神は人間を平等に救ってくれるのか。「カトリックとプロテスタントの違いが学生時代からモヤモヤしている」――56歳の高校教諭から届いた疑問は、信仰の本質へとつながっていた。
プロテスタントとカトリックはどう違う?
★相談者★台風小僧(ペンネーム) 高校教諭 56歳 男性学生時代からモヤモヤとした感じがあるのが「カトリック」と「プロテスタント」の考え方の違いです。前者の「よいことをすると天国へ、悪いことをすれば地獄へ」という考えはわかりやすいですし、子供にも教えやすいですよね。ですが、後者は善行の有無にかかわらず「神の思し召し次第」とのことです。もちろん善悪は時と場合によりけりでしょうし、人間ごときが「神様の思い」など考えるのは恐れ多いことです。どう考えればいいでしょうか。
佐藤優の回答
確かにカトリックとプロテスタントの違いは、教会に属している人以外にはわかりにくいです。キリスト教に関する客観的記述で定評のある八木谷涼子氏は両者の違いについてこう記します。〈ローマ・カトリックは聖書と伝統(聖伝)を拠りどころにし、救いのためには信仰にくわえて善き行い(業)が必要だとする立場。「教会」やサクラメントの権威を重んじ、教皇を頂点とするピラミッド型の位階制度を取る。礼拝は儀式的な典礼が中心で、サクラメントは七つ。信者はサクラメントを通して実体的もしくは神秘的に神と出会う。
いっぽう、プロテスタントは聖書以外の規範を認めず、個々の信仰のみによる救いを説く。聖職者に特別の権威を認めず、信じる各人が直接神の前に立つ「万人祭司主義」を取る。
あなたは、カトリックの救済観について、「よいことをすると天国へ、悪いことをすれば地獄へ」と理解していますが、これは正しくありません。いくら善行を積んでも、キリスト教信仰を持っていなくては救われないとカトリックも考えます。ちなみにカトリックが「信仰と行為」を重視するのに対し、プロテスタントは「信仰のみ」と説きます。行為を軽視しているわけではありません。信仰があれば必ず行為に繋がる――信仰即行為という理解です。カトリックのように信仰と行為を分けて「と」で繋ぐようなアプローチをプロテスタントは批判するので「信仰のみ」という主張になるのです。
キリスト教は、人間は例外なく罪を持つと考えます。罪が形になると悪です。ですから、人間を罪と悪から救えるのは、神の恵みだけとなります。カトリックのように人間行為と救済を結びつけると、罪と神の恵みを軽視することになるとプロテスタントは恐れるのです。
神はそれぞれの人が生まれる前から、選ばれて救われる人を決めているとプロテスタントは考えます。しかし、人間は神ではないので、誰が救われるかはわかりません。だから選ばれ救われると信じ、一生懸命働き、成果を他者のために用いることで神に感謝するのが正しい生き方となります。ですからプロテスタント信仰に忠実な人は勤勉になるのです。
★今週の教訓……プロテスタントには勤勉な人が多いです
―[佐藤優のインテリジェンス人生相談]―
【佐藤優】
’60年生まれ。’85年に同志社大学大学院神学研究科を修了し、外務省入省。在英、在ロ大使館に勤務後、本省国際情報局分析第一課で主任分析官として活躍。’02年に背任容疑で逮捕。『国家の罠』『「ズルさ」のすすめ』『人生の極意』など著書多数
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