◆東京六大学野球春季リーグ戦 第5週第2日▽立大13―6明大(11日・神宮)

 立大は明大に13安打13点と打ち勝ち、1勝1敗のタイに持ち込んだ。4回には3番の鈴木唯斗外野手(4年=東邦)が2戦連発となる右越え満塁弾を放つなど、打者一巡の猛攻で一挙7点と突き放した。

明大は1分けを挟んだ開幕からの連勝が5でストップした。

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 両手の感触が着弾点を教えてくれた。鈴木唯は喜びをかみしめ、ダイヤモンドを一周した。リードを4点に広げ、なおも1死満塁。スライダーを強振し右翼席へとたたき込んだ。前日1回戦のソロに続く2試合連続弾。名古屋から観戦に訪れた母にささげる一撃だった。

 「木村監督から『サインはないから、打っていいよ』と言ってもらえたので。思い切り行けたので、良かったです。変化球を待ちながら、長打よりはキレイにヒットを打とうと思っていました」。母の日を彩る満塁アーチに「昨日のホームランボールは父に渡せたので、きょうは母に渡せば、ケンカせずにいいかな」と笑った。

 愛知の名門・東邦の出身。

名古屋から上京して寮生活の日々。だからこそ、母のありがたみが痛感できる。「名古屋では毎日ご飯を作ってもらい、たくさん支えてもらいました。ハンバーグがおいしいんです」。最高の形で親孝行ができた。

 立大は今季3度目の2ケタ得点。打線の充実ぶりが際立つ。「長いキャンプ期間、とにかく打ってきました。そのおかげで開幕戦からヒットが出始めた。自信を持って打席に立てています」。優勝争いに加わる春の日々を「最近は楽しい。とにかく明日、楽しんでやりたい」と鈴木唯。

創立100周年の東京六大学。強打のセントポールが台風の目になろうとしている。(加藤 弘士)

 ◆シーズン2発の満弾 立大・鈴木唯斗が4回に満塁本塁打。4月20日の法大2回戦でも山形球道が打ち、今季チーム2本目。チームシーズン2本以上の満塁弾は、22年秋2本の早大以来。立大では、90年秋(山口高誉=慶大3回戦、太田敦=早大1回戦)以来、2度目。

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