◆イースタン・リーグ 楽天2―1巨人(20日・森林どり泉)

 巨人のドラフト1位・石塚裕惺内野手(19)が20日、公式戦デビューを果たした。3月9日に負傷した左手有鉤(ゆうこう)骨骨折のリハビリを経て、イースタン・楽天戦(森林どり泉)で実戦復帰。

NPB通算166勝の岸の前に代打で左飛に倒れたが、2か月半ぶりの実戦とは思えない打席でのアプローチを見せて、大器の片りんを示した。予期せぬけがで出遅れたが、「しっかりと自分を出してアピールできたら」と力強くリスタートを切った。

 石塚は確実に、リハビリ期間でたくましくなった。3月9日に左手有鉤骨を骨折。最初は走ることも、グラブもはめることもできない状況からのスタートだった。同期の浦田や荒巻が1軍デビューを飾った。野球選手らしい練習もなかなかできない葛藤は、見ていて伝わってくるようだった。

 そんな4月のある日だった。「焦ってもしょうがない」。切り替えたような、すっきりとした表情が印象に残った。それはリハビリが貴重な時間と気付いたからだろう。けがをして、G球場にずっといたからこそ味わえた経験があった。

 3月下旬に丸が右大腿(だいたい)二頭筋筋損傷で長期のリハビリを開始。長野、坂本も再調整で2軍降格となり、一緒に練習する機会があった。そこで学んだのは準備の大切さ。1軍でタイトル獲得経験のある大先輩が全体練習開始の1、2時間前からアーリーワークでストレッチや体幹など細かいトレーニングを黙々と行う姿を目の当たりにした。「本当にプロでやっていく上でケアとか準備はすごく大切」と再確認。以前から自身も取り組んでいたが、より一層、意識が高まり、時間の使い方などを細かく考えるようになった。

 「こういうところにあんな選手がいる。チームの層が厚い」と球団のすごさも同時に実感していた19歳。プロ最初のシーズンが始まる希望に満ちたルーキーイヤーの春。思い描いた滑り出しではなかったはずだが、決して無駄にはならなかった。(臼井 恭香)

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