◆春季京都府大会 ▽準々決勝 京都共栄学園6―0京都工学院(11日・わかさスタジアム京都)

 京都は準々決勝2試合が行われ、京都共栄学園が2019年夏以来の4強に進出した。最速136キロ左腕の小林海翔(3年)が、春は17年の京都成章・北山亘基(現日本ハム)以来となる無安打無得点を89球で達成した。

 胸の鼓動が高鳴った。9回2死、京都共栄学園・小林は最後を三ゴロで締めくくった。「怖かった。前の試合では9回2死で三塁手がトンネルした」。丁寧な捕球から一塁ミットへ正確な送球が収まると、小さく跳びはねた。

 マウンドには“鳥”がいた。「練習の中でたどり着いた。自分流」。両腕を真横に羽ばたかせるようなフォームからナチュラルにシュートする直球を武器に、凡打の山を築いた。打者29人に対し、3四球、8奪三振と圧巻の89球を披露した。

 春の同大会のノーヒットノーランは京都高野連によると、北山が洛星との1次戦で達成して以来、8年ぶり。寮ではなく通学。

午後7時台には1時間に一本の電車で先に上がるが、映像の確認やシャドーピッチングを重ね、フォームを改良。西脇工時代に巨人・大勢を指導した木谷忠弘監督(52)は「ボール球が多く、崩れていた投手。去年の秋くらいから良くなってきた」とエースの成長を認めた。

 母の日もスタンドで見守った母・菊美さんには成長した姿で特大の恩返しだ。小林は「チームの目標は時代を変えること。この大会でもう1つ2つ勝ち上がっていきたい」と近畿の大海原へかけ上がる。(松ケ下 純平)

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