「地上最強の猛毒」と言われるダイオキシン。廃棄物の焼却など、物を燃焼する時に発生し、環境や生物を汚染してゆく。
そんなダイオキシンの排出を抑制する新しい焼却炉が開発された。ひとつの小さな焼却炉が地球を救う大きな手段となるかもしれない。

――ダイオキシンの排出減少は焼却炉から

 人工物質としては最も強い毒性を持つダイオキシン。その主な発生源はごみの焼却。有毒ガスとして大気に放出され、大気中の粒子などに付着、雨などと一緒に土壌や川に落ち、地球を汚染してゆく。プランクトンから魚へ、魚から人間へ、時には母親から母乳により乳児へと、食物連鎖を通じて体内に蓄積される。体内へ取り込まれる原因の大部分は食物からで、その他、呼吸、手についた土、飲み水などが考えられる。

 その約9割がごみや産業廃棄物を焼却するときに発生すると言われている。10年ほど前から、大気汚染法、廃棄物処理法により、焼却施設の煙突などから出るダイオキシンへの対策が開始された。廃棄物焼却炉などへの対策を講じ、排出量を大幅に低下させることにより、健康への影響を未然に防げる。


――一般の焼却炉との違いとは

 焼却炉というと、当然、処理物を“焼却”する炉だが、この『有機物磁力分解装置MG--22』(以下「磁気焼却炉」)は、“焼却しない”焼却炉ある。ではどのようにごみを処理するのだろうか?

 一般的な焼却炉と異なり、数万ガウスの磁石を使用し、焼却せずに有機物を分解処理する。
密閉した炉内へ磁力によりイオン化した空気を送り、内容物を炭化するのだ。処理物を磁波の中で酸欠状態とし一定の温度で乾留させて処理するので、ダイオキシンの発生要素(酸欠反応火力)が欠如、加えて、炉内の温度が有害物質の発生する700~750℃よりはるかに低温の約180~200℃であるため、ダイオキシンがほとんど発生しない。また排気管(煙突の出口手前)にて、700~750℃で臭気および煙を焼き切って排煙するため、有毒ガスの排出も減少。

 更に、処理物自体が炭化を持続するため、一般の焼却炉のように常に燃焼を促進するための燃料などが不要、電気やガス、石油といったいかなるエネルギーをも必要としないのだ。この磁気焼却炉は、ダイオキシンおよび二酸化炭素の排出量低下、そしてエネルギーの節減に限りなく貢献してくれる。

 樹脂、繊維、生ごみ、木類などの有機物は炭化が促進されて炭のようになるが、石類、金属、ガラスなどの無機物は高温にならないために無変化の状態で炉内に残留する。炭化した有機物は、土壌改良剤として使用できるという某大学の研究報告もあるという。有機物は炭化し、無機物は炭化せずに炉内に残留するため、例えば、医療廃棄物や電子基板などといった樹脂と金属の組み合わさったごみをそのまま投入でき、分解処理の後、金属のみを取り除くことができる。これなら医療廃棄物処理者が分別中に注射針から細菌に感染するリスクが減少する。これらの特殊な廃棄物の処理はむしろ高効率で行えると言えるかもしれない。

――磁気処理のデメリットもメリットへ

 環境にやさしく、万能と思える磁気焼却炉だが、低温でゆっくりと炭化するため、処理能力が低く、2m3の廃棄物を処理するのに5~8時間の処理時間を必要とする。しかし二重扉の構造により、炉内の稼動状態を維持しながら廃棄物を投入することができる。
常時稼動させることで、処理時間の問題はクリアできるとも言える。将来的には、炉から発生する熱の利用で温水を供給するなどといった再利用も可能となるという。処理能力を考慮すると、中小規模の工場、医療・福祉施設などが使用対象となるが、環境への小規模な取り組みでも、いずれは大きな環境保護へとつながる。環境保護に最も必要とされるのは、個々の意識による小さな取り組みなのだ。

生産先:
(株)日省エンジニアリング
東莞市塘厦日省電子加工場
広東省東莞市塘厦鎮第1工業区新迪小区1棟4楼
中国販売代理:
CJS隆健(天津)国際貿易有限公司
朝陽区将台路2号愛都大厦408
010-6597-5226 139-0108-5417(渡辺)

※このインタビュー記事は、現地の日本語情報誌『SUPERCiTY』による提供です。今の中国を知るための総合情報ポータルサイト URL:http://www.chinasupercity.com/

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