◇1958年4月5日(後楽園)
現役時代の長嶋茂雄さんは、抜群の勝負強さでファンの記憶に刻まれる名場面を数多く残してきた。公式戦2186試合、日本シリーズ68試合の中から、ベースボール・アナリストの蛭間豊章記者が12試合のメモリアルゲームを厳選した。
プロ入り1年目のオープン戦、長嶋は打率2割7分ながら7本塁打、16打点は名うての強打者を抑えて両リーグトップの成績を残した。迎えた開幕戦。相手先発は前年まで7年連続20勝のプロ野球を代表する左腕・金田正一。1回にカウント1―2から内角直球を空振り三振に倒れた。
すると、4、7、9回と、4打席連続空振り三振。しかも、球がバットに当たったのは、内角球をよけた際に当たったファウル1球だけ。完璧に抑え込まれたが、見逃しストライクはわずか2球だけで9球が空振りと積極的にスイング。金田はそんな長嶋を「ボールになる球をムキになって振ってきた。その気迫とスイングの速さに、いつかはやられる日が来るのでは…」と思ったという。
第2戦もリリーフに出てきた金田にまたも三振となったが、4月19日の対戦9打席目に左前安打を放つと、7月1日には初アーチを放った。球界屈指の名勝負は、翌年以降の6シーズンで4度3割以上を残し通算打率は3割1分3厘、計18本塁打を記録した。
★4三振デビュー
◇1958年4月5日(後楽園)
国鉄 000 000 000 04―4
巨人 000 000 000 01―1
勝 金田
敗 藤田
本 町田1号3ラン(国)