◆JERA セ・リーグ ヤクルト5ー2巨人(9日・神宮)
久しぶりの感触が全身を貫いた。1点リードの4回1死。
長い道のりだった。22年に69試合で打率2割5分、5本塁打、16打点の成績を残したが、23年は極度の打撃不振に陥り、1軍出場なし。昨年も1軍出場4試合で無安打に終わった。「情けないな、と」。浮上のきっかけの一つになったのは、坂本を参考にして新たに取り組んだ胸郭のエクササイズだ。「柔らかさが出て、いい感覚になった」と、スイング時の可動域が広がり、バットがスムーズに出るようになった。
巡ってきたチャンスで結果を残せている要因は精神面の安定にもある。「僕自身、これまでメンタルにムラがあった」と自覚。今季から打席内での思考を変えた。「最高の結果を出すことも大事ですけど、それよりもまずは最低限やるべきことをやるということを大事にしている」。欲張らずに「最低限」の意識が安定した成績に結びついている。
主砲の岡本が左肘を負傷して戦列を離れており、増田陸の攻守での活躍は大きい。2回1死二塁では右前安打を放つなど今季初のマルチ安打。一塁の守備では4回無死で岩田の痛烈なゴロを好捕してアウトにした。阿部監督は「どんどんね、チャンスだと思ってやってもらいたい」とさらなる活躍を願った。