子どもは泣くもの、騒ぐもの……とわかっていても、その暴れん坊ぶりに辟易する方も多いのではないだろうか。今回紹介するエピソードは、ある病院の待合室で起きた出来事だ。

満員の小児科で起きた出来事

「もう来なくていいじゃない」病院で暴走する2歳児に“注意しな...の画像はこちら >>
 話を聞いたのは長田佳子さん(仮名・36歳)。長田さんは小学1年生の息子が風邪を引き、近所の病院に行ったときのことを話してくれた。

「寒暖差がすごく激しい日があったんですが、それで息子が体調を崩しちゃったんです。学校でも風邪が流行ってて、百日咳の子も出たりしたので大事を取って病院に行きました」

 長田さんが訪れたのは、内科と小児科を併設したよくある“町のお医者さん”だ。夕方17時、院内は診察を待つ人で溢れていたという。診察まで1時間以上はかかるかな……と、長田さんは覚悟を決め、息子と2人で名前が呼ばれるのを待った。

「みんな体調が悪いのか、待合室は静かで、うちの息子もスマホでゲームをしながら待っていました。すると、2歳くらいの男の子を連れたお母さんが入ってきて、受付で話を始めたんです。最初は穏やかだったんですが、時折、強い口調でまくし立てるようにも話していました。あまりよく聞こえなかったんですが、処方された薬と診察に対するクレームのようなことみたいで……。最初は男の子を抱っこして話していたんですが、途中から男の子は“放流”されてしまいました」

男の子が病院内を暴走…

 すると院内の雰囲気は一転。男の子は大声で叫びながら待合室を走り回り始めたのだ。

「みんな体調が悪くて来ているから、男の子の暴れん坊っぷりにはげんなり。一度、お母さんが『静かにしようね~』って言ったんですが、そんなことで大人しくなるわけないじゃないですか。
うちの息子のスマホを覗き込んで『シュマホ! シュマホ! 見せて~』って。息子が『ゲームしてるからダメだよ』って言ったら、今度は大声で泣き始めて……。なんだか私たちが悪者みたいになってしまったんです」

本棚から本をバラ撒くなどの狼藉をはたらく

 一度は母親に連行されて大人しくなった男の子だったが、母親が受付でやり取りを始めると、また暴走が始まった。

「今度は本棚の絵本をバラ撒いたり、お母さんが娘さんに読んでいる絵本に割って入って『絵本読んで~』って。仕方なく、そのお母さんは一緒に絵本を読んであげたんですが、すぐに飽きて走り回り始めちゃったんです」

遂に被害者が……

 そして、ついに“被害者”が出てしまうこととなる。

「その男の子は長椅子に土足のまま乗って、飛び跳ねて遊び始めたんです。隣にいたおじいさんがものすごくムッとしてて、あ、これは怒るだろうなって思ったら、男の子はイスから飛び降りました」

 すると次の瞬間、院内には耳をつんざくような女性の叫び声が響き渡った。

「向かいに座って寝ていた若い女性の足に、その男の子が飛び乗ってしまったんです。ものすごい大声で『いったぁーーい!』って。もう、待合室にいた人、みんなビックリして騒然としていました。若い女性も、最初は何が起きたのかわからないって感じでしたが、男の子が飛び乗ってきたことがわかっても怒るわけにもいかず、怒りに満ちた顔をしていましたね」

ベテラン看護師が一言

「もう来なくていいじゃない」病院で暴走する2歳児に“注意しない母親”…看護師が放った“痛烈な一言”
病院
 この状況を片隅からジッと見つめていた看護師がいた。それは実質的に病院を取り仕切る院長夫人だった。叫び声を聞いて、診察室からやって来たのだ。

「奥さまは優しい声で、『あらあらどうしたの? もう、こんなに元気なら病院来なくてもいいじゃない』って。これには待合室にいたみんな苦笑してましたね。
母親もさすがにまずいと感じたのか、女性にお詫びしたのですが……」

 さらに奥さま看護師は、母親にこう言い放ったという。

「悪いことしたら、ちゃんと自分で謝らせなきゃ。こういうことはすぐに直さなきゃ、どんどん悪くなっちゃうから」

 母親は顔を真っ赤にして病院から出て行ってしまったのだとか。

公共の場ということを教えることの大切さ

 長田さんは今回の一件を振り返り、こう話してくれた。

「人の振り見て我が振り直せというわけではないですが、公共の場での振る舞いを教えることって、すごく大切なんだなって。子どもだから仕方がないって、いつまでも通用するわけじゃないですし、それを最初から認めるのって甘やかすことと紙一重だなと思いました。それと、病院はみんな体調が悪くて来る場所だから、自分のことで精一杯。待つのだってつらいんだから、そういう場所で子どもを無責任に放置するのはよくないなって思いましたね」

 公共の場で傍若無人な振る舞いをする大人もいるが、彼らは子どもの頃にちゃんと教えてもらわなかったのかもしれない。過剰な反応もよくないが、最低限のマナーは守るべきである。

文/谷本ススム

【谷本ススム】
グルメ、カルチャー、ギャンブルまで、面白いと思ったらとことん突っ走って取材するフットワークの軽さが売り。業界紙、週刊誌を経て、気がつけば今に至る40代ライター
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