』をどうしていくか、この場を借りて会議させていただきたいのですが、これまで印象に残っている回はありますか?

かやゆー あきらくん(YouTubeチャンネル『あきらをプロデュース』)とはYouTubeも撮らせていただきましたけど、バンドマンにも結構見てもらってるみたいだし、自分でもちょくちょく見返してますね。異例の回で良かったと思います。

ー次回以降、ゲストに呼びたい人は?

かやゆー 呼びたい人はいっぱいいるけど……僕、結構他人がどう思ってるかを気にしちゃうから、喋るのが得意じゃないんですよね。

ーそもそも、かやゆーさんってそこまで他人に興味ないんじゃないかっていう疑惑もあって。ヤングスキニーの歌詞にしたって、自分の気持ちか、他人から見た自分のことばかりじゃないですか。

かやゆー そうなんですよね。他人に興味ないし、変なところを気にする性格だし、友達も少ないし、嫌われるのが怖いし。知ってはいても熱烈に好きな人ってあんまりいないんですよ。だからまったく関わりのない人と会うのってあんまり得意じゃなくて。

ーこの企画自体が崩壊するような発言(笑)。たとえば最近かやゆーさんがハマってることがあったら、それに詳しい有識者に話を伺うとかどうですか?

かやゆー 何か趣味があればいいんですけど、まったくなくて困ってるんですよ。あ、M!LKの佐野勇斗さんと話してみたいですね。ただ一つ、向こうの方が圧倒的にカッコいいから僕の存在感が薄れるっていう懸念点がありますけど(笑)。

ーM!LKにハマってるんですか?

かやゆー 少し前のドラマを観てたら、「あれもこれも佐野勇斗だったんだ!」って気付いて。早くあのくらいの年齢になりたいんですよ。一番色気があって、モテる余裕も出てきて。僕も20代後半、またもう一段階モテたい。でも、20代後半でガールズバーに通ってたら嫌ですよね。絶妙にどっちにも振り切れてないっていうか。おじさんでもなければ若気の至りでもなくて、ちょっとキツいかな……。

ーここまで堂々と語ってたらもはや誰も気にしないと思いますよ(笑)。我々がよく話しているのは、しっかりした人に来てもらって、かやゆーさんを叱ってもらうっていうのもアリなんじゃないかっていう。

かやゆー えー、嫌だ。怒られるの嫌いなんで(笑)。

ヤングスキニー・かやゆーが語る、バンドであることの確かさ

ヤングスキニー
嘘だらけで矛盾だらけの日常を歌う、東京発の4人組ロックバンド。2020年8月、かやゆー(Vo, Gt)を中心に結成。2024年10月にメジャー2ndフルアルバム『BOY & GIRLS』を、2026年2月11日にはメジャー3rdフルアルバム『理屈で話す君と、感情論の僕』をリリース。2月17日、バンド初の日本武道館ワンマン公演「いつか僕は誰もが羨むバンドになってやる日本武道館」をソールドアウトで完遂。6月にはヤングスキニー初のファンクラブ限定全国ツアー「ヤンスキカンパニー全国株主総会」を開催する。

ヤングスキニー・かやゆーが語る、バンドであることの確かさ

『理屈で話す君と、感情論の僕』
ヤングスキニー
SPEEDSTAR RECORDS
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