プレミアリーグの夏の移籍市場が閉幕。今夏には大型ストライカーの移籍が相次ぎ、スウェーデン代表FWアレクサンデル・イサク(リヴァプール)や同FWヴィクトル・ギェケレシュ、スロベニア代表FWベンヤミン・シェシュコ(マンチェスター・ユナイテッド)らが新天地を求めた。


 一番の“ビッグディール”となったのが、移籍市場最終日に実現したリヴァプールのイサク獲得だ。ニューカッスル加入後の3年間で通算62ゴールを挙げたストライカーに対し、リヴァプールが提示した金額は推定1億2500万ポンド(約248億円)。これは2023年夏にチェルシーがエクアドル代表MFモイセス・カイセドの獲得時に費やした1億1500万ポンド(約228億円)を上回る英国史上最高額であると報じられている。

 イサクは当初からリヴァプールへの移籍を希望していたものの、ニューカッスルが売却を認めず両者の関係性は悪化。25歳のストライカーはクラブを「約束が破られて信頼が失われた時、関係性を続けることはできない」などと非難した上で、エディ・ハウ監督率いるトップチームでのプレーを拒否した。ニューカッスルも移籍不可を通達するなど強硬姿勢を取っていたが、ドイツ代表FWニック・ウォルトメイドとコンゴ民主共和国代表FWヨアヌ・ウィサ獲得の目処が立ったことで、最終的にはイサクの売却に合意した。

 一方、ニューカッスルが移籍市場最終日に獲得したウィサも、ブレントフォードからの退団を希望してトレーニングをボイコットしていた模様。イサクと同じく「去りたいと言わざるを得ない。何度も公正なオファーがあったにも関わらず、クラブは本当に僕の邪魔をしている」などどとクラブを非難する声明を発表した。

 契約を残している選手が自身の望む移籍を実現させるためにチームへの帯同や練習参加を拒否することについて、かつてブラックバーンやセルティックで活躍した元イングランド代表FWクリス・サットン氏は『BBC』を通じて「選手は契約に署名している。日常生活を送る人々も契約に署名しているし、それに従っている」とコメント。その上で「彼ら(イサクとウィサ)の行動はまったく持って卑怯だ。
今夜は喜んでいるかもしれないが、あれほど無礼で恥ずべき行動は許されない」と持論を展開している。

 なお、イサクとニューカッスル、ウィサとブレントフォードの対立の背景には、将来的な移籍などを約束する“紳士協定”の存在があると見られている。実際にイサクは「事実として約束は交わされ、クラブはずっと前から僕の立場を理解していたはずだ」と言及。ウィサも「妥当なオファーがあればクラブは僕の邪魔をしないということが代理人にも確認されており、書面でも交わされていた」と明かしている。

 スポルティングからアーセナルへ移籍したギェケレシュも“紳士協定”の存在をめぐって交渉が難航。ギェケレシュは自身が望むアーセナル移籍に向けて、スポルティングプレシーズンの活動に参加しないという強硬姿勢を取っていた。
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