◆JERAセ・リーグ 阪神4―0巨人(20日・甲子園)

 ひと振りで相手を意気消沈させた。阪神・森下翔太外野手(24)が放った打球は高々と舞い上がり、浜風にも乗って左翼席に吸い込まれた。

0―0の初回1死一塁。1ボールから戸郷の145キロ直球を豪快に振り抜いた。「手応えは完璧だった。最高の形になって良かった」。8試合ぶりの先制7号2ラン。地鳴りのような大歓声が降り注いだ。

 巨人戦に限れば実に4試合連発。球団では99年のジョンソン以来26年ぶりで、日本人選手となれば91年の八木裕以来34年ぶりだ。前回対戦した5日からの巨人3連戦(東京D)でも14打数8安打の打率5割7分1厘、3本塁打、9打点と大暴れした若武者。藤川監督は「常にアグレッシブな打者」と評し、続けて「誰もが想像しないプレーもする選手ですから心強い」と揺るがぬ信頼を言葉にした。

 3点リードの7回には中犠飛を放ち、貴重な4点目を奪取。それでも「他の打席は内容が良くないし納得していない」と凡退した他2打席を思い返し、笑顔なくクラブハウスに歩を進めた。

飽くなき向上心こそが、目標の打率3割、30本塁打、100打点に続く道。背番号1は3度「反省」という言葉を残し、次戦に向かう。

 今季6度目の完封勝利で3連勝。巨人戦の開幕から10戦8勝は球団史上初となった。指揮官は「特に思い入れが強い対戦カード。タイガースの先輩からずっと教わってきたものがある」と伝統の一戦への熱い思いを明かした。今季最多の貯金「7」とし、2位の広島に1・5差をつけて首位を走る。勢いは止まらない。(中野 雄太)

編集部おすすめ