中国の臓器移植「死刑囚に依存」から脱却へ、ただし問題も山積
 中国政府関係者によると、中国は臓器移植に必要な内臓などについて「死刑囚頼み」の状態から脱却を徐々に進めつつある。しかし移植を必要とする患者に比べて臓器がきわめて不足しており、違法な臓器売買が横行するなど、問題も山積しているという。中国新聞社などが報じた。(写真は「CNSPHOTO」提供)<br><br>【関連記事・情報】<br>・<a href="http://news.searchina.ne.jp/disp.cgi?y=2011&d=1013&f=national_1013_187.shtml" target="_blank">臓器売買で医師ら8人を検挙…手術室に警察踏み込む=山東</a>(2011/10/13)<br>・<a href="http://news.searchina.ne.jp/disp.cgi?y=2011&d=0816&f=national_0816_082.shtml" target="_blank">手術中の医師「ボーナス受け取ってくる」と立ち去る=武漢</a>(2011/08/16)<br>・<a href="http://news.searchina.ne.jp/disp.cgi?y=2012&d=0204&f=national_0204_124.shtml" target="_blank">【中国ブログ】日本の健康診断を体験「看護師も医師も親切」</a>(2012/02/04)<br>・<a href="http://news.searchina.ne.jp/disp.cgi?y=2011&d=0603&f=national_0603_233.shtml" target="_blank">【中国ブログ】日本と差がありすぎる! わが国の医療</a>(2011/06/03)<br>・<a href="http://news.searchina.ne.jp/disp.cgi?y=2011&d=0301&f=national_0301_190.shtml" target="_blank">催眠治療受けた女性、施術の医師の精液を注入される=中国</a>(2011/03/01)<br>"(サーチナ) 画像(1枚)
 中国政府関係者によると、中国は臓器移植に必要な内臓などについて「死刑囚頼み」の状態から脱却を徐々に進めつつある。しかし移植を必要とする患者に比べて臓器がきわめて不足しており、違法な臓器売買が横行するなど、問題も山積しているという。
中国新聞社などが報じた。(写真は「CNSPHOTO」提供)

 中国政府・国家衛生と計画出産委員会の人体器官移植臨床技術応用管理委員会の黄潔夫主任によると、中国は臓器移植について「大部分が死刑囚の臓器に頼っている」と説明した上で、「死刑囚頼みの状態から徐々に脱却し、(一般人の)臓器提供と患者に対する公平な分配のモデルを徐々に構築しつつある」という。

 しかし中国では、腎臓透析者が100万人存在し、毎年30万人が肝機能の衰えで、20万人が心肺機能の衰えで死亡している。これらの人々のうち、約30万人は臓器移植手術で命を救えると考えられるという。ただし、実際に臓器移植を受ける患者は年間で1万人程度にとどまっている。

 黄主任は、臓器移植が死刑囚に依存している状態は「世界のどの国も、臓器移植が始まった初期にたどる発展段階。米国もそうだった」と主張。「ただし、国家の社会、経済が進歩するにつれ、多くの国が死刑囚の臓器を使うことを排除した。我が国は世界で唯一、臓器移植で使う臓器を死刑囚の遺体に依存している国だ」と説明した。

 ただし、臓器の提供を承諾する一般人が少なすぎるという問題もあり「中国の国情に合致し、われわれの伝統文化が許容できる臓器提供の道を構築する必要」があるという。

 臓器を必要な患者に「公平に分配」する制度の構築も2011年に始まった。臓器移植を希望する患者について、「移植の必要性」や「待ち時間」を合わせた「移植必要度の点数評価」とともに登録するデータバンクづくりだ。


 同制度について「患者側が医師になんらかの見返りを与え、病状を実際より深刻に登録して優先順序を高める不正ができてしまうのでは」と懸念する声もあるが、制度構築の責任者である王海波氏は「だれがどのように評価したか、すべて記録している。関係者が不正をすれば、発覚する可能性が高い。発覚すれば医師免許の即刻取消などの厳罰が待っている」などとして、不正が行われる心配はないとの考えを示した。

 中国では数年前から、移植用臓器を売買する「ブラック・マーケット」の存在が問題になっている。医療関係者を含め、違法な臓器売買にかかわった者が摘発されることもある。

**********

◆解説◆

 人権問題に取り組む非政府組織(NGO)のアムネスティ(本部・ロンドン)によると、2012年に中国で執行された死刑は数千に上るとみられるが、事実を隠蔽(いんぺい)しているため、正確な死刑執行件数を確認することはできない。中国以外の全世界で死刑を執行した国は21カ国で、総数は682件だった。

 写真は2010年3月23日に福建省南平市内の小学校校門付近で登校してきた生徒を刃物で襲い、8人を殺害、5人を負傷させた鄭民生死刑囚。犯行から約2週間後の同年4月8日に一審の死刑判決を言い渡され上告したが同月20日の二審判決も死刑だった。

 中国の裁判は基本的に二審制だが、死刑執行には最高人民法院(最高裁)の許可が必要だ。最高人民法院もただちに二審判決を支持したため、刑は4月28日に執行された。中国では社会的に大きな注目を集めた凶悪犯罪などについて、判決の確定と死刑の執行が異常に早まる場合がある。
(編集担当:如月隼人)
編集部おすすめ