◆JERA セ・リーグ 中日4―1巨人(1日・バンテリンドーム)

 内角高めに入ってきた直球を、巨人・泉口友汰内野手(26)が豪快に振り抜いた。ぐんぐん伸びた打球が右中間を深々と破る。

「先制点がほしかったので打ててよかった」。0―0の初回1死二塁、松葉の138キロを捉えて先制二塁打。「負けているのでそこが一番悔しい」と言葉少なだったが、得点圏打率4割2分9厘の勝負強さをまたも発揮した。

 4安打1得点に封じられた打線の光明となった。8回2死でも左前安打を放ち、今季16度目のマルチ安打で打率3割1厘と約3週間ぶりに3割へ復帰。3番に抜てきされた直近4戦は15打数8安打の打率5割3分3厘、4打点と期待に応え続けている。「若い自分たちは実績も力もまだまだだと思うので、毎日、本当に必死に結果を残していくだけ。そういう強い気持ちを持って」。岡本、坂本ら主力が長く不在だったシーズン序盤に、ブレイク筆頭格といえる輝きを放った。

 入念な準備が飛躍の下地にある。ルーキーイヤーは66試合出場で打率2割1厘、1本塁打。「試合に出させていただいた時期もありましたが、結果が出なかった」と、1年間を戦い抜くための肉体改造に着手した。

秋季練習中に阿部監督が若手に「マン振り指令」を出すと、すぐさまG球場の室内練習場に打球速度の計測器を引っ張り出し、隅で一人、約1時間のティー打撃でひたすら振り込んだ。1年目を終えたばかりでも「いつ現役を終わってもいい、というくらいの気持ち」と並々ならぬ覚悟を口にしていた。

 1月には岡本、吉川の合同自主トレに参加し、「2人は僕の師匠です」と看板打者たちから数々の助言を授かった。連日、G球場でリハビリを行いながらテレビ観戦している岡本は「元々すごくバットは振れたし、自分でめちゃめちゃ練習してましたから。僕は何もしてないですよ」と成長を見守っている。交流戦に向け「まだ2年目なので、初対戦のピッチャーが多いですし、今まで通り相手を研究してやっていきたいと思います」と泉口。ブレイク元年にさらなる進化を遂げる。(内田 拓希)

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