「求められたい」という正直な気持ちと「誠実に生きる」という信念が、実はイコールだと気づいた9年半だった——。
 乃木坂46の3代目キャプテン・梅澤美波が、まもなく卒業を迎える。


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 西垣匠、加藤小夏とトリプル主演を務めたドラマ『失恋カルタ』(MBS/TBSドラマイムズ)のクライマックスを前に、梅澤に「自分との向き合い方」を語ってもらった。

本番前に気持ちを切り替える。それが自分の作法

——『失恋カルタ』では、広報の仕事をしている千波というキャラクターが最初からとても自然に入ってきました。役に近づくうえで意識されたことはありましたか?

梅澤美波(以下、梅澤):
千波は、仕事はすごくできるけど、プライベートや恋愛はうまくいかないというキャラクターです。だからといって仕事がダメになるわけではなくて、ちゃんと分けられるタイプだなと感じました。私自身は、仮に私生活で落ち込むようなことがあっても、本番前には気持ちを切り替えます。それが自分の作法です。いつも自分とリンクするところを見つけながら演じることを心掛けているのですが、千波とはそのあたりが通じるなと感じました。

「誰かに必要とされること」が私の生きがい

——千波は誰かに認められたい、愛されたいという気持ちが恋愛に強く出るキャラクターでした。梅澤さん自身は、アイドルとして活動するなかで「認められること」と、どう向き合ってきましたか?

梅澤:
私も求められたいという気持ちがすごくあって、誰かに必要とされるときに生きがいを感じるタイプなんです。自分がやりたいことよりも、何か与えられたものとか、誰かがこうしてほしいということをやる方が、自分の中でしっくりくる。グループで生きてきた時間が長かったからかもしれないですけど、それが自分を認めてあげられる一つの要素になってきた気がします。千波は恋愛で、私は仕事面でそう。
そこがめちゃくちゃ似ているなと。

誰かに必要とされることや認められることは、まず自分が誠実に生きていかないと無理なことだと思うんです。自分の中の正義というか、「当たり前のことをちゃんとできる人でないといけない」と思います。

「誰かに必要とされたい」…乃木坂46・梅澤美波(27)が卒業前に明かした“9年半の本音”
「失恋カルタ」第8話より
——梅澤さんの中で、「認められたい」と「自分に誠実に生きる」はイコールだと。

梅澤:
はい。まずは信頼されないとそこには結びつかないから、まっすぐ生きていきたいという思いは、今まで生きてきた中でずっと持ち続けてきた大きなテーマかもしれません。

乃木坂46のキャプテンとして「引っ張る力より愛する力」

——梅澤さんは、乃木坂46の3代目キャプテンを務めてきました。ご自身は姉弟の真ん中っ子ということですが、本来は甘えたいタイプだったりしますか?

梅澤:
すごく甘えたいタイプだと思います。私自身本当は、人を引っ張っていけるようなものはあんまりなくて。グループでもいじられキャラだとバレていますね(笑)。実生活ではお姉ちゃんに甘えているし、よくキャプテンをやってこられたな、と自分でも思います。

——梅澤さんなりに見えてきた“キャプテンの在り方”とは、どんなものでしたか?

梅澤:
乃木坂のキャプテンだったからというのもあると思うんですが、誰よりもこのグループを愛している自信があって。だからこそ、メンバーがどう思うか、ライブの前にどんな言葉をかけたらみんなの士気が上がるかとか、そういうことがなんとなくわかっていったのはあると思います。
まっすぐこの場所で生きることで、グループのことをより理解できた。そうやって向き合ってきた結果だったのかな、と思います。

卒業発表のブログ「全部が美しさに見えた」執筆の裏話

「誰かに必要とされたい」…乃木坂46・梅澤美波(27)が卒業前に明かした“9年半の本音”
梅澤美波さん
——卒業を発表された2月25日のブログ「全部が美しさに見えた」は、本当に長文で思いのこもった文章でした。どのくらいかけて書かれたのですか?

梅澤:
何を伝えるべきかを考え始めたのは、多分半年前くらいからです。今まで私が卒業を見送ってきた先輩やメンバーのブログを見ていても、今どう思っているかを隠さずに、等身大で書かれているなと思って。「私は何を伝えたらいいんだろう」と考えました。メンバーに向けても、お世話になった方に向けても、ファンの方に向けても、ずっと考えていたんですが、やっぱり直前にならないとまとまらなくて……。

発表が夜の10時で、前日にはなんとなく完成させましたが、「いや、これやっぱり違う」「これは言うべきだ」と。結果的にちゃんとできたのは当日ギリギリでした。その時の感情に素直に従って、あまりカッコつけずに書けたと思います。

「ネガティブな私さえも愛せる」17歳からの変化

「誰かに必要とされたい」…乃木坂46・梅澤美波(27)が卒業前に明かした“9年半の本音”
「失恋カルタ」第8話より
——卒業ブログには、9年半で変わったこと、変わっていないことが綴られていました。今の時点で、「変わったこと」をどう言語化できますか?

梅澤:
当時17歳の私は全く自信がなくて、とにかく一生懸命ネガティブに生きていたんです(笑)。過去の自分さえも否定しがちで、何が正解かわからなくて、褒められてもあんまり受け入れられないタイプでした。今は、そんなネガティブな私さえも愛せるくらい、自分でやってこられたという自信と、他の人が認めてくれた事実がある。
だから今、堂々とステージに立てている。その感覚というか、自信みたいなものはすごくついたなと思います。

——最初の話に戻りますが、「誠実に生きてこられたことが大きい」ということでしょうか。

梅澤:
そうですね。上手い下手とか、綺麗かどうかとか、そういうことではなくて、お仕事としてまっすぐ自分のやるべきことを真面目にやってきたからかなと思います。いっぱい失敗もしてきたと思いますが、その都度“どこかしらで見てくれている人がいた”というのが本当に大きくて。

——見てくれている人がいた。

梅澤:
やっぱり、明確に比べられる世界でもあると思うんです。だから自分に劣等感を抱きやすい環境であることも確かです。それでも、どんな時も好きでいてくれる方とか、「あの時のあなたは本当に頑張っていたよね」と、私の知らないところで見てくれる人がいた。自分の中では失敗と思っていることでも、周りの人はいいと思ってくれていることもある。周りの人たちの支えのおかげで、というのは綺麗事に聞こえるかもしれないですが、本当にそれが私を救ってくれたのかなと思います。


止めてくれた姉と、今でも叱ってくれる大園桃子

「誰かに必要とされたい」…乃木坂46・梅澤美波(27)が卒業前に明かした“9年半の本音”
「失恋カルタ」第8話より
——乃木坂に入ることを、お姉さんだけが一度止めたそうですね。

梅澤:
姉だけは、「美波の性格だったら多分やっていけないと思う。人と比べられるって一番無理でしょ?」と。私の弱さを知っているからこそ、「本当にいいの?」と引き止めてくれた。すごく貴重な存在だと思います。

今でも、私がダメなときは一番フラットに叱ってくれるし、誰よりも褒めてもくれる。とても助けられています。あと、卒業した同期の大園桃子にも今でも相談したりして、私がダメなときは叱ってくれます。

——ご両親は、今回の卒業についてどうおっしゃっていますか?

梅澤:
姉と握手会に一緒に通っていたくらい、家族みんながもともと乃木坂46のファンだったんです。だから、私がグループのメンバーではなくなることを、両親は誰よりも寂しがっています(笑)。でも私の弱さも全部知っているから、「ここまでよく頑張ったね」と言ってくれて。キャプテンになるときも、心配しつつ「自分が好きだったグループのキャプテンになれるなんてすごいことだよね」と言ってくれました。不安から、「そっか、これってありがたいことなんだ」と、考えをシフトできたのは家族のおかげです。


アイドルの外へ──梅澤美波が目指す“枠のない場所”

——最後に、今後、演技面やお仕事全体でチャレンジしていきたいことを聞かせてください。

梅澤:
本当に何でもやっていきたいと思っているんですが、「自分の武器を生かせる場所」が特に欲しいです。ドラマや映画などの映像作品はもちろんですが、海外のファッションショーとか、「私だからこそできる」という形で、枠をはみ出していけたらいいなと思っています。それが私の今の夢です。

<取材・文・撮影/望月ふみ>

【望月ふみ】
ケーブルテレビガイド誌の編集を経てフリーランスに。映画周辺のインタビュー取材を軸に、テレビドラマや芝居など、エンタメ系の記事を雑誌やWEBに執筆している。親類縁者で唯一の映画好きとして育った突然変異。X(旧Twitter):@mochi_fumi
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