中部エリアを地盤とするGMS(総合スーパー)・SM(食品スーパー)では今年、特徴的な店舗が続々と出店し、戦略の違いが明確になってきている。個店経営を前面に出すユニー、DXを駆使するイオンリテール東海カンパニー、エリアリーダー店長制を導入して店舗同士の連携を強めるマックスバリュ東海、EDLP導入を広げるスーパーマーケットバロー、PBやバイヤーいち押しなど商品力の強化を進めるヤマナカ。
各社、激戦を生き残るために特色ある店舗を出店、リニューアルを続けている。どれが正解かは中部エリアの消費者の行動に委ねられている。

中部地区をけん引してきたユニー。個店経営を導入し、メイト(パート従業員ら)に権限を委譲することで顧客のさまざまな要望に対して、より素早いレスポンスが可能になった。さらにテナントにドン・キホーテを招き入れることで、若年層の取り込みを進めている。

イオンリテール東海カンパニーでは、スマートストアの出店を進める。来店客の人数や買い回り状況がリアルタイムで分かるAIカメラ。立ち寄り時間の短い売場などを分析し改良につなげている。惣菜などの値引きをAIが決定する「AIカカク」を導入し、担当の従業員でなくとも業務が行え負担軽減になっている。

マックスバリュ東海では、火水曜市、お客さま感謝デーなどお得なイベントで高い支持を得る。今年度は「エリアリーダー店長制」を導入。全体を約4~5店舗ずつ39エリアに分けて、店長の一人をエリアリーダーに採用し、共同企画や品ぞろえなど連携してドミナント形成に乗り出している。


バローホールディングスのSMバローではEDLP採用店舗が増加。今第2四半期までに58店舗まで広がっている。商品ではPBを刷新し、良品廉価の「バローセレクト」、ちょっと上質な「バロープラス」の二つに集約。新商品を続々投入し品揃えを強化している。

ヤマナカでは、上質な商品をお手ごろな価格で提供する上質量販、「生鮮のヤマナカの復活」を掲げ、来店したいと思う商品やサービスを提供する「顧客価値創造の実践」を目指す。

高質スーパー・フランテを展開する強みを生かして、幅広いニーズに対応した品ぞろえ。PBはヤマナカスター、フランテ二つ星、フランテ三つ星の3段階。高付加価値の商品開発を進め、合わせてバイヤー厳選のいち押し商品でも差別化を図っている。

今年は中部エリアの本丸となる名古屋市内でコストコ、アルビス、トライアルなど新勢力の参入が相次いだ。中部を拠点にする流通各社は、激化する競争に勝ち残るため突き進んでいる。
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