◆東京六大学野球春季リーグ戦 第6週第2日▽早大1x―0明大(19日・神宮)

 プロ注目右腕の早大・伊藤樹(たつき)投手(4年)が明大戦でリーグ史上25人目(通算26度目)のノーヒットノーランを達成した。5四死球を与えたものの11奪三振。

2016年秋に慶大・加藤拓也が東大1回戦で果たして以来の快挙だった。0―0の9回に寺尾拳聖(3年)が劇打を放ち、1―0サヨナラでの達成は、連盟100周年にして史上初。元号が令和になって初めて、明大相手にも初めてという記録ずくめの快投だった。

 伊藤樹は、3つの優れた「能力」を持つ右腕だ。

 〈1〉ベース板の両サイドに投げ込む制球力〈2〉試合中の修正力〈3〉重要な試合を勝ちきる力。

 150キロ超のボールを連発するわけではないが、多彩な変化球をコーナーに決めて打者に的を絞らせない。立ち上がりに苦しむことがあっても、相手打線の2巡目を迎える頃には自分の投球を取り戻すことができる。そして、難敵・明大戦での強さ。昨秋の優勝決定戦は3安打完封で、今回は負けたら3連覇が消滅する試合での“ノーノー”だった。

 「ゲームメイク能力が高い」とスカウトは声をそろえる。プロでのイメージは、クオリティースタート(6回以上自責3以内)を重ねられる投手。責任を持って先発の役目を全うし、チームに貢献する姿が目に浮かぶ。

今秋ドラフトで上位指名を受ける可能性もある。(アマチュア野球担当・浜木 俊介)

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