◆JERA セ・リーグ 巨人4ー7中日(18日・東京ドーム)
巨人のリチャード内野手(25)が、メジャー級の東京D初本塁打を放った。中日戦の5回に代打で中堅右へ逆転3ラン。
勢いを失わないまま伸びていった白球が、そのままバックスクリーン右に消えた。つんざくような大歓声を浴びながら、リチャードは全速力でダイヤモンドを駆け抜けた。「耳がこう、ぼわってするぐらい盛り上がったんで、打った自分もすごくうれしかった。(バットにボールが)当たってくれたって感じです」。待望の東京D初本塁打が、一時逆転となる2号3ラン。新しい本拠地のファンへ打球速度181キロの弾丸アーチを名刺代わりに届けた。
1―1の5回に勝ち越しソロを許した直後、首脳陣から「準備しといて」と声をかけられた。劣勢ムードで「思い切ったことしないといけないなと」と気持ちを奮いたたせて同回2死一、三塁から代打で打席へ。松葉の初球、チェンジアップに豪快に空振りしても「合わせたスイングをしないようにっていうのは心がけて。
進むべき道が定まった。トレード発表から一夜明け、即1軍に合流した13日の試合前だった。阿部監督にマツダの監督室へ呼ばれると「『右中間に(打球を)飛ばす気持ちで』って言うけど、全く右中間へ打ちにいってない」と、問いかけられた。ソフトバンク時代のデータを2人きりの空間で分析し「そこから広角に打てるようにしてます」。親心に、センターより右へのアーチで満点回答した。
メジャークラスの規格外のパワーを存分に発揮している。打撃練習では既に、チームトップクラスの岡本、キャベッジに匹敵する打球速度をマーク。この日の試合前には捕手のフライ練習でノックバットを握ると、真上に上げるはずの打球を勢い余って一塁側ファウルゾーンの1階席最上段まで放り込んだ。「すみません!」と顔を赤くするリチャードを見た甲斐ら先輩ナインは爆笑。
加入後の5試合で打率2割も、3安打のうち2本が本塁打だ。「ヒットは打ててなかったんですけど、少しずつ自分のスイングができるようになってきた。今日(本塁打が)出てほんとにちょっと、自信になります」。もがき続けてきたロマン砲に、覚醒の気配が漂い始めている。(内田 拓希)
◆大谷の打球速度 17日(日本時間18日)までに今季16本塁打を放っており、平均打球速度は109.7マイル(約176.5キロ)。180キロ超は6本。これまでの最速は昨年4月23日ナショナルズ戦の6号と、7月27日アストロズ戦の同32号でマークした118.7マイル(約191キロ)。