◆JERA セ・リーグ 広島5x―4巨人=延長12回=(13日・マツダスタジアム)

 飛ぶな、やっぱり。打球が落ちてこないもんな。

5回、リチャードの一撃は上がりすぎたと思った。あれが入るのだから、メジャー級のパワーだ。本人は打った瞬間に入るという顔をしていたな。中堅・中村奨がおかしな追い方をしていたが、予測した“普通の軌道”とは違ったのだろう。本拠地の選手が目測を誤るほど、ということだ。

 構えから大きさを感じ、どっしり感がある。「打ちそう」な雰囲気を醸し出し、あれだけ振るから投手は嫌だろう。秋広を交換要員にしてまで獲得した理由が何となく分かった。バッテリーからすれば、当たれば飛ぶ選手は厄介。環境さえ変われば大成する可能性を感じたのだろう。岡本の後継者として楽しみだ。

 ソフトバンクで同僚だった山川のように、左足をやや開き気味にステップする。

体のどこかに壁をつくって強振するタイプで、三振かホームランという粗さは残る。個人的にはパに比べてセの投手の方が変化球の精度が良い印象で、どう対応していくかが課題になる。それでも、振る姿勢は崩してほしくない。スイングの怖さが失投を招くし、6回の左前打もそうで、ひと振りで仕留める精度を高めてもらいたい。

 三塁の守備は思っていたよりも良かった。2回、ファビアンの強烈な打球がグラブ付近を抜けていったが、あれは仕方ない。肩は強そうだけど、抜けた送球も見られたので、その点は練習すれば何とかなる。攻守においてファンが付く選手だね。(スポーツ報知評論家・高橋 由伸)

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