◆パ・リーグ 楽天0―1西武(20日・盛岡)

 ゲームセットの瞬間、西武・西口文也監督(52)は力強く右拳を握った。育成出身同期コンビの躍動で楽天相手に会心の1―0完封勝利。

首位・日本ハムに0・5差に迫った。

 打っては21年育成ドラフト2位・滝沢が魅せた。3回2死一、二塁、楽天先発・滝中の内角低め136キロフォークを引っ張り右翼線を破る先制の適時二塁打。「思い切りいこうと思っていった結果が打点になって良かった」。17日のオリックス戦(ベルーナD)で延長10回に自身初のサヨナラ打を放った164センチの小兵が、値千金の一打で援護点をプレゼントした。

 投げては同年育成ドラフト3位左腕・菅井が5回3安打無失点と粘投。4回2死から安打とストレートの四球で2死一、二塁のピンチを自ら招いたが、村林を二ゴロに仕留めて危機を断った。今季4勝目にも「無駄な四球がもったいない。勝負していかないといけない場面だったのでそこをなくして、今後は6、7回まで任せてもらえるような投手になれるように頑張りたい」と反省を忘れなかった。

 岩手・盛岡で行われた一戦。西口監督は試合前に遠征ならではのご当地料理に舌鼓を打った。盛岡名物「わんこそば」を提供するお店を訪問。

選手時代にも立ち寄ったことはあるが、「当時は先発やったから」と後輩投手らの挑戦を見守るだけ。この日こそたらふく食べるのかと思いきや、男性平均60杯の中、きっちり40杯を食べ終えたところでストップした。「今日は4―0で勝つから40杯やな」と思いを込めた。

 「験担ぎじゃない、適当や」と笑った指揮官の願いには得点こそ“30杯分”足りなかったが、虎の子の1点を守りきって楽天をペロリと平らげた。昨季91敗を喫して断然の最下位に沈んだ西武の逆襲への足音が大きくなってきた。(大中 彩未)

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