◆JERA セ・リーグ ヤクルト2ー1巨人(11日・神宮)

 巨人・浅野翔吾外野手(20)が2点を追う8回、プロ初の2試合連発となる2号ソロを放った。2戦連続のスタメンに応えた。

しかし、ヤクルトの先発・吉村を攻略しきれず、反撃はこの1点のみ。2カード連続の負け越しで首位・阪神とのゲーム差は1・5に広がったが、主砲・岡本和真内野手(28)を左肘靱帯(じんたい)損傷で欠く中、わずか4安打で12三振を喫した打線の一筋の光となった。13日からは敵地マツダで広島3連戦を迎える。

 浅野に迷いはなかった。「追い込まれてからも、自分のスイングができました」。豪快なフォロースルーから放たれた白球は気持ち良く、左翼席へ飛び込んだ。自身初の2試合連続弾となる2号ソロ。意気揚々と駆け出し、三塁ベースを過ぎると声を上げて喜びをあらわにした。

 「負けていたのでインパクトのある、相手にダメージがいくようなバッティングがしたかった中で、しっかり打てました」

 悔しい敗戦の中で、希望の光を差し込んだ。2点を追いかける8回1死。カウント2―2から吉村が投じた真ん中高め直球を打ち砕いた。無得点に封じられていた右腕から打った瞬間、フェンスオーバーと分かる一撃。

開幕2軍スタートで打撃不振によって、4月25日に3軍に降格するなど、もがき苦しんできた姿はもうない。吹っ切れた背番号51が2夜連続で輝きを放った。

 親孝行のアーチになった。11日は母の日。母・美枝さんへの感謝の思いは尽きない。日頃からたくさんのサポートをしてくれた。料理上手なお母さんが作る食事は「どれもおいしくて、残した記憶がないんです」と振り返る。結果が出ない時には「神社にお参りに行ってきたから明日は打てる。大丈夫だよ」と、母が背中を押してくれたことも何度もあるという。プロ入り後も毎試合チェックして、優しく見守ってくれている。

 今季1号を刻んだ後には連絡があった。「『継続することが難しいので、しっかり頑張りな』と言ってもらいました」。

気合が入らないわけがない。前日10日のヒーローインタビューで「20年間ずっとお母さんにお世話になっているので、しっかり感謝を結果でプレゼントできるように」と語っていたが、ピンク色の打撃用手袋を着用して、有言実行の放物線。最高のプレゼントを贈ることができた。

 同じ外野手では助っ人ヘルナンデスが攻守で精彩を欠き、丸が負傷離脱中。さらに主砲・岡本が左肘靱帯損傷で全治3か月程度の重傷を負うなど、チームは踏ん張りどころを迎えている。そんな中、2試合連続のスタメン起用に応えた。このチャンスは逃さない。「今日は(母も)喜んでくれたと思うので、明日以降も活躍して喜んでもらえるように頑張りたい」。逆境からはい上がってきた背番号51が1軍の舞台で、雄姿を届け続ける。(宮内 孝太)

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