阿部巨人の日本一奪回を見届けることはできなくなった。長嶋茂雄氏は生前、スポーツ報知に現在のチームに対する期待を口にしたことがある。

まな弟子である阿部監督やエース・戸郷、4番・岡本、伸び盛りの若手にまで話は及んだ。

 昨年、4年ぶりのリーグ制覇に導いた阿部監督には期待と心配が半々だった。「采配に関しては正直、正解なんてないと思う。選手がどれだけ応えてくれるか。それに尽きる。ただ阿部監督はすべての責任を受け止める裁量がある。『難しいことは考えずに思い切ってやってこい』とね。選手は意気に感じてるんじゃないかな。今年で2年目。ベンチにいる姿には余裕が出てきたし、一人で背負い込みすぎないようにと言いたいね」と思いやった。

 「今年は体が絞れたように見える。キレが出たからヒット数も増えるだろう」とは岡本について。

現在はケガで離脱中だが、常に気にかけていた。チームリーダーへと成長した吉川に関しては「守備がすごい。あれはピッチャー助かるな。バッティングにも自信がついてきたのがにじみ出てる」と語り、FAで加入した甲斐には「こんなにバッティング良かったか? 右方向への意識が強くなって球を長く見られている」とほめた。

 開幕当初は不調だった戸郷には「そういう時もある。自分を見つめ直すいい時間になればいい」と語り、一方で成長著しい井上には「マウンドで堂々としている。球も素晴らしいが、雰囲気も出てきたな」と褒めちぎった。山崎伊や赤星ら投手陣全体を見渡すと「リリーフも鉄壁だし、投手王国になるよ。杉内、内海両コーチの指導がいいのだろうね」と嬉しそうだったのが印象的だ。

 若手では中山。「オープン戦からスイングの強さが目立っていた。1軍の配球に慣れてくればレギュラーを取れる選手だよ」と期待をかけ、「ショートの泉口も力が付いてきたなあ」と成長に驚いていた。

名前を挙げればきりがないくらい、巨人を愛してやまないミスター。入院先の病室ではテレビ中継の時間を楽しみに待ち、勝敗に一喜一憂していたという。(水井 基博)

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