◆JERA セ・リーグ 阪神2ー3巨人=延長11回=(22日・甲子園)
巨人・門脇誠内野手(24)に、格別の景色が待っていた。決勝の適時三塁打を放って今季初のお立ち台に立つと、左翼席のG党から大歓声。
迷いの消えた一振りで、死闘に終止符を打った。2―2の延長11回2死二塁。「強くスイングできる球を待っていた」とカウント0―1から甘く入ったネルソンの140キロチェンジアップを体の開きを抑えて強振した。打球は前進守備を敷いていた右翼のはるか頭上を越えていく。「本当に打つと決めて強い気持ちでいきました」と悠々と到達した三塁ベース上で両手をたたいた。
遊撃のレギュラーとして開幕を迎えるも1割台中盤にとどまり、5日に登録抹消。初めて訪れたGタウンで、川相2軍野手総合コーチに「もともと守備でレギュラーをつかんだんだから。バッティングで苦しんでても、そこを見失わないようにしよう」と声をかけられた。昨季は1軍守備コーチとしてノックを受けた名手の言葉。
ファームではバットを寝かせるフォームを試すなど試行錯誤を続け、16日に再昇格。岡本、坂本、丸ら主力が不在の中で「若い選手が今日もスタメンで同世代も多かったので、いい意味で切磋琢磨(せっさたくま)しています」。1年目のような新たな気持ちで、再出発を切った。
決勝打を含む3安打1打点で阿部監督に100勝目をプレゼント。「時には厳しく、優しく、すごく心の強い方。自分も負けず必死についていきたい」。芯の強い言葉にも、門脇らしさが戻ってきた。(内田 拓希)