◆スポーツ報知・記者コラム「両国発」

 5月9日の阪神・中日戦(甲子園)は雨天中止となった。室内練習場で汗を流す阪神の選手を撮影していると、顔見知りの球団関係者が「地方球場に行った時に中止になると、練習場の確保とか本当に大変なんですよ」と明かした。

そこで、地方での前代未聞の出来事を思い出した。

 2003年5月12日、9連戦を終えた阪神は翌日に鳥取・米子で開催される広島戦のため、飛行機で羽田空港から移動した。その日は投手のみの指名練習で、野手は休養日。ところが、飛行機移動で固まった体を少しでもほぐした方がいいという首脳陣の判断で、急きょ野手も軽く動くことになった。

 練習する場所は簡単には見つからない。そこで、星野仙一監督は「球場まで行く必要はない。その辺で素振りでもしてこい」と、JR米子駅前の広場での練習を指示したのだ。野手はバットを持って広場へ行き、通行人の目の前で素振りを始めた。今ではとても考えられないが、いかにも星野監督の言い出しそうなサプライズだった。

 あれから22年。くしくも背番号22を着けた藤川監督率いる阪神は首位争いを繰り広げている。中止の際や移動日に紙面を飾る写真を撮るのは大変。

藤川監督、駅前練習とまでは言いませんが、何か驚くような方法で盛り上げてもらえませんか?(写真担当・朝田 秀司)

 ◆朝田 秀司(あさだ・しゅうじ) 1991年入社。写真一筋35年。デスク勤務を経て昨年、現場復帰。

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